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6 ベストカップル?

 真っ黒異空間に幽閉されているチルクサンダーは、ミチルが地球にいた時からミチルのことを逐一夢に見ていた!

 見守りどころか、見張りである。何しろチルクサンダーはミチルの地球での初恋や、カエルラ=プルーマに来てからのイケメン遍歴を全部知っていたのだから。

 そこに彼の意思があったかはわからないが、それってもう、ストー〇〇ってやつじゃない?




「それでえ……オレのことを何度も夢で見たからって、なんで運命の伴侶ってことになるの?」


 異世界に召喚されて散々嫌がっていたけれど、ミチルは最近やっと自分がこの世界の重要人物だと受け入れた。

 もっともそれよりも前からイケメン達から妻だのプルクラだの言われているので、「運命の伴侶」と言われた事そのものには耐性がある。問題は、何故そう思うのか。その論拠をチルクサンダーから聞きたいミチルであった。


 初恋?を拗らせた、幽閉されたために世間知らずの、強火な妄想でなければ、何かちゃんとした理由があるだろうとミチルは思った。

 だがチルクサンダーの答えは……


「うん? 我はカミの眷属ぞ」


「それは聞いた」


「我はカミの次に尊い存在である」


「……まあ、そうなんでしょうね」


 チルクサンダーの回答は要領を得ない。

 ミチルは彼が何を言いたいのかわからないまま、相槌を打つしかなかった。


「カミの眷属である我の見る夢をそこらのヒトと一緒にするな。尊い我の見る夢はそのものがすでに運命の断片。尊い我の思考の中にこんなにも入り込めた存在が、尊い我の伴侶でなくて何だと言うのだ?」


「んー? ごめんなさい、よくわかんないんですけど……」


 尊い、を連呼されてもなあ。

 ミチルはチルクサンダーがそれほどまでに「神様!」感があるとはまだ思えていなかった。

 

 だって見た目が完全に魔族なんだもの。片方だけど立派な魔王?の角があるもの。だが、こいつには「魔王!」感があるとも思えない。

 ミチルはいまだチルクサンダーと名乗るこのイケメンの存在が何なのか測りかねていた。


「だから、カミの眷属である我が直感したのだ。オマエは我の伴侶だと。カミの眷属である我の直感は何よりも正しいのだ」


「お、おお……」


 何だかすごく誇らしげに言ってますけども。

 ミチルはチルクサンダーのドヤ顔に少し引いていた。




 つまり、「運命の伴侶」たる証拠とかはないわけで。

 チルクサンダーはカミサマの眷属。カミサマに属するチルクサンダーの感じたことは全て真実。

 そのチルクサンダーがミチルを「伴侶」だと感じたならそれが真理である、という事か。




「ほんとにぃいいぃ……?」


 ミチルはその疑念をつい口に出していた。

 疑いの眼差しを向けられたチルクサンダーは憮然としている。


「何、オマエ、カミの眷属たる我の言う事が信じられぬと言うのか?」


「……オレは生憎この世界のカミサマの信者ではないので」


 ミチルの心情は本人でも驚くくらいに冷めていた。

 何しろ、自分はカミサマの眷属であるプルケリマの宿命を背負ったレプリカ──セイソンであると受け入れたばかり。

 

 オレは「セイソン」であって、「チルクサンダーの運命の伴侶」ではない。

 せっかく受け入れた自分の設定がブレる。新しい設定を付け足されたら困るのだ。訳がわからなくなる。



 

「おかしな事を言う。オマエはプルケリマではないか」


「……というか、その代替だけども」


 カミサマの信者ではない、というミチルの言葉にキョトンとしながらチルクサンダーは続ける。


「よいか、プルケリマもまたカミの眷属だろう。オマエはそのレプリカといえど、カミの眷属を名乗る資格がある」


「はあ……そうなんです?」


「つまり、我とオマエの身分は同等ぞ。同じカミの眷属たる存在が伴侶とならずに如何する」


「む……ううん?」


 オレとチルクサンダーが同等? こんな威猛々しい見た目魔族なイケメンと、ちっぽけなこのオレが?

 チルクサンダーの言いたい理屈はわかる気がする。だが、ミチルにはその実感が湧いてこない。


「つまり! 我とオマエはべすとかっぷる♡というヤツなのである!」


「んんん?」


 辿々しい言い回しでそう言ったチルクサンダーは、またもやドヤ顔をしていた。


「ふっふっふ、オマエの事をずっと夢に見ていたのだ。オマエの故郷の言葉も少し覚えたぞ!」




 ヤダァ! 可愛いッ!!




 得意げに胸を張るチルクサンダーが、ミチルには急に親近感のあるカワイイ存在に見えた。

 不覚にもキュンとしてしまった胸の内を悟られないように、ミチルはチルクサンダーから目を逸らす。


「そ、そ、そうなのかもしれないけど、オレにはもうプルケリマとしてのカリシムスが……」


 そうよ、アタイはすでにダンナ持ちなの! 間男が誘惑しないでちょうだい!

 ミチルの脳内にはさっきから団地妻的キャラクターが出来上がりつつある。


「ふん! カリシムスなど、ただのヒトではないか。そんな下賤な者にオマエをやるものか」


「ええ? だってプルケリマはカリシムスと契って世界を救うんでしょ?」


 ミチルの頭は段々と混乱してくる。

 チルクサンダーはその問いに、冷酷な言葉で返した。


「羽虫の世界など、我にはどうでもいい事だ。オマエもそんなものに関わる必要はない」


「え──」


 ミチルは何か、全ての根底が揺らぐような事を言われた気がした。



 

「ミチル、オマエはプルケリマ=レプリカでありながら、我と縁を結んだ特別に尊い存在なのだ」


 ちょっと待ってよ。


「オマエは我と契るために、プルケリマという身分を持ってカエルラ=プルーマに召喚されたに違いない」


 ほんとにちょっと待ってって。




「当代のプルケリマ=レプリカは、カミの眷属である我がヒトより召し上げる!」




 おおい! 話が変わってきたぞ!

 ミチルの身柄は、ほんとにどうなる!?

お読みいただきありがとうございます

感想などいただけたら嬉しいです!

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