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迷宮

 翌日の朝、見送りの者も、妨害する者も居ないまま俺達は迷宮へと足を運ぶ。

 ラックは里長の屋敷に残し、俺の装備が完成した時知らせに走ってもらうようにした。


「かなり人里からは離れたが、迷宮らしき物は見当たらねぇな。」


「火山の火口には近付いて居るので、間違ってはいないと思いますが……。」


 先頭の俺は吸いきったタバコをひょいと目の前に投げ、踏み潰して火を消そうとした。

 しかし、俺の投げたタバコの吸殻が空中で見えなくなり、水面に落ちた波紋のように空間が揺れる。


「お、おい待て。」


 俺の声に全員が反応し、ピタリと足を止める。

 揺れた空間の先に手を伸ばすと、俺の手だけがすっぽりと見えなくなった。


「どうやら間違ってはいなかったようですね。」


「これが、迷宮か……。」


 覚悟を決め、空間の中に入った俺達の目の前に巨大な建造物が姿を現す。

 首を真上にあげても天井が見えない。

 そんな高さなら街から見ても分かりそうなのだが、外からは特別な魔法で姿を隠していたようだ。


「壁は簡単には破壊できそうにありませんね。そもそも壁に刃が触れません。」


 ルシウスが壁を剣で叩こうとするが、数センチ手前で弾き返される。

 手をつく事はできるが、勢いを付けた攻撃は問答無用で弾き返されるようだ。


「ほんと、魔法ってのはなんでも出来るんだな。」


「最早この規模の魔法は魔法と呼んで良いのか分かりませんけどね。準備は出来ていますし、とりあえず入ってみますか?」


「そうね。ここでいくら文句垂れても、入ってみないことにはどうしようもないわ。」


 意を決して巫女であるソールが迷宮の中へ足を踏み入れる。

 俺達もそれに続いて迷宮に入ると、後ろのドアがゆっくりと閉じた。


「え、おい。帰れなくなったぞ?」


「……仕方ありません、先に進みましょう。」


「まぁ、一応里長がくれた地図もあるし……。」


 ……あー。


「一成さん?どうしました?」


「里長がくれた地図と、地形が合ってない。」


「何ですって!?」


 ソールが俺から地図を奪い取り、目の前の地形と地図を見比べる。

 そして段々と顔が青ざめていき、ルシウスにそっとその地図を渡した。


「あの里長が嘘の情報をよこすとは思えねぇ。って事はここ、入る度に形状が変わるんじゃねぇか?」


「それならその事を伝えるでしょう?」


「私達に対してだけ形が変わっているのだと思います。」


 レインが確信めいた表情をしながら言葉を述べる。


「巫女として他のドワーフさん達とは違う、全く別のルートが私達に用意されている。そう考えるのが妥当だと思います。」


「……そうだな。」


 レインの雰囲気がいつもと違う。

 そう思いながらも俺達は手探りで膨大な迷宮を進んでいくしか無かった。

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