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第二話

 なんとも言えない心地良さを感じながら、意識が覚醒していくのが自分でも分かった。

 週末に翌日の仕事の事を考えずに酒を飲み、起きる時と同じような感覚だ。感じるのはポカポカとした暑さと心地よい風。ん?風?俺は部屋の中にいたはずだ。風を感じるなんてありえない。そう不思議に思った所で意識が急に鮮明になり、目を開いた。


 目に映るは突き抜ける青空、燦燦と照り付ける太陽、そして、緑豊かな光景。どうやら寝転がっていたらしい。起き上がって見ると木、木、人の大きさ程もあるデカいムカデ、そしてまた木。どう考えてもおかしい。俺は部屋の中でMeTubeを見ていた。そして訳の分からない広告をクリックしたら、光に包まれた。そして何時の間にやら目の前はこの光景だ。


「ハハハ、よくあるテンプレものの異世界転移小説じゃみたいじゃないか。」

 そう冗談ぽく自分で嘆くも、もしかして本当に自分がその立場になったんじゃないかと不安に襲われる。


「いやいや、そんな事、あるわけないよな。」

 体から汗が噴き出てくるのを感じた。服が皮膚に纏わりつき、嫌な感覚に襲われる。よくある小説では、主人公が自分の置かれている立場を推測した後、こう言うんだ。


「ステータス。」


――――STATUS――――――――――――――

名前:織 修二 (種族:人間)

職業:MeTuber

チャンネル登録者数:0  再生回数:0

HP :10/10 MP :10/10

攻撃:12  防御:8

敏捷:6   器用:13

スキル:

ユニークスキル:Metuber

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 でたああああああああああああああああ。

 異世界転移小説パターンでたああああああああああああああああああ。

 目の前には半透明の文字が浮かび上がっていた。なんとも不思議である。困惑しながらも、一つ一つ内容を確認していく。


 名前と種族は読んで字の如く、何も間違いはない。23年間共に生きてきた自分の名前と人間以外なら何になるんだという種族。問題はその次だ。ユニークスキルの欄に表示されている“MeTuber”という文字。


 まず、MeTubeは世界でNo.1の人気を誇る動画サイトである。大人から子供まで楽しめるような幅広いジャンルの動画が投稿されており、そのような動画を投稿して広告料を貰って生計を立てているのがMeTuberである。


 いつから俺はMeTuberになったんだ。どんなサイトでも俺はROM専を極めてきたというのに。何かわかるかもしれないと思い、文字に触れてみる。すると、別枠で文字が浮かび上がってきた。


 MeTuber:撮影、編集、ポイント交換


 なるほど、分かるようで分からん。撮影と編集はそのままの意味だとして、分からないところは“ポイント交換”って所だが……。そう意識した時、目の前によくあるようなショッピングサイトが表示された。Tubeshopへようこそとデカデカと書かれている。


 えぇ……。なんだこれ……。あ○ぞんかよ……。


 試しに検索欄にライターと入力する。すると、ライターの画像と共に必要なポイントも表示される。これで100ポイント必要らしい。

恐らくだが、何らかの方法で手に入れたポイントと商品を交換出来るのだろう。

 Tubeshopを漁っていると、日用品の髭剃りや、ペット用品各種から始まり、車や家なんかも購入できることが分かった。


次に撮影を意識してみる。 すると、視界の右上に⚫RECの文字が表示された。

おぉ、これはすごい。視界に写っているものをそのまま撮影出来るのか?

 

 撮影終了を意識すると⚫RECの文字は消えた。

 

 てことは、編集を意識すると……。

 ■2019-11-20-1 02:31

今日の日付と撮影時間が表示された。フォルダ分け等もできるようになっていた。どんだけちゃんとしてるんだ。

今撮影したものを選択すると編集画面が出てきて編集できるようになっていた。

 そして、画面右下には投稿ボタンがある。なんとなしにそのボタンを押してみた。すると、ピロン♪という効果音と共に目の前に文字が浮かんできた。


ーーーーーーーーーーーーーーー

初めての動画が投稿されました。

初投稿記念ボーナスを贈呈します。

1,000Pが贈呈されました。

ーーーーーーーーーーーーーーー


 無事動画が投稿されたようだが、初投稿ボーナスか・・・・・・。

 1,000Pはしょっぱいが、今は貰えるだけ喜んでおこう。

 

 さっそくTubeshopを再び開き、水を一本頼んでみる。色々あるが選んだのは100P/本のスタンダードなものだ。カートに入れ、注文確定ボタンを押す。すると、一瞬の間もなく、目の前にペットボトルが現れた。ペットボトルは目の前で浮いている。不思議すぎるシステムだ。


 ペットボトルを手に取り、一口飲んでみる。

「水だ……。」

 周りは木だけで太陽の日差しが降り注ぐこのシチュエーションが水の旨さを引き立たせる。


 改めて状況を確認する。

 動画を見ていたらPCに吸い込まれる→ステータスが表示されるようになっており、なぜかMetuberになっている→動画の撮影、編集、投稿、ポイント交換ができるようになっている→ポイントで何でも交換できるようになっている。


 うん、ワケワカメ。いやね、異世界に行くのはまだ許せる、いや、許せないけど。でもね、どうせならめちゃくちゃ身体能力が上がっているとかさ、チート能力が備わっていたとかさ、そういうのじゃないの?


 なんだよMetuberって。物々交換ができるだけじゃねえか。おもわず、うなだれ、地面に寝転ぶ。はぁ、これからどうなるんだ。

 そう思い、瞼を閉じた。



書き為0です。

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