レグルスの磁針
赤褐色の髪色は、光を浴びて朱色に輝く。
茜色の双眸はなんとなくいつも物憂げに見えるが、その心情は読み取れない。これもいつものことで、今更気にするようなことではない。
――そのはずなのだけれど、でも、だからこそだろうか。
混乱しそうだ、と心の底から思った。
「っう、わ……」
振り下ろされる刃を辛く受けると、その重さに驚いた。
腕はそう太く見えないし、体格だって飛び抜けて恵まれているわけではない。むしろそれについてはレグルスのほうが優れていたし、だからもっとなにか、コツのようなものがあるのかも知れない。
けれど、不意に脇が浮いた隙を突いて、薙ぎ払うように剣を振られれば、そのまま体勢を崩してしまう。
尻もちを付くと、相手は剣を下ろした。
「――大丈夫ですか」
呼吸のほつれすらない、いっそ冷淡な声で尋ねられる。
その声に苦く笑って、レグルスは眉尻を下げた。
「大丈夫、です……って、いうか」
差し出された手に掴まりながら立ち上がると、レグルスは向かいに立つ彼――スペードの6、テルを見下ろしながら、怪訝に尋ねる。
「なんか、強くないですか?」
彼は困惑したような顔をして、首を傾げて見せた。
四つのクラスでの合同実習だったのだが、上から十三までナンバーが付いた生徒は、それぞれ同じクラス順位が付いた生徒を実習相手にするよう指示が下りた。
それについて不満はないというか、むしろスペードスートとクラブスートで一位のヨハンとエヴァが率先して今まさに手合わせをしている真っ最中で、その勝負はたいそう見物だし、合同実習ならではの光景とも言える。
空気が冴え渡っている。刃が打ち合う音がびりびりと空気を震わせる。桁違いの緊迫感に、周囲は呆然とその光景を眺めていた。
そのギャラリーの中には、ハートスートとダイヤスートの王、オデットとルースの二人もいる。彼女らは遠巻きに野次を飛ばしていたが、先ほどまであそこで手合わせをしていたのは彼女たちだった。
だが、レグルスはそれを目にしながらも、それ以外の気がかりにすっかり気を取られていた。
「テルって……えーと。俺と同じで、八位……ですよね?」
木陰に腰を下ろして遠巻きに手合わせを眺めながら、レグルスは隣に立つテルへと尋ねた。
木に凭れて立ったまま、彼は顔色を変えない。
「ええ」
涼やかな目元のせいか、冷たく見える横顔が淡々と答えた。
二年期末の円卓試合でハートの6になったレグルスと同じく、スペードの6で、クラス内八位の手腕の持ち主のはずだ。それなのにまるっきり歯が立たなかった。
中にはやりづらい相手がいて、格下からころりと負かされることもあるのだが、それとは違っていた。確かにやりづらかったがそれはテルの手が読めなかったからで、勝負自体はきちんと成り立っていたはずなのだ。
ただ、歯が立たない。
そういう勝負を、以前にも経験したことはある。
「なんか……キングにこてんぱんにされた時みたいな」
あれに似ているとぼやくと、テルは一瞥だけ寄越した。
「ハートの王?」
「そうそう。毎年一位にいるだけあるんですね、やっぱり。冗談みたいに強くって」
関心なさそうなテルの横顔に、レグルスは構わず話し掛ける。
同じクラスの一位であるオデット。同じクラスだけあって何度も手合わせしたことはあるが、いっそ何かの手品みたいに、気付いたら負けが込んでいるという状況が珍しくない。
「全然勝てなくて」
「一位は伊達じゃありませんね」
「そう。もうキングが強いのは分かってるんですけど」
桁違いなのは十二分に分かっている。それから、ヨハンもエヴァもルースも。同じ学年の一位四人は、まるっきり地力が違う。元々持っている才能もある。それに負けないぐらいの闘志も、向上心もある。
けれど、今日はそれと同じぐらい驚いた。
