(シリーズ完結)おねぇ聖女が凄すぎて、歴史書には残すことができません!15.おねぇ聖女、永遠に
私はエドガー・バルマー。バルマー家は聖女護衛の名家にして、「聖女の記録書」を書き綴ってきたが、目の前の事をみたらご先祖様はさぞかし驚くだろう……
「人間の食事というものは美味いものだな」
魔王ルシフェルと聖女ヴァルヴァラとで優雅に朝食を囲む。魔王ルシフェルは野蛮だと考えていたが、ナイフとフォークを使って肉を食べている……
「クララ王女様にルシフェル様をもてなすよう指示をされています。王都にいらした時はバルマー家に滞在してください」
服を着た魔王は実に品がある。聖女と魔王が優雅に食事をとる絵は実にシュールだが……と、確認をしなければ……
「ところで、王国の繁栄という約束はどのように実現をされるのでしょうか?」
クララ様も聖女を売って魔王と取り引きをするのだから恐ろしい……こんなことは絶対に「聖女の記録書」には書く事はできない……
「約束の手付ではないが、この王国に歯向かいそうな国の城を何個か壊滅させておいたぞ。言われた通りマリアに嫌われぬ様に死者は出しておらぬ」
は? 今なんて言った? 国の城が壊滅? 確かにクララ様は人は死なないようにと言っていたが、そんな簡単にできるのか! っと、転移魔法が展開された……やっと来たか……
「エドガー! 貴方の屋敷から魔王の気配が……」
ん? 何をマリアはずっこけてる? 服を着ている魔王がそんなに面白いのか?
「ちょっと! なに仲良くご飯食べてるの!」
そんな事は朝だからに決まっているではないか? もしかしてマリアは朝食を食べない派なのか……
「いや! 魔王よ! 世界を滅ぼす魔王がいるのに、なんで落ち着いてるのよ!」
クララ様からは説得を言われているが、こう騒がしくては困るな……ん? ヴァルヴァラが立ち上がった……
「マリア……ルシフェルは良い魔王です。聖女の役目は災厄を防ぐ事。私達の神も災厄を防ぐためなら、多少の事は赦してくださいます」
流石はヴァルヴァラだ。マリアを説得してくれている。
「そういうことじゃないのよ! あなた達、こいつに私を売ったわね!」
いや……売ったのは王家だが、まあいいか。後はルシフェルにお願いしよう。私が頷くとマリアはルシフェルに連れ去られていった。マリアも「あーれー」とか、ふざけていたから余裕は十分あったな。
しかし、このような事を「聖女の記録書」には書く事は難しいな。そうか! このように書けば良いのだ!
『XXX年 聖女マリアの身を挺した奇跡により、王国の繁栄が約束された』
皆様からご好評頂けたおねぇ聖女シリーズをいったん完結させて頂きます。
お下品をギリギリの表現で究極に狙った作品となりました。
面白かったと感じられましたら、感じた回にポイントや感想を頂ければ幸いです。
普段はポイントを求めるわけではありませんが、読み手様が面白いと感じる部分がどこかという部分がわかると嬉しいなと感じております。
皆様がこれからも良い小説に出会う事を
茂木多弥