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黒髪の公爵達  作者:
13/26

紫国へ

 サヴィーニ伯爵に占領されたクレメンテの領地である港街を奪回するために出撃したシアーノ伯爵軍は山道で一時待機して斥候とシスイの配下である忍びの者達に港街の様子を探らせていた。斥候と忍の者達が戻り港街にはアルバ侯爵軍の姿は無くサヴィーニ伯爵軍だけがが在留している事を告げられた。


 「どう見る?クレメンテ」


 「確かにアルバ侯爵の軍はいないのだな?」


 「はい、港街の周辺にもシスイ殿に使える者達と調べましたがアルバ侯爵の軍の姿は見られませんでした。」


 「我が衛兵と騎士達は?」


 「クレメンテ様に仕える者達は森の奥深くで無事な姿を確認しました。」


 「ふむ、サヴィーニ伯爵の軍だけならこのまま進軍しても恐らく勝てるだろう。しかしアルバ侯爵の軍がくれば苦戦は免れん。」


 「港街から紫国に付き援軍を連れて来るまでどのくらい掛かるのか?シスイ殿」


 「最低でも二週間は掛かるでしょうな。」


 「いや、何としてでも一週間で間に合うよう父上を説得しよう。」


 「港に直ぐに出航出来る船は在るのか?」


 「すぐに出せる船があるかどうかは分かりませんが何隻かの船は確認しております。アヤ殿下達が乗ってきた船は確認出来ませんでしたがルシアス殿達の乗ってきたという大型船ならあり捕らわれた船員らしき者達の姿も確認しております。」


 「可能なら我がラーナドゥール王国の船で紫国まで向かいましょう。」


 「それは助かる。ルシアス殿。」


 「アルバ侯爵の軍が来た時にアヤ殿下が紫国の援軍を連れて来るまで港街の防衛をしなければならないと考えるなら危険な戦いになるだろう。カルロよ今更だがすまない。」


 「私も覚悟は出来ているクレメンテよ最後まで共に戦うぞ。」


 「最後にはさせません、叔父様。シスイ、港街に着いたら直ぐに紫国に出航出来る様にとらわれたルシアスの国の船員達を助けだすよう忍びの者達に伝えてくれ。」


 「はい、姫様。港に着いたら即座に船に乗り紫国へと向かうということですな?」


 「そういうことだ、シスイ。私達は先に港街に向かいますよろしいですね?叔父様、クレメンテ殿」


 「それならば港街に攻め入る前に合図の火花を送りましょう。日が落ちる時に港街に攻め入りますゆえ我らにサヴィーニ伯爵軍が気をとらわれている間に殿下達は出航を。」


 「ええ。クレメンテ殿。叔父様どうかご無事で、行こうルシアス。」


 「ああ!」

 

 そしてルシアスとアヤとシデンとシスイと親衛隊の者数名は忍びの者の案内のもと先に港街へと向かった。一足先に港街に入ったルシアス達は目には最初に来た時の美しい港街ではなく荒れ果てた港の様子が写った。


 「最初に来た時の面影がありませんな。」


 「サヴィーニ伯爵とやらは搾取することしかしない領主のようね。」


 「日が落ちるまでまだ時間があります。いかが致しますか?」

 

 「私達は異国の者、サヴィーニ伯爵軍に怪しまれるだろう、シデンお前は一人の方が動きやすいだろう。私達はわざと牢に入りルシアスの船員達の元にいく、叔父様達の合図が見えたら隙をみて牢屋に鍵を持って来てくれ。」