「なんでテルは八位なんです? もっと上でもおかしくなくないですか」
テルは気まずそうな顔をした。
「おかしいもなにも、実際八位なんですけど……」
言い淀みながら、ぼそぼそと曖昧にぼかした。
「……まあ、色々でしょうか」
「はあ。色々ですか」
歯切れの悪い返事は、やはりなにを考えているのかよく分からない。
スペードの王であるヨハンもしょっちゅう不機嫌になるし、大概よく分からないと思うが、テルはさらに口数が少ない。おまけに誰かと親しくもしないから、レグルスが見る彼という人は、いつも無表情で物静かだ。
レグルスが微妙な顔をしていると、テルは沈黙に困った顔をして付け足した。
「円卓試合が真剣だからというのもあります」
「ああ、なるほど。確かにちょっと怯んじゃいますよねえ」
彼がそんなことに動揺するような性質とは思い難いが、実際そういう人は多い。普段の模擬戦ではそれなりに良い所まで行く人が、真剣を用いる円卓試合で奮わないというのはないこともなかった。
意外ですねえ、とレグルスはひとりごちるように呟いた。
「模擬剣なら、もっと上にいけるんじゃないですか?」
「……それ、将来的に困りませんか」
「はは。そんな先のことまで見てる余裕あるなんて、羨ましい」
目先の勝敗ばかりに目を向けて、将来困るなんて考えもしない。
いつもそうだ。オデットたちが騎士団を志して揺るがない一方で、自分は将来何になるか分からないまま、なんとなく授業を受けて、目の前の勝敗に一喜一憂している。難しい座学に嘆きながら、最低ラインにどうにかかじり付いて生活している。そんな中、先のことに目を向けている余裕なんてあるはずもない。
「俺は剣がどうこうってタチじゃなくて、実力差でコレなので。情けない話ですけど、今のことで手いっぱいです。っていうと、婚約者に怒られるんですけど」
「…………」
「あれ、聞いてなかったですか? 意外です」
奇異なものを見るような目鼻で見下ろされながら、レグルスはへらりと笑ってみせる。そういえば、テルとはもともと話すことが少ないし、婚約者がいるという噂も聞いていなかったかも知れない。
「気が強くて、しょっちゅう怒られます。試合とかも見にきてくれますけど、うだつが上がらなくって。そろそろがっかりされそう」
「……そうですか」
「それは嫌なので、もうちょっと強くなんないとーとか思いはするんですけど、なかなか難しいもんですねえ」
学校に入って以来、なかなか思うように会うことのできない婚約者の怒り顔を思い出しながら、レグルスは困ったように笑う。
「どうやったら良いのか聞いて良いもんですか」
彼が必死で努力して自力で掴んだものなら、それを簡単に教えて貰おうなどという気はない。そう思って回りくどい尋ね方をすると、テルは不思議そうに茜色の目を瞬かせる。
「どうとは」
「強くなる……コツ?」
「それは……」
「あっやっぱりナシで。才能とか言われたら、どうしようもない」
言い辛そうな顔をするテルを慌てて遮って、レグルスは質問を変えた。
「っていうか、テルってあんま腕力あるように見えないんですけど、こう――剣を受けた時に、ずしって」
「ああ」
剣が重かった――ように感じた。
気のせいかも知れないが、一瞬怯んだ。散漫になった意識で、我に返ればもう負けていた。あれは単純に腕力という感じではなかった。
疑問に思って尋ねると、テルは手振りを交えながら説明してくれる。
「それは――刃がぶつかった瞬間に、こう……自重を乗せるんです。身体を捻ったり、なるべく腕を振り切らないようにして、刃ががっちり合わさった時だけ、重さを掛ける」
そうすると、ぐっと一瞬力を加えるだけで、急に重くなったように感じるのだろう。そうすれば、何も思いっきり踏み込んで振り切ることはなくなるし、その分体勢を立て直すのも楽だ。
