第1章第1節出会い
これは塾の帰りの途中でおきたことだ。
急に空の雲行きが怪しくなり、青紫の雷が俺の100メートル辺り先に落ちてきた。
そして舞った煙が消えかけたとき、
「おい、嘘だろ」
目の前には人影が見えた。
俺は急いでその人影のところに行くと、そこには自分と同じくらいの女性が倒れていた。
俺はその人のところに駆け込み、彼女にあっけをとられていると、
「うっ...」
彼女は目を覚まし体を起こした。
「だ、大丈夫ですか?」
「ここは?」
と彼女は辺りをきょろきょろしていた。
しかし不思議だ雷に打たれたのに傷一つない、ましてや服さえも汚れてさえいない。
ん?ここは?
あれ、もしかして記憶が...そう思った俺は
「あの、自分の名前わかりますか?」
と恐る恐る聞いてみた。
「はい、私の名前は五十嵐 恵深です。魔法演習の帰りだったのですが、気が付いたら知らない場所に。 ここはいったいどこですか?」
「ここは・・・」
ん?今聞き捨てならない単語が、
「『魔法演習』?」
ここで俺の脳裏には一つの考えがよぎった。
「まさか君、異世界人?」
「え!?ここが異世界?ではなんであなたと普通に会話できているのよ」
「た、確かに…」
「でも君が話ているのは日本語ではないのでしょう?」
「『ニホンゴ』ではないわね、極東語と呼ばれているわ」
「確かにこの辺は極東とも呼ばれているけど、自分が使っている言語を極東語なんて言う人はいないと思うし、何よりこの世界に魔法なんて存在しないんだよ」
「魔法が存在しない?では私は本当に異世界に…」
「おい、この辺じゃなかったか」
少し遠くから声が聞こえてきた
「と、とりあえずこの場から離れよう」
俺は彼女の手を取りこの場を後にした