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鬼はいつも人の心に  作者: UVリキュール
9/15

3話_Detective pretend_

 昨日堂々と友人に2話投降するとか言っときながら衝撃の12時間睡眠。晩飯も食えてなく朝からぐーぐー。昨日出す予定だった3話です。どうぞ

「おい起きろ!!バキ姉!!」


 多種多様の部活が活動している放課後。葉梨は人気の無い図書館裏に来て叫んでいた。


 バキの活動時間は基本17:00~8:00が活動時間の健康的な夜行性妖怪をしている。

 理由としては幽霊、害意のある妖怪の幽霊が活動するのが主に夕方から夜にかけてなので、その間葉梨が被害に遭わないように護衛しているのからだ。

 しかし、大抵ぎりぎりの所までは助けずに、葉梨の様子を見て遊んでいたりする。


『…………んぅ。…なんじゃあ。まだおきるのにははやいじゃろ?』


 寝起きで舌足らずな幽霊の言う通り、現在の時間は15:30。バキの活動範囲時間外だ。いつもならこんな起こし方はしない。しかし目を手でぐしぐしして虐めているバキには悪いのだが、考慮する余裕は今回ばかりは無い。


「香川が突然消えた。状況的に人の為業とは思えない」

『ほう。我々の領分の者がやったと。して、どのような状態じゃたか?』


 我々の領分。バキの言うそれは妖怪、または妖怪の幽霊の事だ。妖怪だって討伐されたりするのだから勿論幽霊は存在している。現代では大抵の妖怪は淘汰されて、寧ろ幽霊になった妖怪の方が多く見かけられるようだ。


「確か天気は今と同じ曇り。肌寒くて、薄暗い部屋の中だったはず。香川も部屋に入ってきただろう事は、足音的に確実だ。…分かるか?」

『分からん。暗がりで人を攫う妖怪なんぞいくらでも居るぞ。鬼しかり、天狗しかり。情報が全然足りん』


 もう少し情報を集めてから言え、とばかりの顔をしてバキが返す。

 そもそもどんな妖怪も結構人を攫っていたりするのだ。有名になるほど尾ひれがついて、当てはまることが多い。

 バキ曰く妖怪は人に願われた(恐れられた)からこそ産まれたらしい。人の願いが変わると、妖怪もまた変わるそうだ。


「せめて種族さえ分かれば香川の居場所が分かるかもしれないのに…」

『それなら情報収集するしかあるまい。そもそもかがわ?とか言う人間を助ける意義はあるのか?』

「俺の友人だ。バキ姉が止めても助けるからな」


 そう言い、葉梨は宙でこちらを咎めるような目で見ているバキを見上げる。

 バキの布で隠れてはいるものの赤い髪の毛に、紅い角、肘から先のない右腕、そして現代の人なら祭日しか着ないであろう黄色く所々白い着物は葉梨を威圧する。

 バキとしてはあまり葉梨が危険な案件に、首を突っ込みのは辞めて欲しいのだろう。いつも妖怪関連に手を出そうとすると、同じ反応をする。


『お主が死に至ることもあるのじゃぞ。そこまでするほどの事か?』

「至ることもある、だ。確定じゃないし、人が死ぬ可能性もある。それほどのことだ」

『阿呆か。まずお主の命を第一に考えるのじゃ。そもそも小僧に妖怪に対応できる力は無いじゃろ?』

「俺にないなら妖怪の存在すら知らない人たちはもっとないだろ。妖怪は大体弱点がある、調べてそこをつけば良い」


 暫くにらみ合いが続く。すぐ隣の道路で車が近づき、遠ざかっていく。その聞き慣れた音があまり耳に入ってこない。


『…はぁ、良かろう。小僧は幼小僧の時からそうじゃ。他人が事件に巻き込まれようとすると、絶対助けようと止まらん狂人じゃからのう。しゃあないから力を貸してやるわ』

「言っとけ。俺はこの性分を辞めるつもりは無い」


 このやりとりも慣れたものだ。だからバキは半分止めるのを諦めていたりする。

 こんなことを言って葉梨が、怪我ですまないことになったことが何回あったか。これがなければもっとついてないと嘆く回数は減ったであろう。しかし人はそうそう変わらない。三つ子の魂百までとは言ったものだ。


「でも、ありがとう。頼りにしてるぜ」

『頼るが良い。なにせお主の協力者は強力な鬼なのじゃからな!』

「なんか冷めた。やることは変わらんし、やるだけのことはするがなんか冷めた」


 熱いものを冷やすとすぐ壊れると聞くが、感情にも適用されるようだ。確かな絆をバキから感じていたのに、もう葉梨の心は震えない。


『つれんのう。小僧もちいとは、言葉遊びに付き合っても良かろう』


 少し悲しそうに言う自称強力な鬼。先程までの威圧感は何処に消えたのか。


「言葉遊びよかエロトークの方が盛り上がる。男子中学生でも知っている教養だ」

『くだらん事を言ってた我が言うのもなんじゃが、ちと煩悩にまみれすぎではないか?我、エロトークより言葉遊びの方が、ましと思うんじゃが』


 もう一種のアイデンティティだ。エロを彼からとったら彼でなくなる。


「煩悩にまみれて何が悪い。種を残そうとするのは生物として当たり前だ。この思いが強い俺は生物として優秀とも言えるぞ」

『人間は理性があるから、他の動物より強者に立てたと思ってたんじゃが、勘違いじゃったかのう』

「愛だの恋だの言っているが遠回しに本能が出ているだけだっ。お綺麗に飾りやがって。俺なら真っ先に手を出すね」

「小僧。お主、お主が思っている以上にチキンじゃから無理じゃと思うぞ…」


 恋愛経験値0の葉梨が上位者に吠えてもただの負け犬の遠吠えにしかならない。こんな所でも弱肉強食。やはり葉梨は弱者に甘んじるしかないようだ。


「香川も藤崎もチキンだが俺は違えぞ。…こんな話してる場合じゃねえ!香川、香川探さないと。おい、取りあえず学校出るぞ」


 笑う鬼を連れて少年は足を動かし始めた。

 葉梨君打つとき葉っぱ梨と打たないといけないので少し面倒い…。

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