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僕とバイキン君

作者: ミッキー

僕のクラスには汚ないバイキン君がいる。でも本当に汚れているのは、、、、


僕は小学4年生、新しい学校に転校してきたばかりだ。



僕が新しく通うクラスは明るく元気なクラスだ…一人を除いては。



と言うのも、クラスメイトに一人、変なのがいるからだ。


肌は灰色で頭にはツノがあって、なんか臭い、さらに笑うとトゲトゲでボロボロな歯が見えて気持ち悪い。


ソイツはみんなからバイキン君と呼ばれていた

まさにピッタリだ。



僕はクラスにすぐ馴染んだ、気の合う友達も出来、放課後はいつもみんなとサッカーをして遊んだ。



楽しく遊んでいたが、何か視線を感じ、振り向くとバイキン君がこっちをニヤニヤしながら見ている。


僕は背筋がゾッとした。



バイキン君はいつも一人でいる。

登校も一人、登校列の一番後ろをヒタヒタ歩いて来る。

授業も一人、席も一人だけ離れている。

先生は「バイキンが他のお友達に移るといけないからね」という。



休み時間も一人だ。バイキン君はバイキンだけでなくルールも守れないのだから仕方が無い。


だからサッカーにもまざれない。

バイキン君は一人でいるのが丁度いいのだ。



なのにバイキン君は僕を見てニヤニヤしている。

最初はゾッとしていたが、だんだん僕はイライラしてきた。



その時バイキン君は僕に話し掛けてきた、


「と、トラ、トランプしよう」


開いた口は気持ち悪い、僕がイヤだと言おうとした瞬間、友達が走って来て、


「バイキン!近寄んな!」


と言って、バイキン君をこずいた。

僕はホッとし友達に感謝した。

こずかれたバイキン君はニヤニヤしている。気持ち悪い…



翌朝から僕はバイキン君を無視する事にした、幸いそれからバイキン君は僕に話し掛けてこなかった。


クラスメイトはバイキン君をからかったり、ジョウギでつついたりしていたが、バイキン君はニヤニヤしている。

僕は気持ち悪さと同時にムカついていた。



しばらくして、習字の時間に大変な事が起こった。


僕は習字の時間が好きで、先生にも褒められていた。

僕は楽しく習字をしていたら、こともあろうにバイキン君が近寄って来た、僕の習字を見て、


「な、なんて読むの?」

と言った。


意味も解らないし、気持ち悪かった。

その時バイキン君は墨汁を倒し、僕の習字を真っ黒した。



僕は怒りが込み上げ爆発した。


「何するんだ!バイキンなんか死んじゃえ‼︎」


異変に気づいた先生も来て


「まったく、せっかく良いお習字を、バイキン君ダメでしょ?あなたの両親もダメなのね、きっと…」


その時僕はギョッとした、こずかれても、怒られても、無視されてもニヤニヤしていたバイキン君が泣いていたからだ。



声もあげず、表情も変わらず、ただ目から涙がこぼれていた。


翌日からバイキン君は学校に来なくなった、みんなは喜んでいたが僕は心がモヤモヤした。



でも日常は何事もなく過ぎて行った。

12年経ち大学生になった僕は普通に楽しく過ごしていたが、同窓会の頼りが来て何故かドキドキした。


ドキドキは昔の友達に会えるからだろう、そう、思っていた。

同窓会の会場に着くと目を疑った…

バイキン君がいたのだ。



僕は凍り付いた、周りの友達は僕に懐かしそうに話して来る。

バイキン君は隅に一人でいる。

僕がバイキン君を見ていると


「あー、アイツ何であんな隅にいるんだ?暗いよなー」


「まぁ、いいんじゃね?」


「輪に入れない奴は社会人失格でーす」


と友達がそれぞれ話していた。



僕はバイキン君に話し掛けなければ、という衝動にかられバイキン君の隣に立った。

そして僕の口から勝手に言葉がこぼれた



「ゴメン…」




彼は振り向きもせずジッと前を見ていた。

僕のか細い声は会場の笑い声に虚しくかき消された。



世の中には取り返しのつかない事がありますよね。

命や心は傷つけて仕舞うと元にもどりません

物語の中の 僕もバイキン君も 元にはもどりません。

宗教によると人は産まれながらに罪を背負っているそうです。

なので、一日一日を本当に正しいのか考えて生きなければならないのかもしれません。

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