プロローグ
人間には様々いる。元気な者、暗い者、強気な者、弱いもの本当に様々いる。
そしてこの世界には人間以外にも存在するものが居たりする。動物や虫、植物、数多くの生命がいる訳なのだが、それらを作ったのは誰か。
それを大体の人々は"神"と呼んだりするそうだ。
しかし、今生きている中で神を見た、と言う者はいない。見えないし触れない。そんな者が実在しているのかすら分からない。だが人々は神は居るという。
果たしてそれはどこからが本当でどこからが本当でないのか。
そんな疑問は常に渦巻きつつも表出する事はあまり無かった。それでも普通に生きていたし何の不自由も無かったからだ。
そんな中、時に崇め、時に恨み、信仰の対象として来た神が突然人間達の前に現れたのは、まだ日本が江戸時代を迎える前だったと言う。
ごく普通に現れ、力を授けて行った神々に、人間達は混乱した。何の為に、一体これは何をする為の力なのか。
混乱の中でも考え抜いた人間はその力を授かり物として守り、その力を"継承"と呼び、ある者は村の為、ある者は自分の為、ある者は天下の為と力を使っていった。
神々には目的があった。
この余りにも沢山増えた人間と言う種族、一体どのようなものか。見てみるとなかなか自分達神とは違った方向に個性が強い。犯罪は犯すしその癖よく笑うし怒るわ泣くわでしかもそれが一人一人感性が違うと来た。自分達も確かに個々で違う所はあるがここまでの数でここまでの違いが出るものなのかと驚いた。
そして考えた。観察をしよう、年月は掛かるだろうがこの人間と言う種族をよく見てみよう、と。
そうして観察し続ける事たったの数十年で分かったことがあった。
人間達は数が多い。つまりこの地球の資源は刻一刻と無くなっている一方だったのだ。例えば米が育たない時は水の神に祈ったり、雷雨が止まない時は雷神に祈ったりと様々な神に祈ったり祀ったりとてんやわんやで忙しく信仰していた。神々はそれを見て、自分達が与えた植物や動物、知恵をきちんと使えていないな、と落胆こそしたが同時に別の考えが浮かんだ。
では我々が直接導こう、人間の力だけでは心許ないから自分達の力も貸して。
そう考え、神々は人間達の前に姿を現したのだった。
その試みは、それから数百年と続いていった。未だに人間達は自分達が授かったこの力の殆どを知ることが出来ていない。
「さて、長い長い説明になってしまったね。眠くなってしまう前に"本編"を始めようか。これは人間やそうでない者達が頑張るとっても心温まるお話さ、それじゃあ」
ながーいながーい"本編"の始まり始まり。