EPISODE20 謎解きの真髄とは何か
君たちは探偵をしたことがあるだろうか!
私は進んで何かをしたことが一切ないため探偵などとてもだが縁のないことだ!
さて、議題は変わるのだが…
時「うーん何やったけ、大事なこと。」
僕「頑張って、君にしかわからないんだ」
三人組の誰かが音楽準備室に来た、そしておそらくのその三人の中の誰かが盗んでいった。
それにより元の場所に今も尚あるかどうかは分からないということになる。
その大事な思い出せないことがこの鍵になりえるかもしれない。
時「たしか、伊藤に耳打ちされとった気ぃするんや。誰もおらん空間やったんに、そないな事する必要なんてあったのかなって」
僕「伊藤に耳打ち...それはなんて?」
時「何やったっけね、「時間になったら迎えに行く」って。ウチに対してむっちゃ嫌悪感があったのに、そん時だけ仲間と喋っとる感じの声色やったで、ほんま」
僕「迎えに行く?それは筆箱に対してなのか八雲くんに対してなのか分からないね、でもその後に音楽準備室にわざわざ馳せ参じてきたということはやっぱり伊藤が取りに来たのかな」
僕「でも彼らは、今は謹慎処分として停学処分中、やっぱり聞くしかないか?」
時「せやなそれ以外家を知る術がないもの」
うーんとな。多分アイツは家に持って帰ってはいないと予想。
普通にこの学校の何処かに隠していると思うんだ。周りの目につけられない何処かに隠しておく必要があると捉えたんだろう。
?「その必要はないんじゃないかしら」
ん、誰だろう。二人とも気持ちは一緒なのか誰?と振り返ってみせた。
遥「何二人ともケロっとした顔してるのよ」
時「いやー誰ぞと思うてんもん」
遥「何よあんた失礼ね」
時「すんまへん」
遥「フン」
僕「まぁまぁ、てかその必要はないって」
遥「実は私...」
時「まさか、あいつらの仲間かなんかなん?」
遥「そんなんじゃないってば」
まさかキーマンは八雲くんだけじゃなかったのか。椎名さんもどうやらあいつらについてなにか知っているようだ。
遥「気分最悪だけど実はあいつらの親友…というか」
僕「幼馴染とかってこと?」
遥「まぁそんなとこ、最悪だけどね」
時「そんなんお気の毒様やな」
もしかしたら椎名さん、あいつらの幼馴染なら家くらいは知っているのではないか?
もう少し探りを入れてみよう。
僕「家は知っている感じかな?」
遥「ええ、もちろんよ。でもいじめるような奴らじゃなかったのに」
時「そらまたどうして?」
遥「詳しくは知りたくもないけど眉唾物では家庭崩壊?とまでは行かないけどまぁ家族との仲は悪かったみたいね。唯一の味方がお母さんって感じで。」
無理に聞くのも野暮だし、そもそも言いたくないのかもしれないし、それがひょんなことから八雲くんをいじめるようになった原因とも言えるかもしれないし。
遥「あの人の父親、飲んだくれらしくてまともに職にありつけずに酒、ギャンブル、暴力ばっか、DVね。つまりはバイオレンスでやばいお父さんがいたってわけね。」
遥「いじめる原因が一概にはこれ!とは言えないけど彼の過去が深く根強く残ってる意識なんじゃないかしら。完璧止めることなんかはできないけど、引き離すことはできるじゃない」
僕「いや、まぁうん」
語彙力なんてまるでないような受け答えを今。
遥「父親、昔はそんな人じゃないって言ってたのよ。」
時「ソースは?」
遥「あの人の母親。」
僕「ああ、そう」
遥「もうちょい語彙あるでしょ、無愛想ね」
核心を突かれた。確かにさっきから返事がワンパターンになってきてはいる。
小さく唸るしかない、うーん。
時「今は2人暮らしなん?」
遥「えぇ、そうよ。でも、本当は優しい性格なんじゃないかしらね」
時「そらどうして?」
遥「強がりなのよ、見栄隠しみたいなものよ。言っちゃえばはにかみ屋よね。」
会話の再戦を試みる、途中参戦させていただきます。 少し気まずそうな顔をしながら、そしてあからさまに。
僕「まぁ、つまりは本能なんだろうね、実の母を守るためのね。当たり前のことだと僕は思うよ。」
遥「そうだけどさ…数を率いて無闇矢鱈に暴力散らかすのもどうかしてるわ」
時「その通りやなむしゃくしゃもええところやんな」
僕「家庭崩壊によるいじめの関連性は大いにあるからね」
とりあえずこのまま会話を続けていても不埒なので、話題の転換性を図ってみる。
探りを入れて個人情報、家の住所とかを教えてもらうのも一つ、二つはそこに行く。行動に起こすのが大事とするのだ。
遥「アイツのこと最悪って思ったのはいじめをすると言うよりも取り巻き作って集ってる方がよっぽど質悪いと思って最悪って言ったんだけどね。」
僕「なんせ、彼は折りたたみ式のナイフを携帯していたからね」
遥「どこでそんな話を?」
僕「実際に居合わせたからさ、一番情報を知っているし彼らが何をしていたのか」
遥「まさか…道具使って痛めつけようなんて…」
僕「その時の標的は校長さ、逆に彼らが痛めつけられてたよ。」
遥「にしてもよ!ナイフなんて…信じられないわ。」
とりあえず一つ咳払いをして会話を終わらせる。
次の議題は伊藤君たちの情報だ。犯罪を犯そうとした情報は要らない、彼らの個人情報をいまは欲する。
僕「そういえばさ、椎名さんは幼馴染だったよね?もしかしたら彼の家を知ってるとかは」
遥「あんた、さっきも聞いてたわよね」
覚えてない、本当に覚えてない。
僕「いつ言ってた?」
二人の顔を順番に見る。一人はあっけを取られた顔でため息をついてる。もう一人はニコニコしたまま話を聞いてる。
遥「あんたねぇ、忘れっぽいんじゃないかしら」
僕「はて」
遥「3分前に」
ただ呆然と立ち尽くしていると急に頭の引き出しの奥底から記憶が引き出されてくる。
僕「もちろん、そう言ってたねごめん。」
遥「進まないじゃない案内まではできるけどあんたたち、もうアイツらに顔割れてるんでしょ?」
時「まぁね」
遥「まぁね、じゃないわよ家に行けたとしても中までは入れないでしょ」
僕「その言い方だと出入りは自由って聞こえるけど」
遥「それは表現が跳躍しすぎなんじゃないの?」
僕「失敬」
僕「表現を押さえたとしてと椎名さんは立ち入りできるってことでしょう」
時「まぁそうは聞こえるね」
遥「そうよ、一応。許可さえ取れればだけどね」
時「幼馴染補正ってやつかー」
例え僕たちが家に立ち入りできなくても椎名さんがインタビューでもしてきてくれれば解決の糸口は見つかるはず。
僕「ぜひ頼みたいんだけど」
遥「私は問題ないわ、でもあいつが…」
時「筆箱の行方もわからへんし、同時解決できんのやったら成績アップやな」
僕「そうなればいいね頑張ろう」
さて、いじめをしてしまう原理っていろいろあるわけだが、家庭崩壊が原因でもあり得るし、普通に出来心というのもあるのだ。
出来心に関しては「こいつ弱そうだからいじめたろ」みたいな感じ。
兎にも角にもいじめというのは絶対してはいけないし、見逃してはいけない。というのを肝に銘じておくように




