第一話 始まり
プロローグ読んでくださった方、ありがとうございました!
投稿頻度は少し遅めになります!
楽しんで読んでくれると嬉しいです!
0.
この世界は、4つの地方からなる。
セルリア、マナトル、クリトネ、エンバーナ。
その各地方にはそれぞれが目指す理想があった。
その理想が近かったセルリアとマナトルは友好関係にあった。
そして同じようにクリトネとエンバーナも同盟を結んでいた、
各地方が理想をかなえよと試行錯誤をする中、セルリア/マナトルとクリトネ/エンバーナはお互いの理想をかなえるための障害となり、亀裂が入っていった。
そして統一西暦3024年、全人類理想統一戦争(Ideal Unification War)と呼ばれる統一西暦最大の戦争が起きた。
セルリア/マナトルは「自由」のために。
クリトネ/エンバーナは「統治」のために。
大戦は半年間、あらゆる場所で勃発した。
結果的には300万以上の兵士や民間人が犠牲となり、クリトネ/エンバーナ側の勝利で幕を閉じた。
大戦後クリトネ/エンバーナは新たに「統治連合」を設立した。
統治連合の主な活動は大戦後の各地方の復興及びセルリア/マナトル側の監視及び束縛だった。
統治連合が設立してから「統一西暦」から新たに「人統暦」と変わり、世界は少しずつ変わっていった。
それから180年以上の歳月が流れ、人々は平穏な日々を送っているように見えた。
1.
サリスタ市では15歳で成人となる。
レオとセリナは17歳なのでもう立派な大人なのである。
サリスタでは成人になると市長から職が与えられる。
レオたちに与えられたのは鉱石採掘だった。
サリスタは特に世界有数の鉱石採掘場所と言われており、さまざまな種類の鉱石がたくさんの量が毎年採掘されるのである。
二人が採掘している鉱石は「リメトリア」と呼ばれる鉱石だ。
貿易での取引で使われ、換金すればまあまあのお金になる。
「今日のノルマは5㎏か!昨日より楽だな!」
「そうね!でも昨日は私レオの分手伝ったからね?今日は私の分も取ってもらうわよ?いいわね?レオ」
「はいはい、わかりましたー、セリナ様のおおせのままにー」
「なぁに、不満そうに?サボってるのリーダーに言うわよ?」
「なぁーーー、ごめんって!ちゃんと、ちゃんと手伝いますから!」
採掘場所は、サリスタ市内のレオたちが住む街から3㎞ほど離れた場所にある。
「毎日変わらない風景...、これが平和なら少し物足りないなっておもっちゃうわ」
「確かになぁ、でも、こんな日々が続いてほしいとも願うな」
「それもそうね」
そんな会話をしながら二人は採掘所へと歩みを進めた。
2.
全人類理想統一戦争の後、クリトネ/エンバーナによって作られた統治連合には治安維持部隊が存在する。
連合騎士と呼ばれる騎士団だ。
彼らは4地方の治安の維持、および法律違反者の連行を主に行う。
騎士団は大戦で生き残った兵士とクリトネ/エンバーナ出身の兵士志願者で構成されている。
騎士団は世界の平和を守る騎士と言われている。果たして本当にそうなのかは怪しいところだが。
統治連合は4つの地方が交わる場所に拠点がある。
かの大戦から100年後、人統暦100年の時に連合に新たにセルリア/マナトルからも参加が可能になった。
「二度と同じ過ちを犯さないよう様々なことを共有しあおう」という大義のもと新たな道へ4地方一丸となって進んでいった。 ように思っていた...。
3.
「ピューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ん?何の声だ??」レオが首をかしげながら言った。
「何の生き物の声でしょう?聞いたことないわ。」セリナも不思議そうに言った。
セルリアにはたくさんの生き物が住んでおり、セリナは生き物にとても詳しいのだ。しかし、そんなセリナでさえ、聞いたことがない声だという。
二人が声の主を探そうと周りを見渡していると、一匹の動物がいた。いや、あれを動物だと表現していいのだろうか。
真っ白の羽の生えた黄金に輝く毛並みの生えた馬だ。
「ペガ...サ..ス.?」
セリナは途切れ途切れに、か細い声で、何かを言った。
それが今見ている生物の名前だと気づくには少し時間がかかった。
「なんだって...?そんな、空想上の生物いるわけ...」
そこでレオの口が止まった。
レオは信じられなという目をしながら生物を見ていた。
「本当にペガサス...なのか..?」
しかしよく見るとペガサスの上に人のような影が見えた。
「人が乗っているのか?」
レオが言ったと通りだった。
「連合騎士だわ...」
「どうしてここへ...あの生物はいったい..」
そういっているとペガサスが背中にに騎士を乗せて(よく見ると騎士の上にもう一人乗っているように見えたが気のせいなのだろうか。)、品のあるきれいな声をサリスタ中に響かせて飛び立っていった。遥か彼方へ。
なぜ空想上の生き物とされた動物がサリスタに現れたのか、それは少し先で描かれることとなる。
4.
サリスタの鉱石採掘所は港の近くに位置しており、採掘所周辺は交通の便もよく、とても栄えている。
朝は商人と貿易の船で賑わい、昼には静かな波の音と採掘する「コツッ、コツッ」という音が響き、夕方はまた商人たちで賑わう。夜には仕事を終えた人たちが集まりお酒などをのんで朝方まで盛り上がる。
そして隣のサリッタからの観光客も行きかう場所である。
近くの海では漁が盛んで、漁船が行き来している他、釣りをする人も良く見かける。
ここでとれるのはとても大きくて、栄養価も高く、高値で売れる。
商売を行う人たちにとってはとても好都合な場所なのだ。
5.
時刻はやっと8時を過ぎたあたりだろうか。
日も照り始め、5月とは言えども3㎞も歩くと体はあつくなるものだ。
「いくらお小遣いを浮かせようたって、3㎞は疲れるよ、レオ!」
「たまにはいいじゃないか、たまには!」
「仕事を始めるのはあと一時間ぐらい時間があるけど、どうするの?」
「確かに採掘していいのは9時からだったな!港みてこようぜ!」
「いいわよ!」
港には採掘所から歩いて5分もかからずについた。
「おーい、こっちに運んで!」
「オーラーイ!オーラーイ!」
「いつもありがとう、また頼むと!」
たくさんの人たちの声が、いろんな場所から聞こえてくる。
「今日も賑わってるなぁ!!」
二人が歩いていると一人の男が声をかけてきた。
「おーーい、レオ!元気か!久々だなぁ!」
「おぉ、おっちゃん!久々だな!!元気だぜ!」
頭にタオルを巻き口には爪楊枝をくわえ、色黒な肌をしているおっちゃんと呼ばれた男の名前はクライア。
この港で漁業を営んでいる。
「今回の漁は豊作でな!!すこぶる機嫌がいいんだ!!ガッハッハッ!!」
「相変わらず笑い声がうるっせーよ、おっちゃん!」レオも笑いながら言った。
そんな二人のやり取りをセリナは苦笑いしながら聞いていた。
「そういえば、クライアさん、ペガサスって見たことありますか?」
セリナが何気なく発した一言はクライアの顔を一瞬にして変えた。
「どうした、おっちゃん、急に真剣そうな顔になって。」
「お前ら。どこで見たのかはしらんが、そのことは俺以外には決していうな。絶対に。」
「なんだよ、そんなにまずいことなのかよ?」
「あぁ、すごくまずいことだ。しかも、それを見たというならなおさらだ。おい、レオ、セリナを連れて今夜酒場にこい、そこで話そう。俺の知っていることをな。」
クライアの目はとても真剣で、しかし、何かを恐れているような目でもあった。まるで、見てはいけないものを見た時のような...。
のちにクライアが二人に話すことをきっかけにこの世界は少しずつ動くことになる。
いかがだったでしょうか?誤字や訂正箇所など、見つけたら教えてください!!
不定期投稿なので次回いつとは決めれませんが、できるだけ早く投稿しますのでまたよんでくれると嬉しいです!
それではまた次回お会いしましょう!