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詰所

 聴取は簡単なものだった。

 俺が計画したことは他の連中から聞いていたようだし、意識を取り戻したアーデルハイトがいくら反論しようにも、契約書が直筆であることで既に契約が確定していたからだ。

 これは知らなかった事だが、契約書は燃やされた後、帝国の機密文書保管庫にある記帳に文字だけが移動するそうだ。

 途中で火を消したりしてしまうと文字がきちんと移動出来無くなるので、たとえ手が燃えようとも最後まで離さず持っていなければならないのはそういうことだった。

 俺があやふやな表現をしているのは、実物を見た訳では無いからである。

 絶賛裁判準備中の被告人をそんな場所に入れる訳にも行かないし、保管庫へ入るには契約した2人と証人となった人物、今回の場合はソールの3人で入らなければならないルールが存在するからだ。



「裁判自体は簡単なもんだよ。まぁ、俺も教会が絡むほどの裁判、通称聖なる裁判自体見るのはかなり久しぶりだからな。楽しませてもらうわ。」


 ジークは俺とテーブルを挟みながら、タバコに火をつけて肘を着いている。

 かくいう俺も、ジークの許可の元(正しくはタバコを規制する規則がないだけ)タバコに火をつけ、天井を見上げながら一服していた。

 連れてこられたのは詰所と言うよりは最早留置所である。

 部屋の真ん中のテーブルとイスはジークが別の部屋から持ってきたもので、それを撤去すると部屋の中は敷布団と小さな窓、そして鉄製の扉だけだった。


「その教会ってのはなんなんだ?」


「おいおい、その歳で教会のことを知らねぇとはとんだ田舎モンだな!!」


 ジークは笑いながらテーブルをバシバシ叩いている。

 こっちに来てから街の中で教会らしき建物をいくつか見ることはあったが、その関係者らしき人物とすれ違ったことすら無かったからな。


「まぁ、改めて説明するようなことでは無いが聖ルシア教会は帝国民の9割以上が所属する宗教団体だ。ていうか帝国では他の宗教は禁止されてる。つまり表向きは聖ルシア教会か、無宗教かの2択だな。」


 なるほどな。

 聞けば聞くほどこの国は独裁的なんだが、それでよく数100年間戦争が起きなかったものだ。


「んで、俺もその1人なわけだが、別段縛りや規則なんかは存在しない。始まりの巫女であるルシア様を崇拝する為の宗教だから、取り敢えず所属しとけば面倒事にはならんってことだな。」


「適当な宗教だなー。」


「いや、教会本部の連中はそういう訳じゃないぞ?本部の連中は厳しい規則や教育の元、巫女の助けになるよう全人生を注ぐって話だからな。今は姫巫女様のために色々各地で助ける準備をしてくれているようだぞ?」


 てことはこの先世話になるかもな。

 できる限り波風立てないようにしといた方が利口か?


「ここまで説明しといてなんだが、俺は熱心な宗教家でもなんでもねぇ。詳しい話はルシウスから聞いた方が良いと思うぜ。」


「ルシウスは熱心なのか?」


「おー、知らなかったのか。アイツ帝国に来る前は、教会の孤児院で育ったんだよ。何でも5歳の時に最果ての地の教会本部前に捨てられていたそうだぞ。アイツの名前のルシって部分はルシアから取っているそうだ。」


「ほえー。意外な話が繋がったもんだ。」


 あんま興味無いけどな。


「んじゃあ今度は聖なる裁判ってやつの事聞かしてくれよ。」


「こりゃあどっちが聴取受けてんだか分からんな。まぁ、俺も暇だし付き合ってやるよ。」

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