お試し
「えっ?シルフィ、シルビアに話しちまったのか?」
「うん・・・。シルビアにゲイルを嫌いになって欲しくなくて・・・」
「まぁ、言ってしまったものは仕方があるまい。もう本当の事を言ってしもうた方がええじゃろ。ワシらもその方が気が楽じゃ」
「シルビアにはまだ誰にも言うなと言ってあるんだな?」
「うん」
「キキ、ララ。ぼっちゃんに事情を伝えて来てくれ。どうするか判断はぼっちゃんにして貰うわ」
「わかった。今から行ってくる!」
「ドワン、いいのかしら?ゲイルが魔王からここの神様になるわよ」
「構わん。坊主の所にお供えが届いてもワシの所に届いても結果は一緒じゃ」
「ゲイルは星持ってないからお供え届かないんじゃないかしら?」
「まぁ、ぼっちゃんならそれもなんとかするだろ。デーレンやポットも連れて来ちまったんだ。もう関わらないとか無理だろ」
「え?シルビアに言っちゃったの?」
「ごめんなさい」
「シルビアには誰にも言うなっていったのか?」
「うん」
んー、これぐらいの子供に誰にも言えない秘密を持たすのも可哀想だな・・・
「じゃあ、パパとママも一緒に行こうか」
「怒らないの?」
「シルフィもキキとララもパパ達の事を思ってしゃべったんだろ?怒らないよ」
「わー、パパ大好きっ」
「ぶちょー、行っちゃうの?」
「めぐみも行くだろ?ゼウちゃんも向こうに行ったから寂しかったんじゃないのか?」
「うん」
「じゃ一緒にいくぞ」
「じゃ、よいしょっと」
「あっ、実体化するのは・・・」
もうしやがった。まさか3つの星の管理を俺にさせるつもりじゃないだろうな?というかせざるを得なくなったじゃないか・・・
仕方がないのでダンの屋敷に移動する。
「よう、バレたんだって?」
「おう、ぼっちゃん。こんなのいつまでも黙ってられんだろ?」
「まぁ、皆の事をばらしたならそうだね。シルビアはまだいるの?」
「シルフィといると思うぞ」
ということなので、めぐみとラムザ、キキララと共にシルフィードの所に。
「ゲイルっ!ごめんなさいっ」
「いいよ、いいよ。俺の為にしゃべったんだろ?キキララから状況は聞いたよ」
「ま、魔王ゲイル・・・」
「シルビア、いつもシルフィとキキララと遊んでくれてありがとうな。俺はゲイルだ。で、こちらが奥さんのラムザとめぐみ」
「えっ?奥さんが二人?シルフィ・・・は?」
「そこまで話したの?」
「うん・・・」
「シルビア。シルフィは迷子になってた俺を見付けて俺を好きになってくれた人だ。そして俺のお嫁さんになってくれた。何回生まれ変わってもな。今でも俺は奥さんだと思ってる」
「ゲイル・・・」
「お嫁さんって1人じゃないの?」
「普通はそうだね。でも色々とあってね、今は3人いるんだよ。俺も3人いるんだ」
と分裂して見せた。
「これは他の人には内緒ね」
「魔王は悪い人じゃないの?」
「魔王はね、怖い人なんだよ。悪い人にはね」
と魂が汚れることや汚れた魂は容赦なく駆除することを説明する。
「すっごく魂が汚れるともう元には戻れないんだよ。俺とラムザはそれを世界から取り除いている。だから悪い人には怖いんだよ」
「それは神様のお仕事じゃないの?」
「めぐみはその神様なんだよ。この神様はダメな娘でね、俺とラムザが代わりにやってるんだよ」
「ちょっとぉ、私がダメってなんなのよ?」
「大丈夫だ。ダメな娘ほど可愛いっていうだろ?」
「そうなんだ。私って可愛いの?」
「あぁ、可愛いぞ」
「ふふ♪」
「な、こういう神様だから代わりにやらないとダメなんだよ」
「魔王さん、ダメな子って可愛いの?」
「賢い娘も可愛いぞ。ラムザも可愛いだろ?」
「うん」
「ほぅ、初見で我を怖がらなかったのはゲイルだけかと思ってたがな」
「キキとララも可愛いし、魔王ママも可愛い」
女の子から可愛いと言われたラムザはちょっと照れ臭そうだ。
「魔王パパ」
「何か質問ある?」
「シルビアもお嫁さんになろうかな。もう一人増えても大丈夫だよね?」
「え?ちょっと、シルビアは何を言ってるのかな?」
慌てるシルフィード。
「シルフィとキキとララがとっても優しと言ってたのがわかったの。私も優しくされたいな・・・」
「ゲイルは皆に優しいからお嫁さんにならなくても大丈夫っ」
「だって、お嫁さんならもっと優しくしてもらえるんでしょ?私も女神様と魔王ママみたいに魔王パパにくっついてみたい・・・」
