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鬼はいつも人の心に  作者: UVリキュール
13/15

4話_Rescue operation?_2_

 戦闘とは何だったんでしょうねえ(困惑

「貴方は!どうして!どうしてええええ!!」

「俺がなにしたって言うんだこいつは!!」


 大振りに出した腕に標的が当たらなかった事に気づいてなかったのか呆けていた橋姫は、こちらの50m後ろを追いかけてくる。

 幽霊である橋姫は角を曲がっても、すり抜けてショートカットするチート持ちだ。手に当たったものを消す力に物理攻撃無効なんて、修正パッチものの反則技である。


『知らんわ。それより小僧、明るいとこに出るのじゃ。シンとやらも薄暗い所で攫われたのじゃろ。おそらくこいつは、暗いとこ以外では活動出来ん!!』

「流石バキ姉っ!!でも声出して良いのか。身を隠しているんだろ?」

『小娘なら小鬼を見て気絶したわ。目撃者はおらん』


 ずしりと腕にのしかった重みは、確かに抱き上げたときより重く感じた。寝ている人を担ぐのは辛いと聞くがこう言うことなのか。

 幸いホームセンターを出たばかりで近くにある。水木馬市はあえて田舎部を作ることで、心に癒やしを持たせるヴィレッジセラピーなるものもを運用している。今葉梨が走るここは、そのヴィレッジセラピー区域で光源が異様に少ない。


「橋姫の方が早いが、もう店は見えた。あと少しィ!!」

『おい、小僧右から来る避けろ!!!!』

「はぁっ?!」


 右から見えるのは体が透ける見慣れた普通の女幽霊。体を前に倒して無理矢理避けるが、体制を崩して肘からゴロゴロと路上に倒れる。秤は手から落ちてはしに転がった。

 葉梨は妖怪や幽霊に関しては日常茶飯事。むしろ1週間何もなければ大きな不幸の前触れ、嵐の前の静けさのように思えてビクビクする少年。そんな少年が夜道なんかを出歩いていたら幽霊に出会うのは必然であった。

 走れば大体遅く、たいした影響もない幽霊だがタイミングが最悪だった。推進力をなくした獲物に追いつくのは簡単。橋姫は三メートル、全力で飛べば一歩でつく位置に立っていた。


「愛しい貴方。貴方は何で何であんな女とォ!!邪魔だァァ!!」

「なんだこの女、角?うわっ―――」




 鬱陶しそうに橋姫が振った手に幽霊が当たると、幽霊が消えた。




 あけっけなく消え去った脅威。あけっけなく消してしまったそれ以上の脅威。絶対強者は妖怪で、人間は獲物でしかない。そもそも対峙しようとするのが間違いなのだ。


「こいつ幽霊も消せるのかっ!!」


 死は目の前。今更ながらに脂汗が出てくる。手が冷たい。でも。


「まだ死んだわけじゃねえ」


 諦めるにはまだはやい。腕も膝も擦りむけていて、足は走り疲れている。心臓は速いし息も荒い、全然万全とは言えないけど行ける。

 現在は深夜帯。勿論葉梨だって光源なしで動くわけではない。ポケットでライト状態にしていた携帯を橋姫の目に照らす。


「うわぁっ」


 怯んだ。橋姫目を隠すように着物の袖で覆い、こちらをを見ていない。これ以上のチャンスはない。

 大切なガラケーは心残りだがほっておき、秤の倒れている体を脇に抱えるとまた走り出す。伊達に幽霊とよく走り込みをしているわけではない。葉梨の運動能力は高校生の平均よりすこぶる高い。その駿足を遺憾なく発揮して駆ける。


『安全地帯まで後100メートル』


 一歩一歩に十全の力を入れる。


『後80メートル』


 橋姫も目が直ったのか雄叫びを上げて追いかけてくる。


『後60メートル』


 足が絡まり左の靴が取れる。


『後40メートル!』


 左脇に居る秤の存在がでかい。呼吸が裏返る。


『後20メートルっ!!』


 かすりでもしたのかマフラーが消える。


『後10メートルっ!!!!』


 頭が真っ白だ。足もおぼつかないが、足を出すことだけに集中する。

 すると先に小石があったのか再度こける。秤を庇いつつ仰向けにこけた。不味い不味い不味い不味い!!傾いた目線の中で橋姫と目が合う。

 両手で秤の頭と肩を抱くと横に転がり込む。

 橋姫の手はか容赦なく追撃してくる肩につくまで後1秒もない。上着が当たり消えた、これは間に合わない!!!

 そう思った瞬間車のヘッドライトが光こちらを照らす。

 


『っ!!ゴール!!!!』


 ついていた。ヘッドライトに怯んだ橋姫は悔しそうにこちらを見つめているが、襲ってこようとはしない。

 とても不本意そうにしながら、うろうろした後諦めたのか、闇に紛れて煙のように消えた。


「ははっ、あっはははははっ。やったあぁぁぁぁ!!!!!」

(良く生き延びた小僧)

「あはははははっ。うれしいなぁ。生きてるぞおおおおおおっ!!!!!!」


 駐車場に寝転んで、上半身裸で気絶した同い年の女の子を抱きながら笑う男が居た。周りの人々は奇怪なものを見たような目をしながら、関わりたくないのか去っていくが、今はただ葉梨は笑いたい気分だった。


「あははっ、ふははっ!!」


 

 ここまでして気絶したままの秤ちゃんって、以外と大物かも

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