城前橋攻防戦
4人とも先程の勢いとは打って変わって慎重に相手の動きを牽制しあっている。
俺もソールを追う必要が無いと分かればじっくり時間を使える。
むしろ長引かせれば長引かせるほど増援の可能性が増え、有利になるのはこちらの方だ。
女は最早顔を隠す必要が無くなったからか兜を脱ぎ捨て、素顔を完全に晒した。
長い耳に金髪の髪、色白であり、顔が整っている。本物を見るのは初めてだがゲームなどで見たことがあり、ひと目でわかる。
「エルフか。」
確かエルフは魔法に長けてるって言ってたな。
普通に剣でやり合っても十分強かったが。
「もう隠す必要も無い。エルフ流でやらせてもらう。」
女はそう言いながら剣を地面に突き刺し、目を閉じて魔力を集中させている。
俺はそれを黙って見ている訳にも行かないので、地面を蹴り距離を縮めようとするが、何かに引っかかり俺は頭から転けた。
結構痛い。
「な、なんだ!?」
額を擦りながら足元を確認すると、足に木の根が絡みついている。
力を込め、一気に蹴り上げてその木の根を振りほどくが、次から次に生えてくる。
根の成長速度はそこまで早くないので動き回っていれば拘束される事は無さそうだが、魔力を込めた蹴り上げでないと解けないほど頑丈なのは危険だ。
「地面ばかり見ていて良いのか?【針の雨】(ニードルレイン)!!」
女は魔法名を叫んだと同時に手をこちらに振りかざす。
何も……起きない?
と思ったのも束の間、コイン程の太さの無数の木でできた杭が上空から降り注いでくる。
「これは死ぬって!!」
「殺すためにやってるんだ!!当たり前だろ!!」
足元の木の根を躱すのに集中すると、上空の杭に当たる。逆も然り。
冷静になれ。今の俺に出来ること、今までの俺に出来たことを考えろ。最初から、この世界に来た時から。
そしてこの状況を打破するために何が必要か。
全力で地面を蹴って後方に回避するか?
いや、一度後方に跳べば近接攻撃しかない俺にもう反撃のチャンスは生まれないかもしれない。飛ぶ方向が前方では魔力切れで奴の剣の的になる。
なら上空に全力で正拳突きをして杭を吹き飛ばすか?
吹き飛ばせたとして、その後は魔力が切れて足元の根に絡め取られる。同様に地面に対してもNGだ。
せめてこの場で、地面も空も見る事が出来る目さえあれば最小限の動きでどうにか出来るか?
だがそんな事……
……そうか!!
出来るかどうか分からんが、これが一番確率が高い。
木の根を回避しながらタバコを吸い、魔力を溜める。
その魔力を無理矢理相手の女に繋げる。相手の位置は分かっているから背を向けても繋げられる。
ここまで何度も限界ギリギリの戦いを繰り返してきた俺なら今までよりも成長はしてるはずなんだ。
レインが居ない今、出来なければ死ぬだけ。
旅にすら出る前に死んでたまるかよ。
さぁ、覚悟を決めろ一成。
………キーン………
「【感覚強奪】成功。」




