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1年A組の事件簿〜筆箱失踪事件編〜  作者: o
2章【犇めく陰謀】
10/22

EPISODE10 何だこれは

事件発生。

容疑者、不明。盗品、確認。犯行動機、不明。

分からずじまいだ。

放課後、僕達三人以外に他に人はいた。

図書館で友達と勉強しに行く人。はたまた普通に帰る人。

人それぞれだが、教室内には八雲くんが残っていた。

もう一人気になる人といえば椎名さんだが、友達は多いが寡黙な人で感情もあまり表に出さない。

そんなところがますます怪しく感じさせる。


自己紹介から時間は随分経ったが、初っ端から学級委員を立候補しては全員一致で決定だし。

なんというか初見でみるとかなりインパクトが強い人だと感じる。

学級委員の付き添いとして椎名さんともお話をするのだが、これがまた話しやすい。

なんでも、相方のたっくんのことだ。彼とペアになった時にちょっと抵抗があったみたいだ。

しかし、朝の会で先生から話がある学級委員だけの集会のようなもの、いわば集まりだ。

これを重ねていくに連れ、会話も交えるはずだ。

段々と打ち明けていけるようになったそうだ。

クラスの安寧を任せる長だ。これくらい難なくこなさなければ、まさに虎穴に入らずんば。


彼は小学校からずっと友達という友だちを増やしまくれる天才だ。これくらい容易いだろう。


八雲くんはと言うと...、彼を目星につけて始めてからもはや疑いの目でしか見れなくなった。

とはいえ、同級生(クラスメート)なわけだ。

会話の一つや二つくらいはする。

だがしかし彼の関西弁も相まってくる()()()()()というか、でもそれ以上でもそれ以下でもない。

それが怪しさだとも言える。


2人はもうすでに約束の場所にいた。

まずいと思いつつ少し足早に向かう。

ないはずの時計を見る仕草をしてたっくんは言った。


卓「3分遅刻だぞ〜海人!」

桃「いいじゃない。色々準備とかしてたんでしょう。ね?かいちゃん。」


黙ったまま(かぶり)を振った。

それにしてもたっくん。それは、早乙女先生のマネではないか?まずくないか。似ているけれども。


下がった頭を二人の方に向けるとふっ、とゆるく口許(くちもと)が緩んだ気がした。

それから二人へ歩み寄っていくと「行くぞ」と声をかけられ背中を軽く叩かれた。

安心できる温もりと声だった。


ー校舎裏にてー

例の掘り返し穴へ足を運ぶ。

二人はすでに清掃員さんにガーデニングツールなどを支給してくれと頼んだそうだ。

そのために手元には軍手やシャベルを支給してくれた。

なんでも、「学校をきれいにしてみたい。」と頼んだそうだ。

子供の笑顔に奉仕活動とは、それはそれはよく感動するものだろう。


さてと、穴を取り囲むようにしゃがんだ。

何があるんだ。

軍手を嵌め、シャベルを手に持ち穴を掘り返す。

それは想像を覆してくるものだった。


何だこれは...。


筆箱?!

二人もびっくり。たっくんは固まり、ももちゃんは両手で口を覆い隠している。

勿論僕もだ。今までも謎を解いてきたが、これは予想の斜め上だ。

光って見えると言っていたのはチャックのスライダー部分だったのか。

しかし、光って見えると言ってもチャックの部分だけじゃ十分に光を反射させることは難しくないか。

周りに付着していた土を丁寧に払い筆箱の外見や特徴を確認したのでぐるりと見渡した。


中身が入っている。

中身があるならと思い、失礼ではあるが中身を拝見させてもらった。

かなりの量のペンがあったのでひっくり返して一本一本並べてみた。

手伝ってくれたので早く済んだ。

確認してみると、色の違うペンばかりだった。中にはシャーペンも入っていた。

誰がなんのために、どうして、なんでこんな事になったのか。

これが仮にいじめだとしたら、実に陰湿すぎる。

最低、卑劣な行為だ。


だとしてもだ。急いで立ち上がり釣られて立ち上がるのは後続の二人。

善は急げとは言うのか、余計な思考はいらない。

急いで校庭に面している職員室へ駆け寄った。外用の入口があるのでそこに。

迷惑だと思うが、非常事態だ。

お構いなしにドアをガンガンと鳴らす。

こちらに気づいたのか、全職員が注目している。


うちの生徒だと気づいたのか早乙女先生がドアを開けた。続いて七海先生もこちらに駆け寄ってきた。


早「どうしたんだ!怪我でもしたのか...。」


すぐに悟った。


早「海人、それは何だ。」

僕「はい。すべてお話させていただきます。ですが第1発見者は僕だけじゃないんです。」


僕の両脇から二人が顔をひょこっと早乙女先生に向けて姿を表した。

少しびっくりしていた顔をしていたがすぐに直した。

事情を悟ったのか、すぐ隣の教室の会議室へ招いてくれた。


ー会議室にてー


早「う〜ん。つまり昼休み中に見つけた筆箱を放課後に掘り返した、とな。」

僕「はい。」


今まであったことをありのまま先生に告げた。何があったのか、経緯は?、どうして掘り起こそうとしたのか。

話し終わってから、思っても見ないことを聞くことになった。


早「そうか。こんな事になってしまったか。」


ん???どういうことだ。早乙女先生も含みのなる話し方をする人なのか。

早乙女先生と七海先生は顔を見合わせてなにかアイコンタクトでも取っていると言わんばかりに頷いた。

そして、気の毒そうに早乙女先生の口が開いた。

二の句が継げないのか、少し間を取って話しだした。


早「驚かずに聞いてくれ。実はこの学校に最近奇妙なことが起こっているらしいんだ。

なんでも、物がなくなってしまうらしいんだ。その筆箱の件もそうなんだが、君たちが入学してから、何故か職員室にある備品やらなんやらがちょこちょこなくなってしまっているらしいんだ。

先生たちもその被害者。

どうやらその盗難事件が生徒たちにも被害を及ぼしていると報告があったんだ。

念の為に、生徒たちを怖がらせないように安心できる学校生活を送れるようにしたいのだが、これから先も続くようであれば、さすがに生徒たちにも伝えなければならない、ということになるのだが。

すまんな話が長くてな。」

僕「いえ、問題はありません。ただ、一つだけ。その盗難事件は生徒たちにも被害が及んでいると言いましたよね。」

早「うん。如何にも。」

僕「入学早々から、1ヶ月弱経っているにしてもこんなことをする輩がいるとは思えないのですが。」

早「そうだよな。俺もそう思うんだが、一つ引っかかることがあるんだ。

それはな、盗品は()()()()だけじゃないんだ。

わかりやすく言うとつまり、様々なものが無差別に盗まれているということだ。」


その時に衝撃が走る。

埋められた筆箱は確かペンだけだ。

他にも盗まれたものを留置している場所、物があるということなのか。

にしても不愉快だ。

なぜソイツは物を盗まなければならないのか。

なぜソイツ犯行に及んだのか。

持ってきていた手帳に証言を走らせる。

ようやく事件が発生しましたね。

さぁここにて事件開幕。


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