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パーティの天敵

 最初の村を出た後野宿をしてから半日。

 ドワーフの里へのトンネルに向けて俺達はひたすら歩いていた。


「この辺りから魔物の種類が変わるはずです。気をつけていきましょう。」


 ルシウスの言葉通り、その先ではゴブリンでは無く小型のゴーレムのようなゴツゴツした魔物に変わっていく。

 景色も草原から岩石地帯に変わり、魔物だけでなく動物達も数が少なくなって行った。


「食料や水の確保が難しい地域にもなっているので少しでも早く抜けましょう。」


「了解。」


 幸い道中に出てくる魔物や動物の数が減ったことで俺達の歩みはかなり早くなっていた。

 そんな中、俺はふと水溜まりを発見し近寄ってみる。


「雨でも降ったのか?でも、水を確保できるのはありがてぇな。」


「……一成さん!!それはマズイ!!」


「ん?」


 俺が水溜まりに近付くとその水溜まりがうねうねと動き出し、俺に向けて触手を伸ばしていた。


「なんだコイツ!!」


 俺は咄嗟に触手を躱したが触手が不意をつかれた事で俺の服を掠り、掠った箇所が少し溶けていた。


「おいおいコイツまさか……。」


「スライムです!!筋肉馬鹿の一成さんは分が悪すぎます!!」


「こんな状況でディスってんじゃねぇよ!!」


 その後も伸びてくる触手を躱し続けながら後退し、俺は何とかみんなと合流出来た。


「どうやって倒すんだ。」


「魔法を使えば簡単なんですが、生憎私も攻撃用の魔法は苦手でして……。」


「当然アタシも使えないわよ。」


「わ、私もです……。」


「うねうねしたもの全般無理っす。」


「このパーティの天敵じゃねぇか!!」


 俺がツッコんでる間にもジリジリとスライムはこちらに移動してきており、その触手が俺達に伸びてくる。


「思ったよりも動きが速いな。」


「体の形が自由に変えられて、触手を足替わりに使えますからね。更に伸びた部分は切断しても効果が無いんですからかなり面倒な相手ですよ?」


「いつまでも逃げてばかりいられないわ。一成、どうにかしなさい。」


 ソールがスライムを指さして俺に命令してくる。


「出来るかぁ!!」


「いいから行きなさい。」


 ソールが雑に俺の背中を蹴ってスライムの目の前に放り出す。

 スライムは俺に向かって触手を伸ばしてきたが、躱すだけなら造作もない事で、触手を避けながらタバコを咥えて火をつけ、どうしようかと考えていた。


「なんて無駄がない無駄な動作なんスか。」


「相変わらずアイツ器用ねぇ。」


「戦闘中にタバコを吸うまでの一連の動作は日々磨かれてますよ。おかげでお身体が心配です。」


「人間性をもっと磨いて欲しいですけどね。」


「言いたい放題言いやがって!!」


 俺が叫んだと同時に俺の口からタバコが落ちてしまった。

 それがスライムの触手に当たると、スライムはそれを少しづつ溶かして吸収する。

 やがてスライムの大きさが2倍以上になり、風船が割れたような大きな音とともに周囲に破片を撒き散らしながら弾け飛んだ。


「……。」


「どうやらスライムのような魔力の塊である魔物にはタバコは吸収出来る魔力が多すぎてオーバーフローするみたいですね。」


「良かったじゃない。特効のアイテムが見つかって。」


「スゴイっす一成さん!!」


「大きな音がしてビックリしました……。」


「お陰様でビッチョビチョだよ!!あとタバコ1本無駄にしちまったじゃねぇか!!返せ俺の30円!!」


 ちなみにその後現れたもう一体のスライムをライターの火で炙っただけですぐに小さくなって消えたので、わざわざタバコじゃ無くても良かったらしいです。

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