EPISODE3 新しい友達
中学入学早々、難ありの出来事。新しい友達。明るい先生。
学校でいちばん重要なのは結局友だちがいる人生というよりも...
楽しいクラスで楽しい友だちと楽しく笑いあえているときだ。
よろしくで始まった新学期。
最後は何を終えるのだろう。
やはりネガティブに考えてしまう。
始めて見た新しい顔達。
何度目だろう。舞う桜の季節、何を想い、何を欲するのか。
学校生活と安寧に僕の心と体を期待として友達に身を委ねることにする。
自己紹介も一通り済んだことで切り替えて次は、教科書配布だ。
このクラスは座席数が8列、一列に最大5人。1クラスに約40人程度収容可能となる。
先生の考えはこうだ。
1列5人で1教科分の教科書を配分。それを残り8教科分するのだ。そうすると必然的に1教科分の教科書が余ってしまう。だがその教科書は先生が運んでくれるとのこと。
早速、作業に取り掛かろう。1列ずつ呼ばれていくので取りに行く。
教室を出て廊下を左に出て突き当りを歩く。しばらく進むと教室の外にあるプレートに「予備室」と書かれている教室。入ると3学年、3クラス分の全教科の教科書が山のように積まれている。
ふと目線を横にやると、教科書付属のワークブックや教材もあった。
小学校の頃の教科書とは比べ物にならないほどの量。
教科書1冊自体がそもそも分厚いため余計に量を多く感じさせる。それを5人で分けて運ぶもののよろけてしまいそうなほどだった。
やっとこさ教室に辿り着くと、先生がすでに出迎えてくださり重荷をほどいてくれた。
しかし、先生でも重いのだろうか教卓の上にどんと音を立ててしまったが誤魔化すようにふぅ、と一息ついた。
次の時間には長かった教科書配布は幕を閉じた。
休憩時間になると同時にたっくんが立ち上がり、此方に寄ってきた。
卓「いやぁ、しっかし疲れましたなぁ。」
とため息混じりで話しかけてきた。
数秒差でももちゃんも寄ってきて言った。
桃「ほんとよねぇ。てか私の持ってた教科書めっちゃくちゃ重かったんですけど!」
卓「いや知らんがな!俺の持ってた教科書のほうがダンゼン重かったし!!」
桃「何さ。あんた大体国語の教科書でしょ。」
僕「まぁまぁ、喧嘩はそこまでにしてさ。新学期、この友達たちと話して仲良くなろうではないか。」
二人は顔を見合わせて黙って頷いた。
その次にはももちゃんの口が動いた。
桃「朝見たフードの子、八雲くん?っていうんだっけ?あの子ちゃんと顔見たらイケメンね!」
目を輝かせながら口角が上げたまま話した。
卓「ちぇ、結局は面食いかい。ももちゃんそういう所あるよね昔っからさ。」
桃「なによたっくん。あ!そういえば、あんた好きな人作るときさ、一目惚れで付き合おうとしてたでしょ。」
小悪魔のようなニヤけた顔でたっくんの核心をついた。
図星なのか、ゲッと言わんばかりの変顔をしていた。
その時なんだろうか会話をしてる最中、背後に何やら気配を感じた。
次の瞬間には、ある光景が目に写った。八雲くんだ。
時「あ、君たち朝の三人組やね。」
振り返ろうとしたが、声の主は自分の隣りにいてかなりびっくりしている。
二人共突然話しかけられてびっくりしているのか腰が抜けていた。
時「いやぁ、さっきの教科書配り難儀やったね。めっさ重かったわ。あ、ウチの声でかかった?ウチの声がうるさかったらすまんな。」
このまま黙っていては八雲くんに申し訳ないし、会話の糸口を作ってくれた本人に気まずい雰囲気を作らすまいと咄嗟に口を開けた。
僕「いや!そんなことないよ。八雲くんであってるかな?」
時「うんおうとるで時とでも呼んでくれな。」
僕「わかった。時君ね!素敵な名前だね。」
時「お、気づいてしもたか。よぉ言われんで。お名前素敵やな〜ってな。」
僕「うんわかるよ素敵なのわかる。おしゃれな感じがする。」
時「まぁ、冗談やけどな。アッハハッ。」
その時、僕は初めて会ったばかりの子の笑い声を聞いた。
元気があり、弾けるような溌剌とした笑顔でこちらに顔を向けた。