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Prologue:禁じられた遊戯達
マドリードにはこんな伝承がある。
『まだマドリードが小さな村だった頃、この村は音楽との繋がりが強かった。村の人々は皆んな自分用の楽器を持っていて、想い想いに演奏して過ごしていた。お祭りの時は、皆んなで集まって演奏会をしているほどだ。
それを知った遠方に住む人達がそこによく観光に来ていたので、いつも賑わっていた。
その村の人々は、楽器の神様を崇拝していた。
人々の想いから生まれたその神は、厄災から不思議な力で守ったり、祝福を授けていた。そんな神の力のせいか、こんなことが言われるようになった。
ーーー「死んだ人間は自分が一番大切にしていた楽器を器に生まれ変わる。人々はその者達を“インスタルメンティア”と呼んだ」』と。
………でも、世界は変わってしまった。
今や音楽は、トランプゲームは、詩を口ずさむのは、友達と遊び回るのは…何もかも忘れ去られようとしている。
平和な日々を戦火が焼き尽くし、絶えない悲しみや憎悪は終わらない悲劇を繰り返している。
そんな中で、僕は今日も森の中でギターを弾く。
ーーー禁じられた遊戯達に縋るように。




