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ドアの向こうの会話

 ドワーフの里はロックロードとは比べ物にならないほど大きな鉄製の建物とドワーフの数だった。


「色々とでけぇな。だが、あんまり歓迎されてる雰囲気じゃないのは何でだ?」


「人族が珍しいからじゃないですかね?しかしドワーフは比較的人族と友好的な種族だと思ってましたが……。」


 俺たちを見つめるドワーフ達の目は何処かよそよそしい。

 奇異なものを見る目と言うよりは、何処か関わりたくないという雰囲気だった。


「みんなどうしたんだろう。普段他所の人が来たら大喜びで駆け寄ってくるはずなのに……。」


 タンポポが不思議そうに首を傾げながらも、里長の居るであろう場所へ案内してくれる。

 道中ドワーフ達は1人も俺たちに話しかけてくることはなく、ただ遠目で監視しているようにも見えた。

 暫く道なりに進んでいくと、正面に目につく一際大きい建物が現れる。

 タンポポはそれを指さし、里長は恐らくあそこにいると告げると、俺達に礼と再会の約束をして、家族に会うために脇道へ入って行った。


「ドワーフの里長は、最も大きな工場を持っているものがなるらしいですよ。昔ながらの文化で、工場が大きいということはそれだけ多くの鉄を造れるからという話です。」


「だから里長になりたい者同士の小競り合いが多いらしいわね。向こうの方が大きいと思ったら爆弾でもなんでも仕掛けて工場をぶっ壊すようなことも昔はあったらしいわ。今は里長への反発行為としてそういう事を行う程度で、そんな大掛かりなテロ行為はやってないみたいだけど。」


「文化が恐ろしいな。」


 その証拠に一際大きな建物の壁は遠目から見ても修繕が繰り返されており、石などを投げ込まれた跡や、割られた窓のガラス片などが散乱していた。

 俺達が建物の中へと足を踏み入れると、中では金属を叩く音と鉄を冷やす音、火をくべる音が大きく鳴り響いており、大きくくり抜かれた建物の中で100人近くのドワーフ達が協力しながら武器や日用品を作り上げていた。


「あ、正面2階の窓から見えるのが里長様っぽいッスね!!」


 目が良いラックが里長を発見し、誰の許可も取らずに俺達はズカズカと建物へ入っていく。

 流石に誰かに止められるだろうと思ったんだが、誰1人俺達を止めることなく、里長の部屋の前に着いた。


「誰かと話しているっぽいな。レイン、共有を。」


「はい。」


「趣味悪いですよ一成さん。」


「黙ってろ。バレる。」


 俺はタバコに火をつけ、レインと聴覚を共有し中の音を盗み聞きした。


「アンタなんで巫女なんかに協力したんだ!!それがどういう事か分かってるのか!?」


「分かった上で協力したんじゃ。ヴォルブゴーレムが討伐されることも考えた上でな。」


 あまり穏やかな話じゃなさそうだな。

 少なくともドワーフは協力的だと思ったんだが、そう思わない連中が居るってことか。


「あのゴーレムは俺達が生きていく上で必要不可欠な存在なんだ!!それを討伐しようだと!?気が狂ってるのか!?」


「少し落ち着いたらどうじゃ?それにまだ討伐できるとは限らん。少なくとも今のままのあやつらじゃ無理じゃろう。」


「それは、そうだろうが……。だがアイツらは巫女一行だぞ!?」


「仮に万に1つの可能性であやつらがヴォルブゴーレムを倒せたのなら、ワシはお前に里長の座を譲ろう。」


「んな!?」


「それで不満か?ならばワシの命もくれてやる。」


 その言葉が聞こえた瞬間、俺はドアをノックした。

 入りなさいという里長の返答で俺達はドアを開け、里長と話していたドワーフの男に睨まれながら入室する。


「姫巫女様御一行、よくぞいらっしゃった。歓迎いたしますぞ。」


「私はこれで失礼いたします。」


 俺達を終始睨みながらドワーフの男は部屋を出ていった。

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