友との再会
「ノブナガか!?何でレインの姿に!?」
「我とアゲハが消滅した時の魔力をレインが全て吸収しておってな。暫くレインの中で眠っておったのだが、レインが現実から目を背け、意識を失った瞬間にレイン自身に起こされた。」
俺の目から自然と涙がこぼれる。
もう会えないと思っていた幼馴染の友人と再開したかのような気持ちだった。
「何を泣いておる?良く分からん奴だ。」
「ああ。気にするな。」
俺は涙を隠すために後ろを向く。
「後ろを向いても向かんでも変わらんぞ?レインは目が見えんからな。我は主の魔力で感知してるだけだ。」
「無粋なこと言うなよ。」
「だがまぁ、」
ノブナガはレインの体を借りながらそう言うと、俺に手をかざし回復魔法をかける。
レインがかけた時ほど早くは無いが、どんどん傷が治っていく。
「回復はできる。むしろ他が使えんがな。」
「お前ら……何者なんだ!!」
振り返ると後ろ手に縛られたアーデルハイトが鬼のような形相でこちらを睨んでいる。
ノブナガに驚き周りを見ていなかったが、ハッキリ言って悪趣味な部屋だ。
明かりが吊るされたランタンのみで薄暗い部屋には、中央に診察台のような物。
部屋の中は血で汚れており、奥の方にいくつも拷問器具が置かれている。
この部屋で何人の女が殺されたのか想像もしたくない。
「アイツ縛ったのお前?」
「ああ。目が覚めた時絶賛襲いかかってくる瞬間だったからな。キモイからぶん殴ってその辺にあった荒縄で縛っておいた。」
「まぁ、レインの姿で突然そんな返しをされれば誰だって不意を付かれるわな。」
「貴様ら!!」
「あー、うるさいからちょっと黙っててくれる?」
俺はアーデルハイトをあしらうように手を振る。
「うーん、しかし落ち着かんな。」
レインの姿のままノブナガは、ピョンピョン跳ねたり腕や首を回したりしている。
「何が落ち着かねんだ?」
「男から突然女の体になったのだぞ?体は華奢だし何より両の足の間にぶら下がってるはずのチ〇コがない。」
「お前レインの体と声であんまりチン〇とか言うなよ。」
「主も失ってから初めて気付くぞ。何か股の間がスースーするんだ。」
「おーい、いい加減にしろよ?体はレインのものだって言ってんだろ?」
ノブナガがレインの体をぺたぺたと触りだし、服の下に手を入れようとしたところで俺の手刀がノブナガの頭にヒットする。
「い、痛い……。何するんですか一成さん……。」
「あ、すまんレイン!!そんなつもりじゃ、」
「隙あり。」
「おふっ!!」
ノブナガの金的がなだめようとした俺の股間にクリーンヒットする。
「て、てめぇ……。何て卑怯な真似を……。」
股間を抑える俺を見てレインの姿のままノブナガがケタケタと笑ってやがる。
や、やり返せねぇ……。
暫く悶絶したあと、俺達は流石に放っておいたアーデルハイトの目の前、見下すように話しかける。
「よう。俺を覚えているか?」
「お前のような見窄らしい格好の人間をいちいち覚えてなどおらん。女なら別だがな。」
「この状況でもまだそんな減らず口が叩けるか。」
「ああ、一成。言い忘れておったが、我はそやつの魔力まで封じた訳では無いない。」
「ん?つまり?」
嫌な予感がするし焦げ臭いな。
「あの程度の縄なら魔法の初歩の火だけで切れる。」
「マジか。先に言えよ。」
ブチブチと縄の切れる音と共に、アーデルハイトが立ち上がる。
その目は今にも俺を殺そうという殺意に満ちており、交渉事をする目とはかけ離れていた。
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