が、そう簡単なものではないらしい。
「手に……こう、芯を捉えたような感覚が馴染まないと、コツじゃなくて」
「やっぱりあるんですかねえ。そういうの」
言われたからと、真似してできるかというと、そうでもないようだ。テルがやってみろとは言わない辺り、そういうことなのだろう。
手のひらの微妙な感覚を研ぎ澄まし、一瞬を逃さない。集中力が要りそうだ。
レグルスは苦く笑った。
「やっぱりそんなにすぐには強くならないもんですよね。難しいなあ」
「……難しい、というか。……その」
「いや良いですよ、気とか、使わなくて」
そう笑っては見せたが、テルは困ったような顔をしていた。もしかして何か言いたいことでもあったのだろうか。開いた口をきゅっと噤んでしまったが、聞いた方が良かったのだろうか。
迷っていると、やがてテルがまた口を開いた
「ハートの王に聞いてみたことは?」
何を、と尋ね返しそうになったが、恐らく強くなる方法ということだと遅れて気付く。それならないではなかった。
「一応ありますけど、手合わせしてやるーって言われてこてんぱんにやられて、何も掴めずでした。まあ、感覚で覚えろって話なんでしょうけど、速すぎて無理で」
「ああ」
「で、口で説明して貰っても、結局賢くないからピンとこなくて」
「ふ」
テルは珍しく笑った。
すぐに口元を手で隠してしまったが、別に笑われるのは大したことではない。怒られるよりなら笑われるほうが安心する。
レグルスは釣られるようにへらりと笑った。
「だからキングたちの試合見ても、すごいなーと思ってぼーっと見て、そんで終わっちゃいます」
「そうですね」
ぽつりと同意してくれた。
と思ったが、同意の返事ではなかったようだった。何となく言葉の選び方というか、話すタイミングが掴めない人だ。
もしかすると、慎重なのでもあるのかも知れない。テルは何か考え込むような顔をして、やがてぽつりと尋ねてきた。
「……どっちが勝つと思いますか」
「ん?」
話が変わって困惑していると、テルは向こうの勝負を指さした。ヨハンとエヴァが模擬剣をけたたましく鳴り合わせている。その剣速は速く、鋭い。
どちらが勝つかと聞かれると、難しいところだが。
「そうですねえ……」
ヨハンのフェイントを見切って流すエヴァの軽快な動きに、思わず感嘆の声を上げてから、レグルスは答える。
「ヨハンかと思ってたんですけど、今日はエヴァですかね」
テルはレグルスの予測を受けて淡々と追及してくる。
「どうしてですか」
「エヴァは腕力があるので、割と勝負が早く決まるんですけど……持久戦だとヨハンでしたよね。いつもだとそろそろヨハンが勝ってる状況ですけど、でも今日はなんか……」
ヨハンの剣が荒くなっている、ような気がする。それに対してエヴァは積極的な攻撃が少ない。むしろ、ヨハンをあしらっているようにも見えた。
今までとはちょっと違う内容の勝負だ。それを呟くと、テルは追求してきた。
「どんなふうに」
「んー……」
どんなふうに。今までとどう違うのか。
まじまじ観察して、これかと思える点をどうにか見つけ出した。
「動きが少ない、ような……というか、小さい?」
そう思う。それから、一定の距離を取り、ヨハンが踏み込む回数が多い。動作が多くて、消耗してきたようにも思えた。
気のせいだろうかとじっと手合わせの様子を眺めていると、急に呼ばれた。
「レグルス」
「はいっ?」
いきなり名前を呼ばれて驚きながら返事をすると、テルもレグルスの返事に驚いたのか目を丸くしている。
「……は、クラブの王を見習うと良い……と、思います」
――突然そんなことを言い出すテルに、多少ならず驚いた。
目を丸くしたまま、呆然と問い返す。
「エヴァを?」
「貴方は、体格に恵まれているので」
テルはやはり感情の読めない顔色で、考えを率直に口にする。
