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《最終章毎日更新》【BL】異世界転移なんてしたくないのにくしゃみが止まらないっ!  作者: 城山リツ
Meets05 優しいバーサーカー

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21 (朝)8時だよ!

 朝が来た。

 ミチルはふかふかのベッドの上で目を覚ました。


「ふみゅ……」


 まだ定まらない思考の中、鼻をくすぐる柔らかくて黒い髪の毛。


「ん……」


 彼の癖っ毛が、ミチルの胸元で揺れていた。


「ルー……ク?」


「ミチル……」


 ルークはまだ眠りながら、ミチルの胸に顔を埋めている。

 その頬ですりすりしながら、イヤンな二点を目指している。


「……っ! ル、ルー……クゥ!」


 ミチルは思わず身悶える。

 ルーくんは良い子だけど、眠ると肉食の本性が出るのです!


「ミチル……ぼくの……」


「あっ! ルーク!」


「ミチルは、ぼくの……」


「やあっ! そんなトコ触らないでぇ!」


「プルクラ……」


「ああっ! そんなに強く吸ったら──」


 だめぇえええ……♡





「へえぇ……」


 今朝も繰り広げられた二人の痴態を眺める人影。


「ル、ルード!?」


 ルークの兄、エセアラ○ンのルードが、半裸にひん剥かれたミチルを冷ややかに見つめていた。


「……」


「ちょっと! 見てないで止めてよぉ!」


「うるせえ。俺様は可愛い弟の『(オス)』を目の当たりにして傷ついてんだ」


「ええー……」


 ミチルがちょっと引いていると、ルードは悔しそうに顔を歪める。


「ぬぬぬ、子どもの頃は『にいたん、にいたん♡』と可愛く笑っていた弟が、こんなチンケな少年相手に欲情しているなんて……」


「ねえ、ちょっと。そのアータの弟、なんとかしてくんない?」


 ミチルに覆い被さるルークはまだ寝ぼけていた。そしてその訴えは聞き入れられず、兄は破天荒に振る舞う!


「くそぉ、俺様も興奮してきた! こうなったら混ざってやる!」


「ギャアァア! ふざけんなぁああ!!」


 ウソでしょ、兄弟に挟まれて××!?

 ルードは恐怖に慄くミチル……ではなく、ルークの方に覆い被さった!


「ルーくぅうううん♡」


「ギャー! ルーク! 起きろぉ! 実の兄ちゃんに×られるぞぉ!」


「ん……んん?」


 ミチルの決死の叫びがようやくルークに届き、目を覚ます。すると、ルードはパッとそこから離れた。


「兄さん……?」


「やあ、ルーク、おはよう。いい朝だね、ハハハ」


「おは、よう?」


 ルークが起きてどいたその隙に、ミチルはベッドの端に移動して、乱れたパジャマを着直した。

 あっぶねー、あっぶねー!

 なんかイロイロ危なかったッ!


「ミチル、おはよう」


「うん、おはよう!」


 朝日を浴びてキラキラ輝くイケメンスマイル!

 毎晩肉食されかけるが、この顔で全部帳消し!



 

 ミチルがルークの家に居候してから三日が経っていた。

 金持ちの家は部屋が余っていそうだけど、居候の身分で個室を要求できる訳もなく。

 さらにはルークパパのマグノリアから「嫁の分際で夫と床を共にしたくないと言うんか!」と圧をかけられたので、ミチルはルークの部屋で同衾する日々。


 同衾についてはありがとうございます。

 でもね、毎晩ぱっくんちょされかけているので、だいぶ寝不足です。


 そんなミチルと違って、ルークは毎朝スッキリ爽やかに起床している。

 眠りながら発散しているからだろう。しかしルークには悪気はもちろん、記憶もない。

「アナタ毎晩ワタシを××してるんですよ」なんて、こんな無垢なルークに言えますか? 言えないでしょう?


「……へっ、健気なこって」


 そんなミチルの態度を見透かすように、ルードは薄く笑って皮肉を言った。

 なんとでも言え。ルークの心はオレが守るんだ。



 

「兄さん、どうしたの? もしかして……」


「あっ! まさか?」


 魔教会をぶっ潰す算段を整えたら連絡する。ルードは以前そう言って、誘拐されたミチル達を助けてくれた。

 もしかしてXデーが近いのか?

 ヤバい、イケメン達がまだ見つからない。


 この三日、ミチルはルークと街を巡って聞き込みなどをして、はぐれたイケメン四人を探した。

 だが、暑いわ眠いわで、あまり捜索は進んでいない。


「いや、例の計画はもうちょっとつめる必要があってな。今日はウチで飼ってる捕虜を連れてきた」


「捕虜? まさか、帝国の……?」


 ルークが一気に真面目かつ不安な面持ちで兄に問う。ミチルも捕虜という危険ワードにビクついた。

 しかしルードは軽く笑っている。


「外国人だけど、帝国人じゃねえよ。しばらくウチに置いといたんだが、食費がかさんでなあ。親父サマに預かってもらいてえんだわ」


「つまり、兄さん。その捕虜、お客としてもてなせ、言うこと?」


「いやあ、そんな上等なことしなくていいさ。地下室にでもぶち込んで、水とパンでも与えてくれりゃあいい」


 ぞんざいに言うルードに、ミチルは思い切って聞いてみた。


「捕虜って、その人、一体何したんです?」


「あー、まあ、それは面倒くせえから親父サマの前で言うわ。お前らも着替えたら広間に来な」


 そう言い捨てて、ルードは部屋を出て行った。

 ミチルとルークは急いで着替えて、マグノリアが朝食をとっているであろう広間へと向かった。




 

 

「まったく……次から次に面倒を持ち込みおって」


 食後のお茶を飲みながら、マグノリアは長男に向かって渋い顔をしていた。


「まあまあまあ! 親父サマよ、案外これが掘り出し物かもしんねえぜえ?」


「何をたわけたことを……」


 ミチルがルークとともに広間に着くと、すでにルードが仁王立ちで奥に座る父親と会話していた。

 そのルードの横に置かれているのは、バカでかい麻袋が四つ。奇妙にどれもうごめいている。


「おはようございま……って、ナニコレ!?」


 ミチルは目の前の物体に度肝を抜かれた。

 サンタさんの袋のボロボロバージョン! てっぺんは紐で縛られている。中のものがうごうごしている。

 

 ちょっと待って。まさか中に人なんて入ってないよね? 窒息するでしょ!?

 ……と思ってよく見ると小さな穴がいくつか空いていた。空気穴だ。ってことはやっぱり確定じゃん!


「ミチル、危ない。ぼくの後ろに」


 さすがは弟、兄の破天荒さは承知の上のようだ。ルークはミチルの腕を引いて、巨大麻袋たちから遠ざける。


「わかった。荷を解きなさい」


 肩で息を大きく吐いて、マグノリアが諦めたようにそう言えば、ルードはニヤと笑って指をパチンと鳴らした。

 すると、麻袋の紐がそれぞれ解けて、袋部分が奇妙に広がった後、中の人物を解放して消えた。

 どうやらルードの拘束魔法だったようだ。


「!」


 ミチルの目の前に現れたのは、頑丈なロープで縛り上げられ、猿轡をされた、輝かんばかりの男性四人。


「もがががっ!」

「むぐぐぐ!」

「ぬぬぬぬ……」

「むむむ……」


 わりとくたびれてボロボロだけど、ミチルがその美貌を見間違うはずがない。


「みんなァ!!」


 イケメンが、全員集合!

お読みいただきありがとうございます

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