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勝ち残ったのは

「抽選の結果が出たぞ!!最初に対するは、一成対ジニーだー!!」


「よろしくな。」


「……。」


 無視かよ。

 わざわざ挨拶したこっちが恥ずかしいじゃねぇか。

 ため息をつきながら俺はタバコに火をつけ、咥えた状態で机にスタンバイする。

 こうしておけば相手がどんな方法で来ようが魔力が切れることはそうそうないからな。

 ジニーもそれに合わせて何も言わずに手を組んできた。

 こんなに華奢な腕でよくここまで来れたな、と思ったのも束の間、逆の手で背中の鞄から伸びた紐を引っ張ると、鞄から4本のアームが伸びてきて、ジニーの手を支えるように握った。


「え、これありなの!?」


「ありですね。なしだったら貴方の咥えているタバコもなしですよ?」


 確かにそうだが、これ俺実質5人をひとりで相手にしなきゃならんけど?


「さぁ、互いの準備は整ったようだ!!それでは、レディー……ゴー!!」


 合図と同時に一気に力を込める。

 だが魔力を使っていない状態だと流石に分が悪く、段々と俺の腕が倒れていく。

 ジニーはずっと真顔でただ倒れていく俺の腕を凝視していた。


「これは意外、一成がドンドン押されていくー!!」


「流石に、セーブしてちゃ勝てねぇか。ふぅー……。」


 息を吐き、また大きく息を吸って、今度は魔力を込めてジニーの腕を押し返していく。


「おおっとここで一成が底力を発揮!!今度は一転、ジニーがピンチだー!!」


 慌てたジニーがまた鞄の紐を引くと、さっきまでより強くアームが手を押してきた。

 力は均衡。

 2人の腕が丁度真ん中でピタリと止まる。

 ここからは持久戦か?


「これ、壊れちゃうかもだけど、使っちゃう。」


 さっきまで喋らなかったジニーが突然喋ったかと思うと、鞄から伸びたもう1本の紐を引っ張った。

 すると更に4本のアームが伸びてきてジニーの手を支える。


「なんということだ!!ジニーはまだ余力を残していたのかー!?」


「あ、あれ?動かない?」


「残念だが、本気じゃなかったのはお前だけじゃないんだよ。」


 そこまでされるとこちらも多少本気にならなきゃならん。

 こちらとしては込める魔力を倍にすれば良いだけだ。


「だが倒せない!!一成の腕は全く動く気配がないぞー!!」


 ジニーの背中の機械音がどんどん大きくなっていく。

 やがて鞄から煙が出始め、アームが1本、また1本と力無く停止していった。

 アームの本数が減る事に俺はジニーの腕を押し返し、やがて全てのアームが停止した時には俺は勝利していた。


「やはり彼はダークホースだった!!開発隊副隊長すら打ち負かした、一成の勝利だー!!」


「ホテルの温泉、入りたかった……。」


「良いわよジニーちゃん。貴女はいつも頑張ってるから、アタシがお金出してあげるわ。」


 ミラがステージに上がってきてジニーを慰めている。

 ジニーは目に溜めた涙を白衣の袖で拭くと、ミラに何も言わずに頷いていた。


「一成ちゃん、応援してるわ。頑張ってね♡」


 ウインクはしないで欲しかったな。

 力が一気に抜けた気がするぞ。


「さぁ次は、石腕の副隊長ストーン対討伐隊隊長エクスの勝負だー!!」


 アナウンスと共に2人が前に出て机の上、手を組む。

 2人とも屈強な男であり、かなり絵面が暑苦しい。

 そういえば人の対戦を見るのは初めてかもな。


「2人とも準備は良いかー?レディー……ゴー!!」


 戦いが始まったが、ストーンの方が全く力を入れている気配がない。

 それなのに腕は動いていないようだ。

 エクスの方も余力は残しているように見えるが、あまりにもストーンが力を向いているように見える。


「これはどうした事だー?ストーンは全く力を入れていないように見えるが、段々と腕は倒れていくぞー?」


 確かに本当に少しずつだが力を込めているエクスが段々と倒されていっている。


「さて、どうしたものかな。ざっと数トンは持ちあげなきゃいけないか。」


 エクスはそう言いながらさっきよりも少し力を込め始める。

 それでもストーンは力を込めているようには見えないが、少しずつエクスが巻き返してきた。


「貴方の能力は流石に分かってるよ。石化だろう?その体のサイズ的に数100キロ単位、更に密度を上げれば数トンは下らない重さになるだろう。普通の人間なら重すぎて持ち上がらないだろうが、俺なら……。」


 半分を超え、エクスがリードしたと同時に一気に机に腕が叩きつけられた。


「あと10倍は重さが足りなかったな。」


「これは凄い!!鉄壁とも言われるストーンの牙城を一瞬で叩き伏せたエクスの勝利だー!!」


 負けたというのに全く動く気配がないストーンの元に、ジークが駆け寄り頬を叩く。

 結構な勢いで往復ビンタされて初めてストーンは目を覚まし、周囲を見回して自分が負けたという状況を理解し肩を落とした。


「まぁ、そんなに落ち込むな。相手が悪かっただけだよ。エクス、お前はもう隊長なんだ。簡単に負けんじゃねぇぞ。」


 分かってはいたが、最後にこいつに勝たなければルシウスと戦えないということか。

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