鉱石の声
「アンタ達帝都の人間なんじゃないの?ノリと勢いで帝都を敵に回したみたいだけど。」
「私はもう帝都とは縁が切れてますし、一成さんは元々止めて聞くようなマトモな人間じゃないですから。」
「……まぁ、アンタ達がそれで良いなら良いわ。アタシも1ヶ月くらいはこの街に居るつもりだし、何かあったら連絡出来るようにしておく。」
俺とルシウスはトロッコ乗り場のおっさんと話したあとルビィの家に帰り、まだ起きていない4人を寝かせたままルビィと話を付けている。
幸いルビィは快く俺たちの話に乗ってくれ、ロックロードで何かあった時はすぐに俺達に話が飛ばせるよう、方々に連絡してくれた。
「あれぇ?みなさんもう起きていたんですかぁ?」
寝ぼけまなこでレインが起きてきたため難しい話は中断し、改めて残りの奴らを起こして全員で朝食を食べた。
「ロックロードはいつ出発するの?」
「食べたらすぐにでも出ることは出来ますよ。幸いルビィさんのおかげでこの先の旅で必要そうな物は揃いましたし。」
「あの、私も一緒にドワーフの里までご一緒しても良いですか?」
タンポポが俺達の話を遮り、同行を提案してきた。
「どうするんだ?」
「良いんじゃないですかね?ロックロードを抜けてしまえばドワーフの里もすぐですし。」
「アタシも良いわよ。ていうか昨日の夜タンポポから提案されてもうOKしちゃったし。」
この旅の主導権はルシウスとソールにある。
俺とレインはあくまで同行者であり、目的が同じだから一緒に過ごしているに過ぎないからな。
その2人が良いと言っているんだから俺が口を出すようなことでは無い。
「あー、そういえばタンポポ。お前の知り合いでコイツを加工できる人間っていないか?」
俺がおもむろにカバンからオリハルコンを取り出すと、タンポポは目を輝かせてそれに食いついた。
「これは、幻の鉱石オリハルコンですか!?この目で見るのは初めてです!!この吸い込まれるような質感、雪のように白い色、どれをとっても素晴らしいですね!!最後に現物が確認されたのは前回の再生の旅の途中らしいですし、ここ数十年存在しているかすら怪しかった代物ですよ!!ですが加工できる人間となるとドワーフの里でも恐らく存在しないかと……。」
「オタク特有の早口かよ。んでも里でも居ないのか。どうすっかなぁこれ。」
「ドワーフは成人すると同時に、自分が選んだ特定の鉱石の声を聞こえるようになります。しかし選ばれなかった鉱石はもうドワーフに語りかけてくれないので、1人1種類の鉱石しか極めることが出来ないんです。大抵のドワーフは集めやすさや取引のしやすさから鉄鉱石の声を聞きます。なので黒曜石や、特にオリハルコンといった希少な鉱石の声を聞くことが出来るのは他の鉱石の声を未だ聞いていない者だけでしょう。」
「昔ミラさんに聞いたことがありますね。自分は黒曜石に惚れ込んで黒曜石の声を望んだから、里の皆から役立たずと言われて飛び出してきたって。」
それが結果帝国の軍隊長になってるのも驚きだな。
更には人類最強と呼ばれるの男の剣までつくりあげてるんだから。
「ちなみにタンポポは何の鉱石の声が聞こえるんだ?」
「実は私、つい先日成人したんです。だからまだ声を聞くことが出来ないんです。それもあって1度里へ帰ろうかと思って。」
「そういう事だったのか。」
1人2人と食事を終えて食器を片付けていく。
俺も早々に食べ終え一服し、残りはソールのみ。
ソールが最後に残ったスープをかき込むと、一同ルビィに例を良い、トロッコに乗り込むのだった。
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