15 ベッドの上で披露された〇〇
♡♡♡……(※表現できない音です)
「やだ……っ」
♡♡♡……(※とても書けない事をされています)
「やめて……ッ!」
ミチルは懸命に身を捩り、なんとか皇帝シャントリエリのキッスの嵐から逃げた!
「は、あ、はふ……っ」
好きでもないハンサムにこんな事までされて、ミチルの心は屈辱にまみれていた。
息が荒く切れる。心臓がドクドクと鳴る。今にも恐怖で気を失いそう。
だが、ミチルの心には大好きなイケメン五人と一人(最近加入)がいる。
彼らの顔を思い浮かべた。覆い被さって顔中にキッスしてくる皇帝を押し退けて起き上がることに成功する。
みんな……! オレ、負けないよ!
「なるほど。さすがに男だな、力が強いではないか」
脱がされたズボンが足に絡まったまま、ミチルは余裕に笑うシャントリエリから腰を引いて後方へずりずり下がる。
しかしシャントリエリは口元を緩めながら、またミチルとの距離をつめてきた。
「近づくんじゃねえぇ! ヘンタイ、スケベ、ソフモヒッ!」
「まあ、抵抗するのも最初のうちは可愛らしいが……」
その琥珀色の目が、ミチルを鋭く射抜くように光る。
「あまり度が過ぎると手加減できないぞ……?」
「ヒイィッ! ……って、そんな脅しに負けるもんかァア!」
涙目のミチルは、その場で手足をバタバタさせていた。バリケードのつもりである。
「諦めろ、お前は余の物になるのだ」
「なるかァ!」
「そして、余のために救世主を産め」
「誰が、は……ハァ!?」
文句の一つも言ってやろうと思っていたミチルの耳に、ものすごい情報が届いた。
イマ、このヒト、ナニ言いました!?
「プルケリマは、地上のヒトと交わって救世主を産む。お前もどこかで聞いているだろう、プルケリマの伝説を」
「えっ、あっ、そうだけど……オレもイケメン達も男同士で……ええ!?」
確かに。従来のプルケリマとカリシムスなら異性であるはずなので、伝説通りならそうなる。
だからこそ、法皇エーデルワイスは苦悩していた。ミチルとイケメン達が同性である事に頭を抱えていた。
だが、同性同士でも絆が結ばれれば♡♡♡は可能であるし、その行為そのものが世界の浄化に必要だと言われていた。
その行為の結果には、今回言及されていない。
言及する必要がないとミチルは思っていた。そんな事は不可能だからだ。
「お前が、レプリカとは言えプルケリマである以上、その可能性はあるのだ」
「バカ言えぇ! オレは男だぞ……って何回言わすんだ!」
ミチルは必死でそれを打ち消そうとするけれど、シャントリエリは冷静に淡々と事実を述べる。
「お前の性は関係ない。お前は男である前にプルケリマなのだ。その身はカリシムスとの子を宿すことが出来る」
「ハッキリ言わないでぇえ! 気持ちワルイ!!」
そんな事、考えもしなかった。
同性同士のプルケリマとカリシムスだと言われた時点で、それは意識の外に追いやっていた。
俺たちは「イレギュラー」だと信じて疑わなかった。
「気持ち悪い、とは聞き捨てならん。これは尊い行為なんだぞ。余はお前とコトに及んで、救世主の父となる」
「無理ィ、ムリィイイイ!」
コトに及ぶとか、連想させるような事言わないでよ!
ミチルは頭をぶんぶん振って、そんな可能性は吹き飛ばそうとしていた。
「確かに、プルケリマと言えども本来の性が同じであるから、無理に近い所業ではある。一説には異性のプルケリマに比べて同性のプルケリマが子を為す可能性は千分の一にも満たないらしい」
「えっ、あ、そうなの?」
その「設定」にミチルは活路を見出しかけた。だがそれも所詮は気休めだと思い知る。シャントリエリが続けてとんでもねえ「野望」を告げたからだ。
「だが余は諦めん。千回に一回の割合で、できるかもしれないのだからな」
「せ……っ」
ミチルはゾオッと血の気が引いた。
まさか千回……なんて言わないよね?
「手始めに一日三回、それを一年続ければ何らかの結果が出るだろう」
一日三回、休みなく……!? 裂けるッ!(※どことは言えません)
「それでダメなら、回数を増やす。そうしているうちに、いつかは……」
一日四回以上!? 確実に裂けるゥ!(※どことかは言えません)
完全に青ざめるミチルに、シャントリエリは少し照れながら告げた。
「まあ、そう言う事だから、さすがの余もお前以外とスル余裕はもうない。だからお前がアーテルの『皇妃』になるのだ。良かったな」
「良くねえだろぉお!! そんな気持ちのワルイ野望は今すぐ捨てろぉおお!!」
黙って聞いていれば、ど下ネタのオンパレード並べやがって!
いくらオレに耐性があっても耳が腐りかけたじゃねえか!
ミチルの怒号に、さすがのシャントリエリも眉を顰めて、ズイとミチルに再び覆い被さる。
「気持ち悪い、とは何だ。これは聖行為だ。余とお前の血を引く子が、この世界の頂点に立つんだ」
「ヤダァア! どけぇええッ!」
再び襲いかかるぱっくんちょ危機。
このままではミチルはNTRされてしまう。カリシムスでもない、ただのハンサムに。
カリシムス……で、ない?
「ちょ、ちょっと待って! 待って待って、ほんとに待って!!」
上着を脱がしにかかるシャントリエリの耳元で、ミチルは大声で叫んだ。
その甲斐あって、シャントリエリの動きが止まる。ここぞとばかりに、ミチルは必殺技のように言い放った。
「おまーとオレの間に、そんなモン出来る訳ないだろっ!」
「なに?」
「だって、おまーはオレのカリシムスじゃないじゃないか!!」
披露された気持ち悪過ぎる設定は、プルケリマとカリシムスであることが大前提。
目の前のハンサムはミチルのイケメンではないのだ。
口車に乗せられる所だった、これで論破できたはず。ミチルは再び希望を持つ。
「ああ……すまん、忘れていた」
だが、その希望は冷たい笑みとともに崩れ去った。
「余も、カリシムスだ」
え?
七人目……ってこと?
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