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まずは自己紹介から

「よろしかったのですか?あのような大金でご依頼なさって。」


「良いんだよ。どうせ生きて帰って来れやしない。それより例の件は?」


「手配済みでございます。」


「女は2人とも上玉だったからな。冒険者の男共は死体で良い。」




 屋敷を出た後、俺たちは酒場で打ち合わせをしていた。


「改めて自己紹介からしましょう。私はランス。このパーティではタンクとして前衛に立たせてもらってます。」


 タンクは最前線のヘイトを集める1番難しい立ち位置だ。

 最も被弾が多い役職のため、全身防具に身を包むのは当然か。


「俺はブル。主にアタッカーとして前衛で戦うぜ。」


 一撃必殺で相手を仕留めるアタッカー。

 俺と似たような役職だろう。


「アタシはマーリン。攻撃魔法を使うのが主だけど、本職は後衛の弓使いよ。」


 魔法使いの女はマーリンという名前らしい。

 昨日は俺が片手でコイツの魔法を吹き飛ばしてしまったからあまり強い印象は無いが、本職は弓使いだったのか。


「僕はアルです。生成魔法を使います。少しですが回復魔法も使えます。」


 こっちはアルか。

 こいつは正直印象が薄い。

 能力的にも援護にしか期待できないかもな。


「今度は俺達だな。俺は一成、こっちはレインだ。今更説明することも無いか。」


「よろしくお願いします。」


 囲んだテーブルに額が着くほど深々と頭を下げるレインと、タバコを吸いながら足を組んでいる俺。

 正反対な態度だが、それをこいつらは今更疑問視することは無いので、話を続けた。


「思うんだが、お前ら装備が所々ちぐはぐなのはなんでだ?」


「私たちはまだまともな方だとは思いますが……」


 ランスが言いにくそうにしているのを見て、マーリンとブルが正直に答えた。


「冒険者ってのはお金が無いのよ。今回だって命懸けで頑張っても精々ふた月暮らせるかどうかの金額しか貰えない。だから装備を買う余裕が無いの。そういう事よ。」


「……この際だ、一成さんにはハッキリ言っちまおう。俺も隠し事は苦手だからな。……俺達の装備の殆どは、死んでいた同業者から奪ったものなんだ。金のない冒険者の間では暗黙の了解みたいなもんだ。国の法律じゃ禁止されてんだがな。」


「そういう事か。」


 意を決して言ったのに思ったより俺の反応が薄かったからか、ブルは拍子抜けな表情をしている。

 俺だって装備に困っていたらその辺に落ちてるもんでもなんでも使って戦うだろうし、何よりこいつらは生き残る為に最も最善の選択をしただけだろう。


「更に付け足して言うなら、金がないからと安い装備を買って使ってもあっという間に壊れます。それなら、という事です。」


「郷に入っては郷に従えというからな。お前らの方が冒険者として先輩なんだ。俺は何も文句はねぇよ。」


「そういう一成さんも、その装備結構変ですけどね。アサシンか何かですか?でも下の装備は少し硬めですね。」


 俺の格好といえば、内側こそ獣人の村で貰った鎖帷子を着てはいるが、基本的にこっちの世界に来た時のまま仕事終わりの服装だ。

 上は黒いパーカーを適当に羽織っただけ。下はジーパンなんだから装備として成り立ってるのかも分からねぇ。


「俺は好きな服を好きな様に着てるだけだ。」


「そう言えるのは上流階級の方々だけですよ。」


「いや、すまん。訂正させてもらうと単純に服をこれしか持ってないんだ。」


「あ、なんかこっちこそすいません。」



 自己紹介も終わったところで、作戦会議に移る。

 とは言っても簡単な自分たちそれぞれの立ち位置と、グリフォンの特徴の確認、どうやって仕留めるかという相談だ。


「一成さん、そういえば今回の依頼を3日で終わらせるとか言ってませんでしたか?」


「ああ。この後も仕事があるからな。」


「我々もグリフォンを仕留めたことはありますが、そんなに簡単なことじゃないことはご理解頂けてます?」


 俺もレインもグリフォンに殺されかけてるんだ。ていうかレインは事実殺されているだろう。


「分かってるよ。だが早い方がお前らも助かるだろ?」


「その通りですが、その分全員が危険にさらされることになる。今回は1頭につき1週間。2頭で2週間かけて倒したいんです。」


「なら俺はレインと2人でやる。お前らは抜けろ。」


 別に正直そんなに頑張らなくても良い気はしているんだが、ルシウスに借りを作ったまま旅に出るのは癪に障るからな。


「……まぁ、そういうと思ってはいましたけどね。まさかとは思いますが、見つけ次第正面から殴り合う気ですか?」


「まぁな。前もそれで乗りきった。」


「グリフォンと真正面から殴りあえるのなんて帝国の隊長レベルじゃないと普通は無理なんですがね……。」


 実際乗り切れてなかったからそこまで俺強くないけどね。


「なら、今回の討伐は基本的にお2人に任せてよろしいですか?私達は援護いたしますので。実際それが最も効率が良いかと。」


「分かった。先輩方に従うよ。」

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