神ゲイルにはめぐみが腕を組み、魔王ゲイルにはラムザが腕を組んでいる。それを見て人ゲイルにシルビアがお嫁さんになると言い出した。
「ダメよっ!このゲイルは私のなんだからっ」
「えー、このゲイルは私達のパパだからシルフィのじゃないよっ」
「キキとララのパパは魔王ゲイルでしょっ」
「これは私のだ。娘達にもやらんぞ」
「じゃあ、この魔王パパは私とシルフィとキキとララのだね♪」
「えっ?」
「私達仲良しだよね?」
「う、うん」
「だったら良いよね?」
シルビアは押しが強かった。
「魔王パパ、ちょっと抱っこして欲しいな。私のパパしてくれないんだ」
と少し悲しげな顔をするシルビア。
娘成分が不足していたゲイルはシルビアを抱っこする。
「ふふふっ、やったぁ」
「あーっ、ゲイルっ。やっぱりこれぐらいの子が・・・」
「ちがうっ」
「ぼっちゃん、えれー若い嫁さん貰ったな」
一部始終を見ていたダンがそう茶化す。
「あーあ、ゲイル。抱いたんなら責任取りや」
抱くの意味がちがーうっと子供の前で言えんだろがっ
「パパは私達のパパなのっ」
「知ってる。だからお嫁さんなの」
「ゲイルのお嫁さんは私なのっ」
「じゃ、お揃いだね♪」
うん、シルビアは凄い営業マンになりそうだな。
ここにいる皆はほぼ初期配置の魂だ。子孫を残す本能が強い。俺はここの魂じゃないけど、子孫をたくさん残す本能を刺激するのだろう。それがこんな女の子にまで影響するのか。ちょっとまずいかもしれない。子守スキルも影響してるのかもな。
取りあえず、今日はシルビアを家に返して皆でどうするか相談することになった。
「よし、ワシらの存在を全部話そう。人で無いこともな」
「大丈夫かよおやっん?」
「まぁ、ワシの星じゃ。これでどうなるか反応を見ればいいんじゃ。不味いならお前らの星でやらんかったらええ。上手く行くならそっちでもやりゃええんじゃ」
なるほど、サンプル取りみたいなもんか。カスのログにも残るだろうし、何か影響があってもここだけの話だからな。
というこで、住民達に全部話してみることにした。
「じゃ、坊主たのんだぞ」
なんでやねんっ。
全部を把握してるのは俺だからと言うことで説明担当を任せられてしまった。
ここドワンの星だろ?
皆に声が届く風魔法を使って説明していく。
「えー、俺達は世界を作ってる者だ。皆が神と呼ぶような存在だな。で、ここはおやっさん、つまりドワンがこの世界を作った。他の者達もそれぞれ自分の世界を持っている。俺達は元々めぐみの世界で仲間だったんだ」
「お、俺達もいずれ神様になれるのか?」
「皆には魂というものがある。その魂は何度も生まれ変わり、その度に人として経験を積み、この世界の発展に貢献し、すべての未練が無くなった時にその権利を得る。その間に悪いことをしていると魂が汚れそれも叶わなくなる。酷く汚れた魂は元に戻らないばかりか他の魂も汚す。俺とラムザはそれを駆除してるんだ。ヤギ出てこい」
ブオン
めぇ~
皆恐怖に陥る。
「皆はこいつの事が怖いだろ?こいつは魂を食うから本能的に怖いと感じるんだ。だがこいつは落ちない汚れが付いた魂しか食わん。他の地からここに来る途中ヤギに襲われた人を見た事がある人もいるだろう。襲われたのは汚れた魂のやつだ」
ざわざわ ざわざわ
「魔王様はなぜ我々の敵になるようにされたのですか?」
「ここには様々な人種がいる。お互いの違いを理解せずに争い事が起きやすい。それでいがみ合うと魂が汚れやすくなるんだ。だから人類の共通の敵がいると力を合わせて戦わないとダメになる。俺はお前達が種族を越えて力を合わせる為の存在になるつもりだったんだ」
「わざわざ自分がそんな損な役目を・・・」
「俺達も元々みなと同じ人だった。そしてたくさんの争いや、仲間の魂が汚れてしまったのを見てきた。魂が引き裂かれそうな悲しい結末をたくさんな。だから皆にはそうなって欲しくないんだよ。それと比べると敵役をすることなんか何でもない。お前達が幸せな人生を送れるならな」
「魔王様・・・」
「まぁ、もうバレてしまったからこうして皆に話した。俺達は他の世界もここと同じように皆が幸せに暮らせる世界を作るつもりだ。だからずっと一緒にいるわけじゃない。知っている物は皆に伝えていくから頑張って覚えてくれ。そしてそれを後世に伝えていってくれ。そこから何が新しい物が生まれて来るのを俺達は期待している」
こうして、世界を作った者達が直接介入して発展させる事が良いことなのか、ダメな事なのか試すことになったのである。




