「作黃衣法」再現実験
今までの実験とは一体……というレベルで、あまりにもうまくいってしまった。
1500年前のテキストすげー。
和訳:陰暦六月、小麦を取り、よく洗い、甕の中で水に浸し、酸っぱくさせる。
→陰暦六月はとうに過ぎているが、別に出来ないわけではない。
本来は小麦粒なのだが、無かったので米で代用とした。
酸っぱくさせるというのは、乳酸発酵を進めるということで、ある程度の温度で長時間漬けとけば進む。
ただこの工程は面倒だったので、ヨーグルトの乳清を加え、ヨーグルトメーカーで一晩保温して省略した。
和訳:水を切って、これを蒸す。
→普通の製麴に準じて、2時間の水切りと40分の蒸しを実施。
米の性質として、中心温度98℃以上15分以上を経過させる必要があり、この作業は簡略化しようがない。
和訳:蚕座の上にムシロを敷き、麦を置き、2寸の厚さに盛り、一日前に刈り取っておいたオギで薄く覆う。
→小規模実験のため蚕座は竹ざる、ムシロはキッチンペーパーで代用とした。
量が無かったので2寸は盛っていないが、通気性的にこれ以上の高さは好ましくないのかと思われる。
和訳:オギが無ければ、オナモミでも良く、雑草は取り去り、露に濡れていることがないようにする。
→今回は庭の菊の葉を用いた。(一応オナモミはキク科)
他にもシソで試したりもしたが、正直葉は何でもよいかと感じる。
和訳:七日が経ち、黄衣が見て取れたら、これを外に出して、乾かす。
→場所等の指定は無いものの、一応今回は鍋の中に入れて蓋をし、常温で放置。
途中経過は以下。
2日間経過。
透明に近かった米粒が、一部白くなっている。
コウジカビだと断言は出来ないものの、普通の製麴でも見られる変化。
4日間経過。
3日間経過を撮影しなかったのが悔やまれる。
見える範囲の米粒全てが白色化し、胞子を形成するまで至った。
6日間経過。
本来は七日としているものの、もう十分と判断した。
底に至るまで完全にコウジカビの胞子が着生しており、明確な成功と言えるだろう。
現代では科学的に、製麴操作を(理想的条件で)40時間以上続けても酵素力価は大して向上しない、ということが分かっており、日本で一般に流通する「麴」というのは白いのが当たり前である。
ただ古代においては、視覚的に明確な変化が得られた、というのは非常に重要だったのであろうし、他のカビに汚染されていないか、という点をはっきりさせられるという意味で、有効な手法だったのだろう。
色が付く、という点を気にしないのであれば、普通に麴として用いられる。
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篩にかけて種と酵素材、というように分けて用いるのもありか。
草包麴というのもこれの形状が変化しただけかな。
古くなると枯草菌が勝ちそうだけど、若い稲わらで蒸し米を薄く覆ってやれば勝手にできると思われる。
正直稲麴法はやる意味を感じられなくなったので、計画を破棄。