一騎当千の兵達
エスト王国から出航したルシアスとアヤ達は2日程で紫国へとたどり着いていた。異国の者を嫌うアヤの父であるシンオウ・イスルギ会うためルシアス達を船に残してアヤはシデンと共に天王の間にいきシンオウにマラガン公爵に援軍を出すよう説得していた。シンオウは他国への関心が薄く長年の付き合いのあるエスト王国にすらそれは同じだった。
「父上!このままでは長年の交流があったエスト王家は滅び、国同士の関係は大きく変わるでしょう。どうかエスト王国に兵を!!」
「アヤよ、私は兵を出す気はない。この国が平穏であれば他国の事など些細なことだ。新しい王家になるならその王家と関係を結べばよい。」
「本気で仰っているのですか?!」
「そのとおりだ。お前をエスト王国に行くことを許したのは我が妹とその娘サヤの為だ。その二人は戻って来ている。最早エスト王国に干渉する理由はない。」
「サヤと叔母様達が?今何処に!?」
「部屋で休んでいるぞ。賊にさらわれていたところこのものに助けられたそうだ。なあ?ゼネルよ。」
「はい。陛下」
「その者がサヤと叔母様を助けたと?」
「その通りだアヤよ。その功績と私に仕えたいという願いから新しい親衛隊の副隊長になってもらう。」
「シスイ達やカルロ叔父様はエスト王国に残って戦っています。それも気にするなと?」
「父上が許したからこそシアーノ伯爵との関係を認めた、だが我が妹と姪を守れない男のことなど知らぬ!シスイの事は残念だが戻らなければこのぜネルに親衛隊の隊長を務めてもらう。」
(こんな人が私の父であるとは、、、、、)
「話は分かりました父上。父上に頼んでも無駄なら私はお祖父さまに会いに行きます。」
「まて、アヤよ!!」
「アヤ様、、、、、」
「構わない。お祖父様に会いにいくぞ!シデン!」
「、、、、、はい、アヤ様」
アヤはシデンと自身を呼び止めるシンオウを無視して船に戻りルシアス達を連れて半日かけて前天王である祖父ゲンオウの隠居する城へと向かった。ゲンオウの城に着き祖父に会いたい旨を門番に伝えると直ぐにゲンオウの元へと案内された。案内された部屋には老いてはいるが堂々とした体格の人物がいてアヤの顔を見ると満面の笑みを浮かべて話しかけてきた。
「おお、アヤよ!久しいのう。今日は何用じゃ?」
「お久しぶりです。お祖父様、実はお願いしたいことがあり参りました。」
「ふむ、聞かせてみなさい。」
アヤはゲンオウにエスト王国の現状を話して救援を父シンオウへ頼んだが拒否されたことを伝えるとゲンオウはシンオウに自分から兵を出すうに命じることを約束し、それだけではなくゲンオウは自身の城にいる兵士達を直ぐに動員してエスト王国へ派遣する様に臣下に伝えた。アヤはゲンオウに心から礼いうとゲンオウは優しくアヤの頭を撫でた。
「お祖父さま、他の者の前でおやめください。」
「ワシから見ればお前は何より可愛い孫じゃ、この城の兵士の数は少ないが皆一騎当千の猛者達だ。アヤよ必ずエスト王国の力になろう。それから異国の方、、、ルシアスといったかのう。アヤの剣の腕は知っておるがどうか我が孫をとのむぞ。」
「はい、ゲンオウ様。」
「それでは私達は先に船に戻ります。ありがとうございますお祖父さま!」
「うむ、一刻も早く我が城の兵士をむかわせよう。気を付けてな。」
ルシアン達は船に戻るとゲンオウの兵士達をまった。その日の深夜にゲンオウの兵士達はやって来た。ルシアン達の乗る船と兵士達を乗せた幾つかの船は紫国からエスト王国へと出航した。