残るは
「無理無理無理無理!!おわー!!」
「コメディ色強めに逃げないでくださいよ!!っく!!」
「今更カッコつけてんじゃねぇぞルシウス!!お前だっていっぱいいっぱいだろうが!!ぬわー!!」
俺とルシウスは巨大なゴーレムの攻撃を躱し続けている。
疲れきったレインとソールに標的が向かないよう、ギリギリまで自分たちに引き付けて回避している為、お互いかなり際どい。
反撃をしようにも、俺の拳で殴ったとて腕1本持っていくのが限界であり、すぐに再生されてしまう。
更に動きは早くは無いが衝撃の逃がし方を心得ている節があり、高威力の反撃をすると軸をずらされて思うように当たらないのだ。
「厄介だな……。」
「厄介ですね……。」
「こういう時は。」
そう、こういう時いつも道を切り開いてくれたのは俺が口に加えているこいつである。
大きく息を吸い、煙を口からため息のように吐き出す。
頭が冴え、慌てふためいて乱れていた呼吸も段々整ってくる。
まぁその間ルシウスが時間稼いでくれて今目の前で滅茶苦茶疲弊してるけどな。
「ルシウス。アイツ、両断できるか?」
「はぁ……はぁ……。今それ言います?出来はしますけど。」
「よし、やれ。」
「鬼ですかあなたは!!」
そんなやり取りをしていた俺達にゴーレムの鉄槌が降ってくる。
流石のルシウスも全力で走り続けていた為、回復のために今度は俺が囮になってゴーレムの周りを走り続けた。
「ルシウス、腕はもう確認して違った!!後は足、胴体、頭だろう!!頃合いを見て切り離せ!!」
「はぁ……はぁ……。無茶を言いますねぇ……。」
俺はルシウスを信頼している。
正確にはその強さを。
俺の信頼に答えるように、1分も経たないうちにルシウスは息を整え、その剣が輝き出した。
「【光の剣】。一成さん、合わせてください!!」
ルシウスが斜めに放った剣閃がゴーレムの両足を切断し、支えが無くなったゴーレムは俺の方へ倒れ込む。
既にそこまで見越していた俺は倒れてきたゴーレムを躱して一気に切断された両足を粉砕するが、やはりコアは足にはなく、段々とゴーレムは元の形に戻って行った。
「外したか。」
「一成さん!!血が!!」
レインが俺に駆け寄ってくるのを制止し、頭から流れていた赤い液体を拭った。
一気に突っ込んだせいで粉々にした足の破片が頭をかすめたようだ。
心配そうな表情のレインに笑顔を見せて安心させ、ルシウスの次の攻撃を待ちながらまた俺が囮になるため走り出す。
「頭と胴体は3つか4つに分けてくれ!!」
「ソール、レインさん!!私の後ろに!!」
言われた2人は全速力で走り出し、ルシウスの方へ。
しかしそれをゴーレムが黙って見ていてはくれなかった。
2人を追いかけゴーレムが標的を俺から2人に移したのだ。
「マズイ!!」
「っく!!」
巨大な剣を放出したままルシウスも2人の方へ走る。
もう2人の目の前までゴーレムの腕が伸びた時、その腕をルシウスの剣閃が切り落とす。
「うがっ!!」
「ルシウス!!」
返す手で胴体ごともう片方の腕も切り落としたが、ルシウスがモロにゴーレムの蹴りを受けてしまう。
ルシウスはそのまま壁に叩きつけられ、意識を失ってしまった。
「んのやろう!!」
ルシウスが切り離した下半身を俺が粉砕するが、再生は終わらない。
残るは上半身と頭。
頼みのルシウスが動けない今さてどうするか、もう一本のタバコに火をつけてゴーレムと相対した。
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