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働け。金を返せ。

「あー!!これだよこれ!!」


「完全にやばい薬キメたヤク中になってるけど大丈夫?」


 丸2日寝ていた俺は目を覚ますなりタバコに火を付け大きく息を吸い込む。寝起きの1本は格別に美味い。

 更に実質2日間も禁煙していた事もあり、ヤニクラが半端じゃない。

 このヤニが体を巡る感覚が最高なんだよな。


「2日間も眠ってて目が覚めるなり最初にやる事それなのマジで終わってるわよ。」


「ちゃんと水分補給挟んだだろうが。」


「まぁ、一成さんらしいっちゃあらしいですけどね。」


「ふふっ。そうですね。」


 俺が目覚めた時他の3人は部屋で飯食いながら談笑していた。ソールがどうしてもレインに会いたいとうるさいから連れてきたという。


「あんたレインに感謝しなさいよ?起きた時のためにってずっと欠かさずタバコ復元してくれてたんだから。」


 言われた通り机を見るとタバコの箱が4箱補充されている。非常にありがたい。


「気の利く良い嫁さん持った気分だよ。」


「ふぇ!?」


 いつも通り1箱レインに預け、3箱分のストックを貰い受ける。

 いつもありがとうと声をかけると、レインは嬉しそうに笑った。

 しかしそれとは裏腹にソールとルシウスはそのやり取りを冷ややかな目で俺を睨んでいる。


「なんかコイツ、色々〆とかないといけない気がしてきたわ……」


「……今回に至っては同感です。ギャンブルに狂って生活費をせびるクソ旦那みたいになってますからね。」


「だ……旦那さん……」


 レインは恥ずかしそうに俯いて小さくなっている。つくづく見ていて飽きない。


「レイン、恥ずかしそうにしなくていいわよ。とりあえず今のあの男だけはやめときなさい。」


 合コンで友人の狙ってる男の裏の顔をバラす直前の顔をしながら俺を見るな。

 あと、うちの純粋なレインに余計なことを吹きこもうとするんじゃない。信じちゃうでしょうが。


「私としては正直別にこのままでも良いのですが、何もせずこのままは一成さん的にも気が引けるでしょう?」


「いや、俺は別に」


「気が引けるでしょう??」


 圧が強えよ。でも俺は負けないよ。夢にまで見たニート生活を簡単に手放すわけにはいかん。


「働きたくない!!」


「働け。金を返せ。」


「はい。すいませんでした。」


 あまりにも強すぎるルシウスの圧に思わず返事してしまった。声にドスがきいてやがった。ベリアルより怖ぇよ。

 まぁ、言ってしまったものはしょうがないし、やるだけやってみるか……。


「ご安心ください。就職先は私の方で手配いたしますから。」


「それが一番怖いんだよな。」


「ああ、ちなみに」


 ルシウスがそそくさと紙を取り出し何かを書き始める。

 こっちの世界の文字は読めないから何が書いてあるかは分からんが、良い事は書いていなさそうだ。


「この宿1泊1万です。1ヶ月間となると30万。」


 忘れてたよ。コイツ守銭奴だったわ。


「毎晩夕食付きで1泊1万は帝都だと破格のお値段です。まぁ、お2人はルームサービス散々頼んでますから1週間もしないで会計10万超えてますけどね。」


「え、全部お前が払ってくれるんじゃないの?」


「何を図々しい事を仰ってるんです?立替はしますがきちんとご自分で払っていただきます。働くことの大変さを理解してきてください。」


 こちとら散々社畜生活してきてるんだ。多分お前より余程仕事の大変さを理解してるよ。

 あんまり良い思い出じゃないから出来れば御免蒙りたいが、レインのためにもこの先の人生のためにもこっちの世界で手に職は付けておきたい。

 そうこうしている間に書き終えた紙をこちらに差し出し、ルシウスは俺に笑顔をこちらに向ける。


「はい。ここにサインしてください。」


「何だこれ?俺文字読めないの分かってるだろ?」


「大丈夫ですよ。ただの借用書ですから。」


「どこが大丈夫何だよ!!ヤバい規約とか書かれてねぇだろうな!?」


 その後一応ソールにも翻訳を頼み、余計な規約は書かれていないことを確認した後、俺は借用書に渋々サインをした。

 なんか暴利がついて50万になってるっぽいが。


「明日の朝お迎えにあがりますのでちゃんと準備しておいて下さい。」


「俺文字読めないし魔法もまともに使えないけど大丈夫か?」


「その辺は考慮して探しますよ。とりあえずどんな仕事が一成さんに合っているのか試すためにも、最初は色んな職場を巡っていただきますけどね。」

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