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ドワーフの里長

「ねぇルシウス。何でカシワの誘いを断ったの?ゴーレムなら戦力にならない訳じゃないと思うんだけど。」


「使役しているゴーレムはそれを通じて盗聴や盗撮できる機能が存在します。彼の目的がそれだとは考えたくないですが、その可能性を排除したかったんです。」


「そんな!!」


 俺は言い返そうとしたタンポポの肩を掴み、それを静止する。


「俺はそこまで考えてなかったよ。流石だな。」


「私達はあくまでも世界を救う為に旅をしています。リスクがある行動はできる限り避けたい。今回もゴーレムを借りるよりそちらの方が安全だと思っただけです。」


 ロックロードを出た俺たちは暗い雰囲気のままドワーフの里を目指す。

 道中に魔物は多かったが、俺とルシウスで十分対処することができ、ルシウスのこの時の判断は間違っていなかった。


「だがしかし、このゴーレムは対処が面倒だ、な!!」


 野生化したゴーレムや、そもそも魔力の籠った魔石をコアとする野良のゴーレムは俺達を容赦なく襲ってきた。

 そしてコイツら、コアが破壊されるか、コアの魔力が切れない限りは平然と元の形に戻る。

 だから俺がぶん殴って半壊させ、再生される前にその再生の中心にあるコアを破壊する必要があった。


「我々にはコアの位置を探る能力がありません。だからって魔力探知できるソールを前線に出す訳にも行かないので、この対処法しかないんです、よ!!」


 ルシウスが俺が半壊させたゴーレムのコアらしき場所に剣を突き刺すとすぐに再生は止まり、ゴロゴロとゴーレムは崩れていった。


「1体2体ならまだマシなんだけどよ、10数体いっぺんに出てこられると結構消耗するんじゃねぇか?」


「まだまだピンピンしてるくせに何を言ってるんですか。」


「フォッフォッフォ。苦労しておるようじゃな?」


 俺の背後、全く気配が無く忍び寄ったジジイが俺達に話しかける。


「何者!?」


 俺とルシウスが気付いて剣と拳を向けた瞬間、ジジイはスっと下がり、また歩いてきた野生のゴーレムに近寄っていく。


「ジジイ!!あぶねぇぞ!!」


 俺が忠告するのも聞かず、とうとうゴーレムの目の前に行き、何故か俺を指差した。


「若いの。お主は力はあるようじゃがまだまだ荒削りじゃのう。ゴーレムだけでは無い。破壊の仕方は、こうじゃ。」


 俺は目を疑った。

 ジジイが手に持った杖をゴーレムの胸にトンッと付くと、ゴーレムは一瞬で粉砕し、コアだけが宙に浮いている。

 そのコアをジジイは握り潰し、飄々とした態度でまた俺達の前に戻ってきた。


「あ、あんた何者なんだ?」


「ワシが何者なのかはどうでも良い。お主の戦い方ではこの先いずれ死ぬ。もっと考えて戦ってみろ。」


「アンタに言われなくても考えて戦ってるよ。でも俺はアンタみたいな魔法使えるわけじゃねぇんだ。」


「フォッフォッフォ。ワシがさっきやったのが魔法と申すか?アレは一切魔力を使っとらん。技術じゃよ。」


 そう言ってジジイは突然俺の腕にトンッと杖を付く。

 その瞬間、魔力で体を固めていたはずなのに、俺の腕に激痛が走り、皮膚が弾けて血が溢れ出した。


「イッテェ!!」


「どうじゃ?魔力が籠ってないのは分かったじゃろう?」


「て、テメェ……!!」


「一成さん!!大丈夫ですか!?」


 俺達の様子を遠目で確認していた残りの4人が、岩陰から俺達に駆け寄り、レインがすぐに俺の腕を治してくれた。

 そのレインの様子を見てジジイはレインに近寄り、その瞳を覗き込む。


「ほほう……。良い魔力をお持ちじゃなお嬢さん。」


「レインに触るな。」


 俺がジジイを振り解きレインの前に立ち塞がるが、ジジイはするりと俺の攻撃を躱し笑っている。


「フォッフォッフォ。お主じゃワシに攻撃は当てられんよ。じゃがお主の力には見所がある。どうせワシも里へ帰るところじゃ。それまでの道中、お主に稽古を付けてやろう。」


「要らねぇな。」


「なら、今のお主はワシがそのお嬢さんを殺そうとして止められるのか?」


「もう意地悪はよしましょう、里長様?」


「里長!?」


 ソールが話に入って来て発した言葉を俺は思わず聞き返してしまった。


「これはこれは姫様。ということは彼らは巫女御一行かな?」


「ええ、そうです。よろしければ彼へのご指導、お願いしてもよろしいですか?」


 いつもの雑な対応ではなく、まるで本物の姫のように丁寧に頭を下げるソール。

 その様子に里長も笑顔を見せた。


「フォッフォッフォ。姫様にそこまで言われては、この老いぼれには断れんよ。」


「勝手に決めんな!!」


「一成。ドワーフの里長様はこの世界で随一の武道の達人なのよ。その里長様にご教授される事、光栄に思った方が良いわ。」


「まぁ、ワシが指導すると言ってもこの小僧はおおよその形が出来ておる。じゃから後は小僧の感覚じゃな。」

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