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到着ドワーフ領

「連絡受けてからまだ1時間も経ってないのにもう着いたのか?アンタら歴代最速なんじゃないか?」


「お、お褒めに預かり光栄だよ……。」


「何で今にも死にそうなんだ?」


 ドワーフ領側ロックロードのおっさんが俺たちを褒めてくれたが、それどころじゃない。

 やっと地上に立つことができた安心感と謎の疲労感でいっぱいいっぱいだ。


「ああ、多分聞いてなかったのでもう一度言っときますけど、トロッコの漕ぎ手は魔力を消費して動いていたのでめっちゃ疲れてると思いますよ?」


「マジかよ聞いてなかったわ。じゃあお前はなんでそんなにピンピンしてんだよ。」


「一成さんが毎回全力で漕いでくれるので私はほとんど魔力込めてませんから。」


 そりゃそうだわ。

 2人して全力で漕いでたらトロッコ吹っ飛んでいくわ。

 俺は哀れみの目を向けたソールに肩を叩かれながら、顔を上げてドワーフ領側のロックロードを見た。

 人間領側とは全く違う、工場が立ち並びそこかしこで金属を叩いている音がする。

 更に特徴的だったのは、


「おいあれ、ゴーレムか?」


「使役されているゴーレムですね。ドワーフでも運べないような大きなものは彼らに運んでもらっているようですよ。」


 これまで魔物としてしか見たことがなかったゴーレムが、ドワーフと仲良く仕事をしている。

 土塊の物から鉄製の物まで様々居るが、皆従順にドワーフにしたがっているようだった。


「ここのゴーレム達は魔物であるゴーレムとはかなり違います。彼らはドワーフに作られてますから、正式名称は魔導人形と言うんです。」


 タンポポが俺たちに説明してくれている。

 俺達も体に耐熱クリームを塗りながら説明を聞いていた。

 道の途中で動けなくなったゴーレムにドワーフが駆け寄っていき、魔力を込めるとまた動き出す。

 ゴーレムは頭を下げてドワーフにお礼を言い、ドワーフも頑張れよと手を振る様子を見て、ドワーフ族の人柄が改めてわかる。


「こっちでは皆生き生きを仕事してるんだな。」


「ここ最近の向こうが異常だっただけですね。」


 タンポポが少し表情を暗くする。

 その時、遠くで俺たちを見ていたであろう男が俺たちに近寄ってきた。


「タンポポじゃないか!!鉱石、何にするか決まったのか?」


「カシワ兄さん!!お久しぶりです!!」


「アンタ達タンポポの知り合いかい?俺はカシワ。コイツの幼なじみみたいなもんで、鉄加工を生業にしてるよ。」


 タンポポに親しげに話しかけてきたカシワと名乗る男は、褐色の素肌にオーバーオールを着ている明るい男だった。

 額には暗いレンズのゴーグルが付けられ、手にはハンマーが握られている。

 彼は俺たち1人1人に握手を求めてきた。

 俺達も各々自己紹介をして握手に応じると、カシワは笑顔で応じ、ブンブンと手を上下にしている。


「皆ドワーフの里まで行くのかい?なら俺のゴーレムで送って行ってやるよ。ここから里までは魔物も多いしゴーレムが居ないと危険だろうからね。」


「良いのか?大事なゴーレムなんだろう?」


「ゴーレムは俺達ドワーフの言わば道具だ。里に着いたあとは勝手に戻ってくるし別に良いよ。」


「いえ、結構です。」


 ルシウスが強い口調でキッパリと断る。

 それに面食らったのか、カシワは驚いて何も言えなくなっていた。


「さぁ、行きましょうか。我々は先を急がなければならない。」


「お、おい!!本当に良いのか!?」


「必要ありません。」


 まるで何も見なかったかのようにルシウスはスタスタとロックロードを出ようとする。

 俺達もルシウスに着いて歩き、カシワに手を振ってロックロードを後にした。

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