46話 甲斐性なしと甲斐性のあるリア充〔2〕
まさかの、日本人。
それに見間違いは無かった。その理由はやはり、周りの人の顔が外国人みたいなのに対し、平たい顔をしているからだ。
「いっ、いやー。初めまして」
何故かこねをうるように猫背姿にしながら、話し出した達也。
「はっ、初めまして……」
「……」
「……」
そしてそのままお互い話に詰まる。
その時に考えていることといえば___
一体なんを話せば良いんだ? 久しぶりにあった日本人だ、共通した話とかで盛り上がるとか……?
んー、共通の話といえばなんだろ? この人も同じ転生者とか、はたまた召喚者や転移者とか……か?
「タツヤ、どうしたの? 知り合い……って訳では無さそうだけど」
シルティーは漬物を食べながらそう言った。
「え、あ、うん……」
何と言おうか。
「ちょちょ、お耳拝見」
「は、はい」
イケメン君に耳を拝見し、小さな声で言葉を伝える。
「あ、あのー、あなたは転生、転移、召喚の何れに属する方法で来ましたか? ちょっとそこをお願いします」
この世界に、別世界の者が来るには転生・転移・召喚のいずれかの方法でしか来ることが出来ない。
またこの世界では、転移や召喚などの術を時々だが行使することがあるらしい。
主に、兵器として喚ぶそうだが。
じゃあ何故兵器と言われているのかというと、端的にいえば強大すぎる力を持っているからである。所謂、ステータスの伸び幅がでかいとか、人外スキル持ちとかの事だ。
「あの、じゃあ僕もお耳を拝借」
次は変わって耳を貸す。
俺は、この世界で転生者である事を知られてはいけない。
転生は他二つに比べて、神による干渉により直接的に強い力を得ているからで、一度転生者がそれを口走ったらしい。その人の行方は戦争殺戮兵器になったのだが、だから、まぁ、俺も知られたらそんな運命を辿るのかなって考えた。あー、でも弱い事を知られれば直ぐに捨てられそうだな……。
まぁ、そうだな。刑務所に行った時よりも嫌な思いになりそうなので嫌なのである。
そして、イケメン君はイケメンボイスで吐息を吐くように囁いた。
「あの、僕は召喚の方で喚ばれました。ですが僕は逃げて来ました」
「え、逃げて来た……?」
何とも聞き捨てのならない言葉を耳にした。
逃げるってどう言う事だ? いや、まぁ兵器として扱われているから、逃げるのも当然か……。
耳を話し、イケメン君の顔を見る。
キリッとした目つきと、高い鼻。髪は標準的だが、顔が黄金比率である。ただ、顔はまだ幼さが残っている。年齢は高校生くらいだろうか。そしてこの人は俺の身長を超えていて、俺の身長が163cmに対し、少し見上げる形になる。
そんな自身の身長にションボリしながら頬を掻いた。
逃げて来た、か……。そりゃ兵器なんかとして扱われてれば逃げたくなるよな。
感慨を深いものを感じる。
「瀬戸さんっていつからですか?」
釘宮君が味わったかもしれない苦悩などを、妄想しているとそんな言葉をかけられた。
主語が抜けていて一瞬戸惑ったが、すぐに理解する。
「あーそうですね……9日前です。なので、ほんと最近です。釘宮君は?」
「……僕も最近です。1ヶ月前位です」
1ヶ月……。
「やっぱり、召喚はろくな事なかった?」
ふと、そんな事を思い言葉にすると釘宮君の顔があった言う間に暗く変わった。
「はい。アレは、おかしいです。妄信的というか、絶対的というか。一層の事言ってしまえば気味が悪かった。幸い、僕は誰よりも多くのスキルと高いステータスで逃げて来ましたけど、やはり、悔いは皆んなも逃がしてあげられなかったことです。あそこは、もう狂気です」
そうして言い切ると、へたりこむような席に座った。
俺も背もたれを前持たれにし、座った。
「僕には鑑定スキルがあるんです。それで、相手の心を読むことが出来るんですけど、あの人達の感情が一切読めませんでした。その日から僕は怖くて仕方なかったです」
「お、おう?」
な、なんだ? なんかスイッチ入ったか?
淡々と話すのを辞め、感情的に変わっていく声にはある種の怒りと絶望を感じた。
「それで次の日なんですけど、もっと恐怖を感じて行きました」
「恐怖を?」
「はい……。その日は戦闘の実践訓練だったんです。僕は鑑定を使って心を読めなかった日から用心深く行こうと思い、こっそりと何回もスキルを使っていました。そして、初めて心が読めたんです。一瞬だけですが、それが「ルゥヴァイリカヌシ」って言う言葉でした。それは僕達に聞かされていた言語と全く違うんです。その時です。逃げようと策を企てたのは」
「なにそれ怖い」
と、相槌を打つのだが、妙に目線が刺さると思っていたらなんで君達は俺を見つめているんだよ。
囁きあっている途中から気にはなっていた、釘宮君の席にいる女性たち。
数は7人。正にハーレム。
そして、俺が釘宮君とコソコソ話をしていると彼女らは俺を見つめるのだ。それも、好意的な眼差しではなく、何というか睨みつけるような不思議な……目だ。
「あ、あのー、何でしょうか?」
釘宮君と真正面にいて見えないので、少し身体を動かしてそっちのテーブルにいる人たちに言葉をかけると、彼女らはスッと睨む目を引いて、目の前の料理に恍惚とする顔にした。
なにっ、その豹変ぶりと統率の取れた動き!
「___そこで僕はっ___」
おっとー、こっちでは自分語りがデットヒート。
釘宮君の話はもう少し長くなりそうだ。
お読みいただきありがとうございました。
キャラあとがき
作者「いえす、あいきゃん」
達也「何ができんだよ」
作者「知らん」
達也「はぁ、それにしてももう少し長引きそうだな」
作者「お話?」
達也「そそ。釘宮君からどんな言葉が出るのかな?」