 「分かりました。アヤさまお気をつけて。」


 そう言ってシデンは人目に付かないようにその場から去った。


 「どう牢屋に入りましょう?姫様」


 シスイがアヤに問いかけた時女性の叫び声が聞こえた。叫び声のする方に行くとまだ若い女性がサヴィーニ伯爵の兵士に囲まれていた。


 「私には結婚を誓い合った方がいます、どうかお許しを!」


 「旦那より先にその体を俺たちに捧げるってか!そいつはいい!」


 「そ、そんな!!」


「待て。」


 アヤが兵士達に言うと兵士達はルシアン達の方を見た。


 「何だ?異国の娘か。妙な刀剣を持ち歩くとはな、しかし雪のような白い肌にえらくベッピンだな。あんたも相手をしてくれるのかい?」  


 アヤに兵士が近づくと思い切り兵士の顔に拳を叩きこんだ。 

 

 「グぁッ!!」


「下衆が、、、」 

 

「貴様!」


 兵士達は武器を抜くとルシアス達を囲んだ。


 「貴方は早く逃げなさい。」


 「ありがとうございます!」


 絡まれていた女性は礼を言ってその場から去っていく。


 「姫様、やりすぎなさらぬように。」


 「分かっている。」


 襲い掛かってくる兵士達にルシアスとアヤとシスイたちは素手で兵士たちを叩き伏せていった。増援が来た時ルシアス達は投降した。兵士達に捕らわれると武器を取り上げられて留置所に連れていかれた。留置所に着くとルシアス達と共に来た船員達がいた。ルシアスは船員達と同じ牢に入れられた。


 「皆!遅くなってすまない。日が落ちた時に牢から出られるぞ。出航は直ぐに出来るか?」


 「もちろんですが、何処へ向けてですか?それにルヴェーラさんやマナさん達は?」


 「ルヴェーラ達とは一旦分かれた、俺たちはこの国の為に援軍を求めにあちらの牢に入れらえた異国の方々の国へ行く。」


 「分かりました!!」


 そして日が暮れると陰からシデンが留置所にいる兵士達を黙らせて鍵を奪いルシアス達の居る牢屋を開けていく。


 「まもなく合図があるでしょう。」


 「ありがとう。シデン」


 留置所の窓を見ると空に火花があがる。それから少しすると留置所の兵士達はシアーノ伯爵の軍との戦いに呼び出され留置所はがら空きになった。


 「もう大丈夫でしょう。」


 留置所の様子を見たシデンがそういうとルシアス達は留置所をでた。街ではサヴィーニ伯爵の兵士達がシアーノ伯爵軍のを迎えうとうと準備していた。ルシアス達を見たサヴィーニ伯爵の兵士が再びルシアス達を拘束しようと迫って来た。


 「ルシアス!ここはわたし達がおさえる!出航の準備を!」


 「分かった。後で会おう。」


その場に残ったアヤとシスイとシデンと数名の親衛隊の者達はサヴィーニ伯爵の兵士と対峙した。


 「その人数で我らの相手をするつもりか!?おとなしく投降しろ!」


 「お前達ごときこの人数で十分だ。」


 「舐めたことを!掛かれ!!」


 襲い来るサヴィーニ伯爵の兵士十数名がアヤ達に切りかかりに迫るとアヤは前に出て剣を握り居合の構えをとる。


 「イスルギ流剣術奥義!一閃!!」


 アヤは兵士が間合いに入る前にそう言って鞘から刀を真横に振るうと刀が鋭く風を切る。次の瞬間迫って来ていた兵士達は胴体を真っ二つに切り裂かれて倒れた。

 

 「な、なんだ!?魔法か?」


 「いや、まさか、紫国の剣豪か!?」


 怯むサヴィーニ伯爵の兵士達をみてシスイが残りは自身と親衛隊に任せてシデンと共に船に乗るようにアヤに言った。アヤとシデンは急いでルシアスの船に向かった。船の前では出航の準備を終えたルシアスと船員達が待っていた


 「シスイ殿達は?!」


 「私達だけだ、あの程度の兵ならシスイ達で対応できるだろう。」


 「分かった!皆、出航するぞ!!」


 船に乗り込んだルシアン達はシアーノ伯爵軍の勝利を願いながら港を後に紫国へと向かった。

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