7月上旬
様々なパターンを用意。
前回の反省点として「フタに付いた水分を容器内に戻していた」という点が挙げられ、水分過多、過湿に傾いた環境がクモノスカビ類優位に働いていたと思われる。
今回は朝晩2回程度、フタに付いた水分を外に排出することとした。
2023/07/01
0日目時点。
上段は生糠、下段は蒸し糠(と言いつつも加水後電子レンジ90℃設定)を使用。
左列はただの水、中列は表面に灰を散布、右列は灰汁(中列で加えた灰から製造)を加えた。
前回は糠に付着していたカビ胞子が加水によって繁殖を始める、という形だったことが想定され、フタはほぼ閉め切りで問題無かったが、培地を加熱した今回それは期待できるものではない。
空気中を飛散しているカビ胞子の付着が不可欠であり、当初は目の粗い布を濡らして容器に被せ、開放的かつ出来る限り湿度を保持することに努めた。
場所としては風通しがよく、直射日光が当たらない位置に静置。
室温は9日間を通じて20℃~30℃の範囲であった。
2023/07/02
1日間経過。
特に変化はない。
2023/07/03
2日間経過。
表面が乾燥がちと感じたことから霧吹き。
この頃はかなり行き当たりばったりであり、もっと明確なルールを設定しておくべきだったと反省。
2023/07/04
3日間経過。
明確な菌糸の生育を確認。
加水生糠培地が最も顕著だが、中列でも灰をとりまくような形で菌糸が着生し、全体的に白っぽくなっている。
布フタは取りやめ、プラスチックのフタへ移行した。
2023/07/05
4日間経過。
灰散布蒸し糠培地の変化が極めて顕著。
灰散布生糠培地は若干遅れているとともに、容器右下部分を中心にケカビ類が生長。
写真だと分かりにくいのだが、加水生糠培地は一部黄色みがかってきており、灰散布培地と同様コウジカビ類が生育しているものと見られる。
2023/07/06
5日間経過。
加水蒸し糠培地、灰汁生糠培地、灰汁蒸し糠培地から不快感ある異臭を確認。
製麴上最悪の汚染にあたる枯草菌類の繁殖と見られ、隔離を実施。
伝統的納豆の製造で稲藁を熱湯に漬けるのと同様、短時間の加熱が枯草菌類のみを選択的に生かしてしまうことになったと思われる。
加熱の例外は灰汁生糠培地であるが、こちらもアルカリ性に傾いた培地が糸状菌類に対して抑制的、枯草菌など細菌類にとっては最適な環境として機能したのだろう。
2023/07/07
6日間経過。
灰散布蒸し糠培地は単一の種で培地全域を制圧といった雰囲気であり、極めて好調に推移したと言える。
2023/07/08
7日間経過。
灰散布生糠培地はケカビ類が混在しつつも概ねコウジカビ類優勢、加水生糠培地は双方が拮抗といったところだろうか。
2023/07/09
8日間経過。
実験はひとまず終了。
灰散布蒸し糠培地で極めて良好な成果を得られた。
ただその他の蒸し糠培地はカビにとっての死の大地と化しており、枯草菌類への対処の難しさを痛感する。
間欠滅菌という手段はとれそうなものの、すでに満足いく成果が出ていることもあり、あまり食指が動かない。
以下は実際の使用例。
培地は容器にほぼ固着しており、逆さにしても問題なし。
あとはこの状態で軽く叩けば胞子が落ちていき、蒸米に薄っすらと緑色が着く。
まぁこれはあくまで実験的、1合程度の超小規模製麴だからこそであり、実際には培地を崩しながらになるだろう。
家庭向け製麴の工程はネット上にいくらでも転がっているので割愛。
完成した麴にご飯と水を加え、60℃10時間経過。
確かな甘味があり、官能的に知覚できる範囲で問題は感じられなかった。
ただまぁこれを推奨するかといえばはっきりNOだ。
あくまでNAISEI的な興味として、東アジアの歴史転生モノ、あるいはそうした世界観の異世界でなら使えるんじゃない? くらいの感覚であり、現代人は通販なりでプロの種麴を買うのが一番いいだろう。
微生物の汚染は匂いや味で判断できるものとは限らず、衛生的なリスクを抱えていること。
菌の能力に関しても、科学的な分析が進み、用途別に最適な菌種を選択して購入・使用するのが、当然よい結果が得られるというものだ。
2023/07/14
13日間経過。
ひどく遅くはあったが、一応後から推定コウジカビ類が生えてきた。
長期間の蒸発と結露が繰り返され、中心部は乾燥がち、淵に沿うような形で水分が集まるような形になっていると思われる。
2023/07/19
18日間経過。
良好な成績だった中列なのだが、流石に10日間も経つと色合いも褐色となってきており、胞子の能力も期待できないだろう。
経過観察はやめ、培地を破棄した。
(2023/09/14追記)
なんとなくで放置していた↑の培地だが、後で資料を見ていくと結構重要なことだったと認識。
カビの形態学的な話として、胞子接種後25℃15日間の培養を行い、dark brownを呈するのがA.oryzaeであり、greenを保つのがA.flavusだという。