「そうですか?」
「体格と腕力は、生かすべき資質だと思います」
つまりはレグルスの長所だと言っているのだろう。テルに褒められるような点が自分にあるとは思わず、ぱちりと瞬きをする。
テルは気付いていない様子だ。
「ハートの王は、体格と腕力を補うために大振りの動きで、そこで生じる隙を生来の反射神経と読みが補います。……ダイヤの王は、生まれ持った性質と環境と努力と才能の賜物。スペードの王は規則正しい剣ですが、彼のバランス感覚と、判断力が強さの肝要です。……見習っても他人には合いません」
――あの三人はそれぞれ、生まれ持った性質と、それにふさわしい技術を手に入れている。それを一朝一夕で盗もうと思っても、それは徒労に終わるのだと、テルは淡々と切り捨てた。
「クラブの王は、体格なりの動きをしていますから……もっとも貴方に最適な剣に近い」
エヴァの強さは、その体格と腕力に依拠している。だからこそ、レグルスには向いているのだ。もちろん、それだけでは彼らと渡り合うには足りない。そうテルは言っているのだろうことも、何となく察することはできた。
何より、自分がオデットの動きを真似ては駄目だということも、一番。
「貴方はハートの王に習ったせいか、少し動きが大きくて……確かに腕力があるので、受けた太刀筋は重いのですが、流せば大きな隙ができます」
なるほど、と納得の声が漏れた。自分の動きは自分で見ることができないが、言われてみるとそうなのかも知れない。動きが大きいために、間合いを詰められ過ぎると弱い。小柄なオデットなら対処できても、レグルスにはできない。おそらくテルの目にもそう見えていたのだろう。
「だから、動きは大きくなくて良い。懐に入られると弱いので、腕は伸ばし切らない。常に力まかせに振り回さず、緩急を付けて相手を揺さぶる」
指を折りながらテルは簡潔に指摘していく。頭の中で要点の整理が付いたのか、率直にバシバシと的を射ていく。なるほど、彼は頭で考えてから喋る性質なのだろう。
「身体の芯は常に両足で支えて、踏み込む際にも重心を片足に偏らせ過ぎない。素早く身体を引いて、きちんと意識して構え直す。……ということをすると」
小さく息を吐いて、指摘が終わったのかテルはぱたりと手を下ろした。
「一年ぐらいで、もっと上にいけるかと、思いますが」
それきりまた口を噤んだ。話は終わったのだろう。
とびきり参考になった。が、レグルスの方は一遍に言われると耳から滑る。
「あー……覚えられないので、後でメモください」
「……はい」
決まり悪く頼むと、テルは顔色を変えずに頷いた。呆れたという様子ではないのが幸いではあるが、やはりいたたまれない。レグルスは苦く笑った。
一拍の後、はたと気付いて尋ねる。
「……一年っていうと、三年の期末に間に合わなくないですか」
三年半ばの今から一年だと、四年の半ばということになる。すなわち今年の期末には間に合わない。
テルはけろりと頷いて見せる。
「そうですね。……三年の期末では無理です」
「マジですか!!」
「本当です」
レグルスの嘆きも知らず、テルはいっそ冷たく感じるような態度で一蹴する。
「そこをなんとか……もっと早くなんとかなりませんかね……」
「……そんなに気長に構えられない、という」
「そう!!」
言葉尻を遮る勢いで力いっぱい肯定すると、テルはまた少し笑った。ふっと表情を緩めるぐらいの微笑みだ。彼らしい気もする。
「でも、楽しい、かと」
首を傾げると、彼はまた少し考え込んで、口を開く。
「一つ一つ、できるようになっていくのが、自分で分かるのは……それに、自覚があれば負けからも収穫が得られます。だから、そんなに構える必要は、ないかと」
