第3節 魔法を知る
「ところでこのシャーペン?のようなものはどうやって使うの?」
「上の部分を押し込んで」
シャーペンという言葉は存在するのに使い方はわからないのか
「わぁ、すごい押すだけで芯が出てくるなんて。魔法が使えないというのにどうやって文字を書くのか謎でしたが魔法なしで芯がでてくるとはこの世界はすごいですね」
彼女はそう言いながら紙に文字を書いていた
なるほど向こうの世界のシャーペンも魔法具のようだ
「あなたの世界のシャーペンはこっちだと使えないの?」
「どうだろう」
そう言って彼女はさっき散乱させたものの中から筆箱であろう物を取り出し、シャーペンを出した。
そしてシャーペンの上の部分に親指をそえた。
そしたら先の部分が光りだし、芯が出てきた。
俺的にはそっちの方がよっぽどすごく感じるよ。
「使えるみたい」
「一体どういう仕組みなんだ?」
「うーんと、上の部分に触れると大気中の魔素をシャーペンに凝縮して先っちょに炭が生成されるらしいよ」
「あれ、ってことはこの世界にも魔素あるんじゃん」
「その魔素ってのはなんだい」
「ん、あー魔素は魔力の源、魔力源ともよばれているわ」
「じゃあ魔素があるなら、魔法だって使えるんじゃないの?」
「確かに…」
彼女は目をつぶった。
「あー、薄いけど確かに魔素が存在するね」
目を開き、右の人差し指を立て、指先から微かに炎があがった。
「魔力がすっからかんだったからてっきり使えないと思ったけど、大丈夫だったようだわ」
そう今彼女は目の前で魔法を使ったのだ。
「うおー、俺にも魔法使えるかな」
俺は目を輝かせて聞いてみた。
「うーん、じゃあ私が魔法を教えてもらった時と同じことをしてみましょう」
「まずは両手を出して」
俺は両手を前に出した。
そしたら彼女は両手をつかんだ。
じょ、女子に手をつかまれた。
落ち着け、おちつけー
俺の思考はそっちのけで彼女は続けて
「今から私があなたの右手から左手に魔力を流してみるから、それを感じ取ってみて」
彼女は目を閉じた。
次の瞬間右手から変な感覚が伝わってきた。
「うわ、何だのこの感覚、きもちわる」
この不気味な感覚は俺の右腕から左腕へと流れる感じがした。
「これが魔力か」
「うん、魔力は魔素を凝縮して体内を流れる魔法を発動するためのもの」
「じゃあ次のステップ、魔素を魔力に変換するから それを感じ取って」
「お、おう」
少しすると身の周りから何かを俺と彼女との間にある魔力の輪に集めているかのような感覚を感じられた。
さらに感覚を研ぎ澄ますと、確かにこの何かを凝縮させて魔力になっているのが感じられた。
「なるほど、なーんとなくわかった」
「よし!じゃあ、実際に今私がやっているように、君が魔素を魔力に変えてそれを私に流してみて」
「な!?きゅ、急に難しくなったな」
うーん、まずこの空気中にある魔素を…いや、違う
空気中に存在しているわけじゃないな、これ
というか存在しているって表現がそもそも怪しいなこれ
存在しているわけじゃないのにそこにある…
うーんわーけわからん
まあとりあえずこの魔素とやらを
どうやって動かすんだいこれ
このお方はどうやって魔素を集めているんだぁ
と自分と彼女との間で起こっているこの現象を今一度深く感じとってみる。