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転生者

 巫女は次にエルフ族に協力を求めた。

 エルフ族は長寿であるが故に知識や経験が豊富な種族である。

 魔力の源である自然を愛し、自然と共に生きているおかげで、他の種族の者よりも魔法に長けたものが多いのも特徴だ。

 一行がエルフの里に着く前に、ドワーフ族が進言した。


「俺が行ったらエルフ達はあんたらも追い返してしまう。俺は村の外で待っているよ。」


「世界を救いたいという気持ちに種族は関係ありません。貴方が許されないというのなら、エルフ族との協力は諦めましょう。」


 強い決意に押され、ドワーフ族も共にエルフ族の里へと向かった。

 エルフの里は大陸から離れた島にある。ドワーフ族と獣人族が力を合わせて船を作り、人間族と同行していた男が船を漕ぎ、一行はエルフの里へ向かう。


「何者だ!!」


 一行は海の上でエルフ族の船に囲まれ、弓矢を向けられる。その矢の先は不安定な船の上でもしっかりと一行に向けられていた。


「私達は魔源を収めるためにここまで来ました。皆さんに危害を加えるつもりはありません。武器をお納めください。」


「龍神様の言葉は本当だったのか……良いでしょう。族長の元へ案内しましょう。」


 ドワーフ族の不安とは裏腹にすんなりと一行はエルフの里へと足を踏み入れる。木々が生い茂り、外界から閉ざされた里の中央には大樹ユグドラシルがそびえ立っていた。


「良くぞおいでになった巫女様。龍神様からお話は伺っております。我々も魔源を収める協力を致しましょう。」


 敵対しているドワーフ族がいるにも関わらず、エルフの族長は巫女たちを歓迎した。


「龍神様とは一体どなたでしょうか?」


「我々と同じ姿をしたこの世界のもう1つの種族です。空の上からあなた方を見守ってくださっていたのです。」



 エルフの族長はエルフ族で最も知識ある女を同行させてくれた。

 魔源への道中、魔源に誘われたレイスの群れに遭遇した。

 レイスは実態を持たないが、人や動物に取り憑き仲間割れをさせる非常に危険な魔物である。

 実態を持たないので魔法以外の攻撃は通用しなかった。

 1人、また1人とレイスに取り憑かれ、正気を保てなくなっていく。

 巫女とエルフの女以外全員がレイスに取り憑かれ、2人に襲いかかる。

 エルフの女はそれを聖なる魔法で吹き飛ばし、仲間たちから逃れたレイスを炎の魔法で消し去った。

 エルフの女の魔法のおかげで危機を脱した一行は無事に魔源にたどり着き、魔源を収めた。


 3つの魔源を収めた巫女は最後の魔源のある最果ての地へ向かおうとしていた。

 エルフの里を出る時、エルフの族長が巫女に連れられていた男を指さしこう言った。


「貴方だけは魔力の質が違う。まるでこの世界の人間では無いようだ。貴方は何故にこの危険な旅をする?」


「命の恩人である巫女様をお守りする為です。」


 男はそう答えると、巫女に付き従うように横についてエルフの里を後にした。



 最果ての地へは長い道のりだった。海を越え、山を超え、その先にはもう人が住める場所は無かった。

 そうして最果ての地にたどり着いた時、荒れ果てた大地の中に1つの神殿がそびえ立っていた。

 一行が神殿の中に入ると、中には人間達が巫女を待っていたかのように整列して頭を下げていた。


「我々は竜人族。巫女の到着を何年も待ち続けておりました。」


 竜人族は真実を語った。

 全ての魔源を収めた後、魔源は最後にもう1つ、旅の始まりの地に現れる事。自分達は竜となり、空の上から一行を監視していた事などを話した。

 神殿の中にある魔源を収めた一行は旅の始まりの地、人間族の里へと竜人族と共に向かった。

 その道中、巫女に連れられていた男が自身の生い立ちを語った。


「今まで黙っていたが、俺は別の世界で死んだ後、この世界に来た転生者である。」

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