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そういう魂胆

 大通りから裏道に入り、さらに奥へ奥へと進んでいく。

 階段の上り下りを2、3回した辺りで俺はもう戻り方が分からなくなっていた。


「入り組みすぎだろ。迷路かよ。」


「一直線に行くこともできるんだが、そうすると他のマフィアの縄張りに入っちまうんだよ。だから迂回しているとどうしてもこういう道になっちまうんだ。」


「へー……。詳しいのなお前。」


「そ、そうか?貧民街に住んでいたらみんな自然に覚えると思うが。」


 ハリーは先頭を歩きながらも手が震えている。

 恐らくガロンゾファミリーとかいう奴らと会うのが怖いのだろう。

 俺とレインはその後ろを貧民街の住人達に睨まれながら歩いていた。

 当事者のソールはルシウスに報告したと同時に拘束され、1日部屋から出して貰えなくなったようだ。

 好い気味である。


「大丈夫かレイン?足元があまり良くないからな。」


「ええ、大丈夫です。ありがとうございます。」


「緊張感のない奴らだな。これからマフィアのアジトに行くのに随分余裕があるようだ。」


 お前が撒いて巫女が育てた種なんだけどな。

 俺は必要の無い野菜を無理矢理収穫されられてる立場なんだけどな。


 かなり奥まで来ただろう。

 この辺りの建物はかなり前に人が住まなくなった場所であり、貧民街の住人達が勝手に家を作り替えたり、繋げたりして上も下も迷路のようになっている。

 路地には殆ど陽の光は入って来ず、カビ臭と腐敗臭が漂っていた。


「着いたぞ。ここだ。」


 ハリーが立ち止まるとその先は少し開けており、商店位の大きさの家が狭く柵に囲まれている。

 柵の出入口には立て看板があり、多分ガロンゾファミリーと書かれているのだろう。


「小さい家だな。」


「そもそも家を持っている時点で貧民街では力があるってことなんだよ。それに……まぁ、入って見ればわかる。」


 俺はハリーが説明している途中でドアを蹴り開ける。

 中は普通の民家みたいなもんだ。

 ハリーが顔を青くさせながら俺の陰に隠れている。


「ごめんくださーい。」


「お、おい待て!!」


 俺の肩をハリーが掴み後ろに引っ張られる。


「何すんだよ。早く終わらせてぇんだ俺は。」


「足元をよく見ろ。テグスだ。あのまま足を踏み入れてたら爆弾で吹き飛ばされてたぞ?」


 確かによく見ると糸のようなものが足元に引いてある。

 俺はその糸をわざと引っ張ってみた。

 右の方でカランカランと空き缶が転がるような音が鳴ったが、爆弾が炸裂することは無いようだ。


「ただの警報じゃねぇか。」


「お前マジで狂ってんのか!?本当に爆弾だったら死んでたんだぞ!?」


「死ぬのはお前とこの中にいる組員だけだろう。俺とレインは死ぬ事ないから別に良い。」


「あ、本当に狂ってたのな。」


 ハリーはなにかに納得した後、自ら率先して家に入っていく。

 しかし彼が目指したのはリビングではなく、地下への階段だった。

 俺はレインの手を引きながら階段を下っていき、その先にある扉の前で立ち止まるハリーの肩を叩く。


「ボスが居るのはこの先か?」


「ああ。いつもこの先で寝泊まりしてる。さっきの警報で中の連中は臨戦態勢だろうけど……。」


「おじゃましまーす!!」


 タバコに火をつけ一息入れて、ドアを思いっきり蹴り飛ばすと、そのドアの直線上にいた組員の数名が巻き込まれて呻き声をあげた。

 勿論中の人間は全員こちらを向いており、手には武器を持って睨みをきかせてくる。

 人数は10人行かない位か。

 奥であぐらをかいているのがボスだろう。

 ヘラヘラしながらボスと思わしき男は立ち上がり、こちらに問うてきた。


「おいおい殴り込みか?」


「似たようなもんだよ。」


 俺がそう言ったのも束の間、後ろからレインの悲鳴が聞こえてくる。

 振り向いた先には蹴破られたドアの前、レインの首にナイフを突き立てるハリーがいた。


「コイツの命が惜しければ、ここで大人しく死ね!!」


「はぁ……。やっぱ最初からそういう魂胆だったか。」

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