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決勝のゴング

「因縁の対決!!エクスが副隊長だった時、部下たちの前で敗北したのは記憶に新しいか!?エクス対一成、今開幕だー!!」


 会場は大盛り上がりであり、その大半はエクスへの期待の声だ。

 あくまでも俺は悪者としての立ち位置らしい。


「俺はお前を超えて、ルシウス元隊長を超える。」


「その意気はいいが、また無様に負けて赤っ恥晒すなよ?」


 俺は肩を回しながらエクスを挑発する。

 エクスはそれに反応せず、冷静を装って机に肘を着いた。

 意外とこいつは分かりやすいので、多分最初から全力で来るだろう。

 俺もエクスに手を合わせ、開始のゴングを待った。


「2人とも準備は万端のようだな!!それでは、レディー……ゴー!!」


「うぉぉおお!!」


 合図と同時にやはりエクスは力一杯俺の腕を叩き付けようとしてくる。

 俺は肘をエクスに寄せ、エクスの手首を捻るように仕向けた。

 一瞬力を込める方向が変わったエクスはそれを修正しようとするが、時すでに遅し。

 俺は最初から内側に力を込めていたので、エクスの腕を手前に叩き付け、一瞬で決着を付けた。


「……こ、これはどうした事だ!?私が掛け声とともにたった一瞬目を離した隙に、決着が着いてしまっているぞー!?」


「な、何だと!?卑怯者が!!」


「肘は机から離れてねぇ。テクニックだよ。」


 俺はプラプラと手を振りながら机から離れた。

 まだ駄々を捏ねているエクスに対して、舞台袖から出てきたルシウスが一言。


「お前は全力を出してもあの人には勝てなかったよ。」


 そう言って失意のエクスの肩を掴み、机から引き剥がした。


「勝者、一成ー!!隊長格すら一瞬で叩き伏せてしまったこの男!!今年は本当に下克上が巻き起こるのかー!?」


「流石ですね一成さん。私はずっと、これを楽しみにしていたんですよ。」


 そう言ってルシウスが珍しく上着を脱ぎ捨て、1度俺を舞台袖に降りるよう支持してきた。

 降りた時そこに居たのはレインである。


「ここまで1度も回復を挟んでませんからね。決勝くらいは万全の体制で来てください。」


 そう言ってルシウスは舞台に戻った。


「一成さん!!もう少しですね!!ルシウスさんはとっても強いと思いますが、頑張ってくださいね!!」


 レインはいつもより気合いが入った様子で俺に回復魔法をかけてくれ、俺もタバコを1本吸いながらレインの頭を撫でた。


「それじゃあ、行ってくるわ。」


「お待ちしてます!!」


 普段の心配そうな表情とは違い、もはや飯の事しか考えていないであろうレインの顔は晴れやかだった。




「一成さん。私はベリアルに年に1回だけ、この大会の時だけ全力を出して良いと言われていたんですよ。」


 机に向かい合ったルシウスが俺に話しかけてくる。

 嬉しそうに、楽しそうに、まるで子供が玩具を買ってもらったような無邪気な顔だった。


「私の力はどうやら強すぎるようで、訓練や討伐任務の時に魔力を全開にしてしまうと、周りの部下や民間人に被害が出るからです。しかしこの大会は言わば私の力が何処まで強くなったかを図る為にかつての師であるベリアルが唯一全力を許可してくれたものなんですよ。」


「つまり、半端な試合はするなって事だな?そして、お前が俺をこの大会に出したかった意味は自分の全力を受け止めてくれる程の人間が他に居なかったから。」


「エクスではダメです。正直弱すぎる。一成さんがアーデルハイトの屋敷で出した力は全力では無かったにせよ、私の心を動かしました。」


 俺たちの周りにソールの支持で支柱が立てられた。

 しかしそんなにしなくても良い気がするんだが、4重位に支柱を立てている


「アンタ達!!被害を出したくないならしっかり結界貼りなさい!!コイツらの力侮ったらダメよ!!」


 四隅に魔道士達が控え、ようやく場所のセッティングが完了した。

 心做しか机も少し丈夫な素材になっている気がする。


「さぁ、一成さん。やりましょうか。」


「ああ、ルシウス。期待は裏切らねぇよ。」


 俺とルシウスはゆっくり手を組み、互いの感触を確かめながら互いに睨み合う。

 俺は新しいタバコに火をつけた。


「今日のメインイベント!!5連覇をかけ、今年勝てば殿堂入りのルシウスか、はたまた異世界からの刺客一成か。皆さん、準備はよろしいですかー!?レディー……ゴー!!」

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