07.ゲームイベント発生!?裏生徒会ができるまで③
「どこまで梓紗が知っているか……?」
「そう。彼女にもおつかいを頼んでいたはずなのに生徒会室の窓で聞き耳を立てていたから。話し合う内容を知っているのかと思って」
(ゲームのイベントなんです。なんて言えるかぁぁぁ!!)
この世界はゲームの世界で今まさにゲームイベントの真っ最中なんです!なんて言うものなら梓紗も私も冷たい目に晒されることになるよ。
(頭おかしいんじゃね?っていうレッテルが貼られるのは阻止したい)
けど。嘘もつきたくはない。さてどうしよう。
「梓紗がどこまで知っているかなんて私だってわからないよ」
(ゲームの内容も曖昧でふと思い出した!ってことがよくあるし)
梓紗がゲームの内容をどこまで知って……。いや、この場合は覚えているのかというべきかな。そこまでは私も把握している訳じゃない。
内容が飛び飛びではっきりしていないことも多い。
「内容までは把握していなかったと?」
「内容まで知っているなら梓紗だったら間髪なく言っていたと思うよ」
そこまで言ってふと私は思った。
(私のおつかいに梓紗も行くことにならなかったら、梓紗は生徒会室の窓で覗き見したりしなかっただろうし、そもそもノクトがおつかいを頼んだのは私だけだった)
つまり。梓紗はおつかいに行かなかったら内容を知れていたということになるのだが。
(それって私には教えたくない内容ってこと?)
のけ者にされたかのような感じになり一気に気持ちが沈んだ。
「莉桜?」
私が黙ったのが気になったのかノクトが声を掛けた。
(感情的になりそう。私に言えないのは理由があるからかもとわかっていても。こういうやり方は……)
「悲しい……」
「え?」
「梓紗ばかりを責められないじゃない。覗き見は確かに悪いことかもだけど。たとえ梓紗が何かを知っててもみんな、梓紗を責めれないよ!」
感情的になってはダメだと思っても言葉にすると出てきてしまう。
「だってみんなだって私に隠して何かしようとしてるんでしょ!?私には聞かれたくないような内容の話をしようとしてたってことでしょ?」
「莉桜」
「梓紗だって聞けてたかもなのに。私だけのけ者じゃないっ」
悲しくて涙がこぼれた。仲間がいる安心感を得た後に突き付けられた疎外感に私は胸が苦しくなった。
「莉桜を1人にしたことを会長やみんなは怒っていたの」
「あず、さ」
気を失っていたはずの梓紗が目を覚まして言ってくれた。
「ここにいる全員、莉桜をのけ者になんてするはずないじゃない」
「でも」
「仮にも莉桜が今ここでこんな生徒会なんて辞めてやる!なんて言ったとしても即止められるよ」
「生徒会辞めますは禁句になったし。辞めたいなんて思ってない」
なら良かった!とそう言って梓紗は起き上がった。
梓紗は顔を上げてノクトや他の役員メンバー、そしてアリオス先生のほうを見て頭を下げた。
「生徒会役員にあるまじき行動をしてしまい、すみませんでした!」
するとアリオス先生がやれやれと肩をすくめた。
「悪気があった訳じゃねぇんだな?」
「もちろんです!」
(イベントを覗き見したいのは確かだけど!っていう副音声が聞こえてきたのは何故かな?)
私は思わずジト目で梓紗の顔を見ていた。私と目が合った梓紗は舌を小さく出して笑っていた。
(反省してないね。1ミリも。イベントが発生するたびに居なくなられるとクリスが激おこになりそうね)
いっそ怒られたほうがいいのかもと思ったことは梓紗にはナイショである。
「莉桜。誤解をさせてしまったのならすまなかった」
ノクトが私の傍に来て言った。私は首を横に振った。
「仲間だと思っていてもいいんだよね?」
それでも一抹の不安は拭えていなかった私はノクトにそう聞いた。
「もちろんだ。そう思ってくれると嬉しい」
ノクトは優しい笑みを浮かべながら言った。ノクトの笑顔を直に見てしまった私はぶわっと自分の顔が真っ赤になるのに気付いた。
(ノクトの笑顔、やっぱり心臓に悪い!)
バクバクしている心臓を鎮めるように私はノクトから目を反らした。
(なるべくノクトを視界に入れないようにしないと)
「莉桜?」
そんな私の考えとは裏腹にノクトは私の顔を自分のほうに向けてきた。目が点になっている私にノクトは再び笑顔を見せた。
(ぎゃあぁぁぁぁ!顔まで反らした意味ないぃぃぃ!)
キャパオーバーしてしまった私は顔を赤くしたまま気絶していた。
「……あれ?」
気絶から復活した私は生徒会室にあるソファの上に寝かされていた。
他のみんなは真剣な顔をしてアリオス先生の話を聞いていた。
「起きた?」
すぐ傍でノクトが聞いてきた。私は頷いて応えた。
「なんの話をしているの?」
ノクトに聞いてみると、彼はこう言った。
「裏生徒会発足についてだよ」
「裏、生徒会?」
梓紗が飛び付きそうなゲームのイベントはまだ真っ最中だったのである。