彼は楽しいのかも知れない。自分の腕が向上していることを自覚し、実感できているのだろう。余裕があって、だからこそ見えない先のことに対しても簡単に想像が及ぶ。視野が広いのだ。
「目の前の勝敗には気負わずに、弱点に少し気を付けるだけで、動きは変わります。そうしていれば、いずれ身体に染み着きます。一年というのはあくまで目安です。ただちょっと、目先のクセを矯めるということだけ意識すれば良い」
苦手なのだ。先のことを考えながら動くのは。だから、テルはごちゃごちゃしたものを省いて、最低限をと提示してくれる。
「一年とかじゃなくて、それだけです。いずれ勝ち越せるようになっています」
取っ付きにくいような無愛想な彼が、珍しく微笑みながらそう保証をくれる。それが意外なような有り難いような不思議な気持ちで、レグルスは尋ねた。
「マジですか」
「本当です」
食いつくレグルスにちょっと気後れしているような顔で、テルはもう一度肯定した。
喜んでいると、困ったような顔で、テルは歯切れ悪く提案する。
「……その、よろしければ、多少は指導というか……助言はできますが」
「良いんですか! お願いします!」
と、急に立ち上がって詰め寄ると、テルは圧倒された様子で呆然としている。こんな風に驚いた顔をすることも珍しいかも知れない。
レグルスは座り込みながらまたへらりと笑う。締まりがないとオデットに怒られるが、彼女が怒っていて自分が笑っているなら、差し引きゼロで丁度良いだろうと思う。
「四年期末ですかー」
三年に間に合わないにしても、向上するという保証が得られたのはほっとした。今までは目指す方向も分からず手さぐりだったから、教えるというのは喜ばしい提案だ。
「気の遠い話ですねえ」
「……そうですね」
陽気に呟くと、テルは沈んだ声で同意した。
あんまりに沈鬱な声音に顔を上げると、テルは向こうの手合せをぼんやり眺めながらぽつりと呟いた。
「ここでの生活は、私にはあんまりにも長い」
何を考えているかは分からない。冷静というか平坦というか、感情の揺れ幅が一見して見て取れない。だから、その言葉の真意も分らなかった。
レグルスは率直に尋ねる。
「つまんないですか?」
「……そういうことは、ありませんが」
「そう?」
濁した物言いに首を傾げ、レグルスは笑う。
「つまんないならさ、楽しくやりましょうよ。せっかく同級生なんですから」
難しいことは苦手だ。だから、小難しい顔をされても分からないし、黙っている人の口を割らせる方法も分からない。
だから、とりあえず笑って見せるというのが、自分にできる精一杯だ。楽しく見えれば良い。それに、一緒に楽しいと思って貰えればもっと良い。
「もったいないじゃないですか」
先のことは分からないから、とりあえず今楽しくなるように努力するのは、決して苦ではない。そう思ってテルに「思いませんか」と尋ねると、テルはやはり目を丸くしていた。驚いているのだろう。
「考えもしませんでした」
「駄目ですかね」
少々楽天的過ぎたかと尋ねると、テルは「いえ」と首を横に振った。
「私は、そういうところがいけないのかも知れません」
「?」
「そうですね」
その言葉の真意はやはり分からないが。
「うん」
テルが可笑しそうに笑っているのは分かった。だからまあ良いのかなあと思っていると。
「もう少し楽しく……って、どうやるのか、分からないですけど」
困ったように呟くテルに、素早く反応する。
「それなら教えられますよ」
冗談を言うとか、遊びに誘うとか、そんなことなら別に難しくない。テルにとってはどうか分からないが、自分にとってはそうだ。
だからと思って提案すると、彼はちょっと視線を下げて、ばつが悪そうに言った。
「では、お願いをします」
はい、と応じて、レグルスは勝負の行方に意識を戻した。
視線の先では、予想通りエヴァがヨハンを負かしていた。