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旅行

作者: マナティ

その日私は高校時代の友達と旅行に行くため、車に乗っていました。


カオル、リサ、ホノカ、私の4名は特に仲が良かったわけでもありませんが、なぜかリサの呼びかけにより、温泉旅行に行くことになったのです。


カオルが運転をしてくれ、助手席にホノカ、後部座席にリサと私が座っていました。



最初はそれぞれの近況について楽しくおしゃべりしていたが、リサの番になると突然

「私もう長くないんだよね。」

と話し出した。


「エ?嘘でしょ?」

「長くないってどうゆうこと?」

「病気?」

3人ともびっくりして思わず一斉に質問をした。


リサは笑いながら、

「私十二指腸?とかいうところに癌があるそうなのよ。」と言った。


元気そうでとても病気には見えない。3人ともびっくりして何と声をかけて良いのかわからなくなった。


「…そっかぁ。」


車内はシーンとしつつも、だから最期に旅行に誘ってくれたのかな、とみんなが思った。


その時…


「危ない!!」

突然カオルが叫んだ。


前方を見るとトラックが車線をはみ出し、凄い勢いで逆走してくるのが見えた。


ぶつかる!と思った。


「イヤァァァァ!!」

誰かが叫んだ…。




「…ハッ!!」

私は目を開けた。

見慣れた天井が見えた。


体を起こす。そこは自室だった。


どうやら夢だったらしい。

手や首にじっとりと汗をかいている。


嫌な夢だ。体の調子が悪いのだろうか。

そう思ってしばらくベットから動けないでいると


「ブーブーブー。」

携帯が鳴った。

メールが来たようだ。


手を伸ばす。

携帯には、


「新着メール ホノカ」


の表示。


急いでメールを開くと

「久しぶり。急なんだけど明後日空いてたら温泉旅行行かない?急に行けなくなった友達がいて。メンバーは、カオルと私だよ。」


私は寒気がした。

同時に、夢ではもう1人、リサがいたはずだが…?と思い、ふと考えた。


…あれ?リサって誰だ?


夢の中では楽しく会話していたが、いざ顔を思い出して考えてみたが、あんな子は同級生にはいなかった。


知り合いでもない。


私は震える手でホノカに返信をした。

「その行けなくなった友達って、リサって名前?」


すぐに返事が来た。

「どうしてわかったの?リサは大学の友達なの。」


カオルとホノカは大学が同じだが、私とは別の大学だ。私がリサについて顔ももちろん、名前だって知ってるわけがない。


私はホノカに電話をかけた。

「もしもし、その旅行行かない方がいいかもよ。私夢で見たの。事故にあうかもしれないわ。」


『そんなこと言ったって…。』


「あとリサって友達、病気なんじゃないの?」


『…わからない。急に体調悪いってキャンセルって電話が来たのよ。』


夢での出来事を話し、とにかく旅行は中止した方がいいと伝えて電話を切った。


寒気がひどかった。




後日、ホノカとカオルが事故に遭ったとの連絡があった。

旅行に行くため車に乗っていたところ、車線をはみ出して運転していたトラックと正面衝突したそうだ。

2人とも意識不明の重体だ。



彼女達から話を聞けない今、リサという友達の詳細は分からない。



だけど私は想像してしまった。


リサはどうしても旅行に行きたくて、2人を誘ってあの世に旅行に行こうとしていたのではないかと。




今はただ、ホノカとカオルの意識が戻ることを願うばかりだ。

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