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1年A組の事件簿〜筆箱失踪事件編〜  作者: o
1章【you and me】
2/22

EPISODE2 よろしく

鞄を背負い、袖を通し、見知らぬ場所で親友との再開。

それでも小学生ぶり。少しでも会っていないと幼馴染は寂しいもんだ。

緊張はしないものの美味しそうな朝食は量が多く感じあまり喉を通らなかった。

スレンダーで黒髪の男の先生はこう言った。


早「んじゃまぁ自己紹介でもしてもらおうかな。」


この一言にクラスの皆々までが息を呑んだ。


早「んん〜ゴホン、では君から自己紹介してもらいましょう。

基本的に自由だけど好きな食べ物とか趣味とか呼んでもらいたいあだ名とかは教えてほしいかな。」


手差しされながら指名されたのはたっくんだった。案の定、緊張する素振りがないまま不器用に椅子を下げると、


卓「どうもこんにちは井口卓です!好きな食べ物は唐揚げです!趣味はゲームと遊びです!たっくんって呼んでね!」


華奢で子供染みた、いかにも!な腕白ボーイの声を彷彿とさせるような口調でそういった。

クラス中は笑い声でたっくんを最初の住人のように歓迎していった。次々に自己紹介が進む中、早速学級委員長を名乗りあげる人が現れた。

変な人だなと一度は流しそうになったものの、意外に自分の性分とくっついた。


?「椎名遥(しいなはるか)と言います。1年A組の学級委員立候補者です。特技は、楽器全般を弾くことが出来ます。遥、とでも呼んでください。」


時期尚早、まだ会ったばかりなのにいきなり学級委員に立候補なんて、ましてや委員長。気の強い子なんだと一度は思ったものの、自分の目標が明確に持てているということは素晴らしいことだ。

また自己紹介が淡々と済まされついに僕の番へ。

しまった。

僕であろうものが人の発表に目移りして全然内容を考えていない。代案もないし練る策もないし、宛になる言葉もない。しくった〜...。


早「では次。お願いします。」


とうとう僕の番だ。諦めの悪いことはよせ。文を考えることに集中するんだ。決意を固めた。

椅子を引いて、深く呼吸をして深く吐いた。 

いざ、ゆかん。


僕「ドウモナルセカイトデス。シュミはスイリショウセツ、カイトッテヨンデクダサイ。」


と言い終えると勢いよく椅子をもとに戻して顔を俯け足に手を置いた。

しまった。僕特有の緊張したらカタコトになり早口になってしまうこの癖。絶対皆聞き取れてなかった。

とやるせなく脳内で一人反省会をしているとどんどん進行していく。

相手の聴きやすさよりも自己紹介を早く終わらせたい利己的な考えが先走ってしまった。

どんどん進行されていった。気づくとももちゃんの自己紹介も聞き流してしまったようだ。

ら行終了。


すると、先生に似た体型で透き通った色白の肌と、光が当たると輝く綺麗な茶髪。風に当たると、サラサラと髪が(なび)く。

染髪したんじゃないかと疑うほど綺麗。色素レベル、いや細胞レベルで美しい。僕の感がそう云う。

すると、しばらくして彼は立ち上がった。垂れ目の二重で茶色の眼で瞬きしながら口を開いた。


?「どうも。八雲時(やくもとき)と言います。好きな食べもんはにしんそばとお抹茶ですねん。特におかんが作ってもろたやつは別格もんやで。ウチの趣味はゲームをすることやで。ほなみんなよろしゅうな。」


衝撃が走った。こんなイケメンが関西弁とかズルすぎるのにもほどがあるだろ。てか癖強いな。現地民なんだろうか。語調も関西弁だし、関西では有名なにしんそばを好んでいる。しかも抹茶。これは京都出身であるのだろう。後で聞いてみよう。

八雲くんの次の子でラストだ。


?「ど、どうも勿忘一日(わすれないちか)申します。趣味は読書と機械いじりです。好きな言葉は『狭き門より入れ』です。結構気に入っています。」


メガネを掛けたロングヘアーの女の子。機械いじりが得意とはなんとも数奇な特技だ。僕には出来得ないことだ。にしても、勿忘とは珍しい苗字だ。どこ出身なのだろうか。

しかもかの有名な救世主のお言葉でないか。渡るのが安易な道よりも、難儀である。

つまり言うと茨の道だ。人はたとえ茨の道であっても困難であっても歩みを止めてはいけない。理想を目指すまではと我が物顔で語り合えてくるに違いない。


早「はい!ありがとうございました。人の名前を覚えるのって難しいよな。すぐに会ったばかりだけど無理

は言わない、皆んなの顔と名前を徐々に覚えていこう。ってことで、今日から皆んなはこの1年A組のライバルであり仲間だ。お互いを高め合い、お互いを助け合う。これって最高じゃないか!」


熱い情熱を持ったいい先生じゃないか。僕らの教育理念の理にかなっている。皆んなこういう先生ばかりだといいのだが、やはり世の中そうはうまくはいかない。

教室のど真ん中の席で心の中一人で呟く。


早「それじゃあ机と椅子を後ろに下げて前の方に輪っかになって。」


ん?なんだ?疑問を抱いたと途端に


早「ほら皆んな早く早く。」


ちょうど皆んなが楕円形になったところで言った。


早「左、右、前の皆んなと顔を向き合わせてみて。一人一人顔が違うんだな。一人一人個性があるんだな。

一人一人好きなものが違うんだな。これらを表す四字熟語は知ってるよな。そう十人十色と言うんだ。

つまり何が言いたいかと言うと...人間は皆んな違うんだよ!」


何を当たり前を。思ったが一理あるのかもしれない。人は一人では生きていけないからね。協調性を持ちな

がら生きていけないといけないもの。


早「ハイでは皆さん。よろしく〜」

一同「よろしくお願いします。」


教室中に緊張が走る中で一人一人が挨拶を交わした。

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