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大食娘

「全員で割っても1人頭億を超えるわね。」


「あんだけ苦労したからなー……。」


「って言っても全員即金じゃないから不労所得みたいな物ね。正直土地代だけなら帝国貴族にしては少ない方だと思うわ。」


 現在帝国領土は人族の国の中で最も大きな領土を誇ってはいるが、その大半は魔物たちに荒らされ、人が住める状態にない。

 売りに出しても大した値段にはならないのである。

 アーデルハイトは自分の趣味のために魔物が多い土地も所構わず買っていたので、普通に使える残った土地はあまり多くなかったのだ。

 逆に言えば魔物があまり多くない土地の値段は必然的に上がる。

 今回売りに出した土地の利益のほとんどはこういった土地だった。


「アーデルハイトは元々土地転がしというより人身売買、言わば奴隷商として金を稼いでましたからね。土地の大半を奴隷を確保するために使っていたのでしょう。」


「そいつらはどうなったんだ?」


「言われた通り全て解放しましたよ?行くあての無いものは元ハーフ達の村を紹介しておきました。大半はそちらに流れたかと。」


 つまりアーデルハイトが持っていた資産の殆どを解放してしまったということだ。

 それでも億単位の金が残るんだから、帝国貴族様々だな。


「そういえば一成。今日レインとデートの約束してたんじゃないの?そろそろ昼だけど?」


「あ、やっべぇ。後処理は任せたわ。」


「気を付けなさいよ?アンタは今、結構な金持ちなんだから。」


 俺は急いで立ち上がり、教会を出る。

 クレアは話の分かるやつだったようで、一室を俺の事務所として貸してくれていたのだ。

 束の間の日常に俺は少しだけ心を弾ませていた。




「お前、例の命知らずの女だな?」


 レインとの待ち合わせ場所に行くと、レインを取り囲むように男が3人立っていた。

 明らかに脅している様子の3人に、レインはとぼけた顔で首を傾げている。


「命知らず?どなたのことですか?」


 あの様子は本当に分かっていないようだ。

 だがそんなレインに痺れを切らした男達がレインの腕を掴んだところで、あえて大きい音を出しながらライターを開け、タバコに火をつける。


「俺を探しているのか?」


「あ、やべぇ、本人登場だ。逃げるぞお前ら!!」


 掴んでいた手を離し、蜘蛛の子を散らすように一目散に男達は逃げていった。


「この音は、一成さんですね!!」


「ご名答。待たせたな。」


「いえいえ、私も今来た所ですので!!」


 俺はレインの手を取り、目線を合わせながら話しかける。


「今の奴らは?」


「どなたかを探していたようでしたが、私には分かりませんでした……。」


「そうか。なら良いんだ。さて、約束通り帝国内の飯屋を制覇するぞー!!」


「おー!!」


 無事に帰ったら飯を食わせるというノブナガとの戦いの時交わした約束。

 長引いてしまったのでどんどんと利子が増え、最終的に帝国滞在中、帝国内の全ての飯屋を制覇するというとんでもない事になってしまった。

 最初は、焼き鳥と中華まんだけだったんだ。

 そのはずだったんだけどなー……。


「うん。これも、レインの為だ。」


「私のため?どうかしたんですか?」


「いや、何でもないよ!!さぁ、まずは屋台を全て制覇しないとな!!」


 そうして俺とレインは短い休みを楽しんだ。

 1件、2件と屋台を制覇していくレイン。

 帝国の大通りに並ぶ全20店舗以上の屋台のメニューを片っ端から頼み、常に両手に食べ物を抱えたまま口いっぱい幸せそうに食べている。

 あれよあれよという間に折り返し、夕方になる頃には全てのメニューを食べ切っていた。

 食べ切っていた。

 マジかと思った。

 俺は2件目の途中で腹いっぱいになったのに、この小さな女性は休むことなく食べ続け、全てを平らげた後、


「美味しかったですね!!宿に戻ったら晩御飯もあるので、今日はこの辺にしときますね!!」


 と、言ってのけた。

 多分レインの胃袋は異次元に繋がっているのだろう。

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