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噂話

翌日、学校に向かうと少し騒がしかった。

校門を潜り昇降口で履物を替えているとカイトがたたっと走り込んで来た。

「おっはよ紫吹」

「おはよ、何かざわついてんね」

周りを見回しながら呟くと、カイトもそだね、と頷いた。カイトが履き替えたのを見て教室て向かう。教室もざわついていた。

「どしたのかね」

「さあなぁ」

首を傾げて席に座ると、前の席に誰かが座った。眼帯を右目に着けている少年だ。また眼帯だ、とぼんやり考えていた紫吹に少年が片手をひらりと挙げた。

「おはようございます紅月さん、小野寺彰介です。初等部にいたでしょ?」

「あー……いたかもな」

「投げやりだなあ……」

困り顔の彰介にカイトが話しかける。

「ねー、紫吹の友達?」

「友達って言うか同級生って言うか、知ってはいるけど話さなかった……みたいな」

「へー」

カイトも座り話は続けられた。まずざわついている原因、昨夜住宅街で通り魔が出たらしいとのこと。紫吹もニュースは見たのでそれは知っている。しかしここはただの学校では無いので情報が早い。中央政府が統括する組織の中にある為、将来機動隊等に入る子供たちを育てるための組織でもあるここではそういった事件の情報を知ることも良くあることなのだ。

犯人は全身黒ずくめ、フードを被っていて顔は見えなかったが凶器は日本刀、声はくぐもっており動きは素早い、などなど。聞き取れただけでもそれくらいだと彰介は言った。

「それどこから聞いたんだよ」

「廊下とかですかね」

後ろで少し結んだ髪をちょいちょいいじりながら彰介は話す。

「まあ被害者の人も怪我はないし至って元気らしいんですけど、深夜にそんなのに会っちゃったらそりゃ怖いですよねえ」

「真夜中に黒ずくめの通り魔かー、うん怖いわ」

うんうん、と頷くカイトに紫吹も確かに、と頷いた。恐ろしい奴もいたものだとぼーっとしていると。神田が入って来た。

「出席取りまーす、皆さんいますかー?」


通り魔の話は神田がやめなさいと言ったのでクラスでは余り聞かなくなったが、廊下に出れば話は別、噂好きな子供達は話すのをやめない。

次はそれぞれの能力を測定するらしく、着替えの為に更衣室へ向かっていた。身体測定のようなものらしい。

「紫吹ー、紫吹は噂好き?」

「あんまり」

「私もー」

何となく話しているとカイトがありゃ、と声を出した。

「えっ、彰介くん!?何でいんの!?」

「えっ、」

「ん?」

そちらを向くと確かに彰介と同じ顔がいた。目を瞬かせてこちらを見ている。しかしよく見ると違うところがあった。

「カイト、違うよよく見な」

「へ?あらまほんと」

言われてよく見ると確かに違った。彰介は髪を後ろでちょこんと一つに結んでいたが、目の前の子は髪を二つに結んでいる。眼帯を着けてはいるが彰介のは十字模様なのに対して×模様だった。

「彰介と双子だったっけ」

紫吹が聞くとうん、と頷いた。彰介と比べると若干ぼんやりした顔をしている。

「兄貴です、で、私は彪。あきらです。」

ぺこりと頭を下げられこちらも何となく返す。カイトもならって頭を下げた。

周りを見るともう何人かしかおらず、三人も更衣室から出た。

皆が集まっているのは体育館のような所。訓練室と呼ばれている。

神田が緑の学生がよく着るようなジャージを着て現れた。皆の前に立つと手を挙げて声を張り上げた。

「みなさーん!!これから測定を始めますよー!!はい並んで!!」

神田の声に反応して皆並び出す。それから測定が始まった。皆持ってきたバッグから武器を出して準備をし始める。

クラスには半分ほどの継承者がいる。それらとノーマルとを合わせて測定して能力値を測る。

順番までまだあるので紫吹はまだ待つことにした。

目線の先では遅れてきた副担任の朝倉と呼ばれた生徒とで擬似的なバトルの様相を取っている。朝倉の放つ電気を纏った光球や生徒の攻撃がぶつかり弾ける。

「おー……凄いねえ。紫吹はまだだよね何使うの?」

「ん?」

「武器だよー、何使うの?」

「んー、銃」

そう答えるとカイトが奇遇だねえと言いながら持っていたバッグをごそごそし始めた。中から大ぶりな銃が出てきて思わず目を見張った。カイトは幾つか出しながら話し始めた。

「んーとね、これM60って言ってね、私これよく使うんだけど装填に時間かかっちゃうけどまあ慣れだよね、改良版買わないとなあ。これベレッタ90-Two、広く使われてる拳銃ねー、使いやすいからこれよく使うんだよねー、あとはー」

「や、もういいよ」

紫吹が止めると、カイトはそお?と首を傾げた後バッグに戻し始めた。

紫吹はふう、と溜め息をついて銃を確認した。さっき彪が呼ばれた、次は彰介でそれから何人かで自分に回ってくるはず、そう思って紫吹はカイトとしばらく話すことにした。


銃を出したかったんだよなあ

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