EPISODE9 微動
8切、階段革命、都落ち、様々なローカルルールを決めて、自分に有利であるように立ち回る。
実に探偵としての頭を働かせるための脳トレのようなものと言える。
桃「そういえば!たっくんとかいちゃんと一緒に登校してるときに、
『校舎裏に誰か入ってくのを見ていった。』
ってたっくんが言っていたわ。見てって言われたときには私は見えてなかったけど。
そうよねたっくん?」
卓「うん。確かねぇ、自分よりも身長は高かったよ。後ろ姿しか見えていなかったから、性別とかそういう詳しいものとかはわからなかったかな。」
やっと推理小説っぽく物語が展開されていくような。そんな感じがしてきた。
取り敢えず、予感の出どころは校舎裏からみたいだ。
僕「ありがとう、というかこの証拠が推理にとって大いなる証言となる。その後のアリバイが来るのは別だがね。」
学校指定の鞄、今はスクールバッグとでも言うのか。
バッグからメモ帳を取り出した。入学祝いのお祝い品だ。
その品には手帳カバーがついている。色はキャメル、牛の革で作られている。
まだ新品なため革は固め。これから味を出していくつもりだ。
もう一つ、得意げに取り出したものはボールペン、だがこれには仕組みがある。
そう、多機能ペンだ。ラインナップはシャーペンが出る仕組みとゲルインクボールペン三色。
典型的なカラバリだ。赤青黒の三色だ。メモを取るにはちょうどいいペン数だ。あまりにも多すぎるのには要点を押さえることができない。探偵としての基本だ。
得意げにどりだしたその二品を机の上にそっと差し出すかのように置くと、二人の証言を書き写した。
念の為だがもう一度、復唱してもらうことにした。流石に数分前に聞いたことを覚えているわけでもなく。
早速0.5mmのシャー芯をペン先から出して少し慌てて走らせた。
よし、まとまった。僕は提案した。
「お昼休みに書き写した証言の所に行ってみようよ。」
2人は勿論のように「待ってました!」と言わんばかりに元気よく承諾した。
だが違った。どうやら八雲くんは図書室にいかなければいけないという約束があるようだ。
それならば仕方ない。そう思った。
約束の場所は中庭の桜の木の下ということにした。
ーお昼休みにてー
卓「よし、揃ったね。ほんじゃ行きましょうか。」
言われるがままに足を校舎裏まで足を運ぶことに。
今思うが、校舎裏には日は西日以外当たらずそれ以外はほとんど陰湿な場所であり、かつ制服で入るにはなんというか適さないし、忍びない。
言い訳はできない。感じ取った気配が何なのかを見つけ出さねばなるまい。
唸った。
何故なら何十年立っても尚、使われることのないような古い建物、誰も寄り付かないであろう。
桃「う〜ん。学校の先生も近づかなさそうな雰囲気醸し出してんのに、ほんっと誰がこんなところに来るのよ。」
僕「そこだよ。」
桃「......?」
僕「よくもまぁそんな顔を...。おそらくその人は人が寄り付かない校舎裏に犯行を決めていたんじゃないかな?そこで何だけどさ、その人の名前を決めておこうよいちいち言うのめんどくさいじゃない。
呼び名は取り敢えずだけどこの場では『マルヒ』とでも言っておこうか。」
桃「『マルヒ』?なにそれ。」
僕「プロの探偵用語で、『特定の犯罪や不正行為の疑いがある人物。』という意味になるね。」
桃「なるほど。無理に名前をつけるよりも通称している言葉のほうがわかりやすいわね。って聞いてるの?たっくん。」
卓「んぁ?聞いてますとも!お話してる最中にも捜査に徹している方が合理的でしょう?そゆことだ。」
一理ある。
だが、ひとまずは担当区域を設けたほうがいい。
この意見には動かずに賛同してくれた。
『特定の犯罪や不正行為の疑いがある人物。』とは言ったが、まだ犯行に及んだかすらわからない。
盗品は?犯行理由は?ほら見ろ、まだemptyだ。
区域はこうだ。
ももちゃんは花壇周辺、たっくんは校舎の壁、僕は謎の古い建物周辺、と捜索することに。
数分経ったが何も掴めず。
確認のため装備している腕時計の指針を見る。12:27。もうすぐ3分前。たっくんが向こう側に言ってしまう前に退散の声をかけたが、たっくんがその場にうずくまっていた。
具合が悪いのか?いや違う。なにか発見したのか。
でも、あと3分しかない。必死に呼び止めた成果あってか重い腰を上げたように「よいしょ」と言わんばかりに膝に手をついて立ち上がった。
一連の動作をしたあとこちらへスタスタ駆け寄ってきた。
卓「少し収集はあったかもしれんよ。」
お、でかしたぞたっくん。何を見つけたのであろうか?
どうせ見つからないという気持ちが晴れるように目がパァッと開いた。
卓「ここの地面はコンクリートだろ?でも向こうの方に行くともう土なんだよ。そこで明らかに掘り返された跡があったんだよ。でも流石に僕も犬じゃないだろ?掘り返すなんて真似はしなかったけどね。
ここってほぼ日が当たらないでしょ?でも、雑に埋められていたのかわからんけどなんか光ってたのは見えたよ。」
僕「でかした。ありがとうたっくん、良い証拠だ。だけど、もう時間がないから放課後にでも探しに行こうか。」
2人は黙ったまま頭を振った。
5月の初旬らへんに日にちが位置していたので、さすがに日差しは夏に近づいてくるので強くはなってくるのだ。
そんなこんなで学校の全過程が終わり、帰りの会が始まった。
係りからのお知らせはなかった。
しかし、学級委員からのお知らせがあった。これは係からのお知らせなのだろうか。
なんとなく虫の知らせのほうが近いのだろうか。
学級委員は椎名遥さん、何故か自ら立候補したたっくんだ。いや、合わせるとするならば井口卓だな。
手を上げたのは椎名さんだ。だが2人揃って立ち上がり、先生が退いた教卓前に並んで口を開いた。
遥「学級委員からのお知らせです。」
ここでおきた伏線などを回収できたりするように構想していきます。
探偵であるかいちゃんがきちんと探偵らしく事件を解決できるようにがんばりますよー!
『マルヒ』というグレーな存在のアリバイ作りも励んでいきます。