オチ
教会内。ゲーム内から帰還するとすでにメシアが待っていた。
エコー「じゃ、さっそく行きなさいメシア」
メシア「うがー」
優「本当さっそくだな」
とりあえず何も考えずに殴られ殴り返し、殴られ殴り返す。ちなみに、ネクラとダンは教会の隅っこで仲良く観戦中だ。
こうしていればお互いの維持力は減る、はず。
少なくとも俺のはそろそろ限界なのでメシアの膝を潰して一旦距離を取る。
エコー「さて、これからだね。今ならもれなく私が退かせることもできるよ」
優「俺もいろいろ背負ったからな。それに、こう見えて割りとワイルドなんだぜ」
アルル「仕方ないな。さすがに生死が懸かってるから保険をあげよう」
と、アルルは右目を抉りそれを差し出す。
優「ギャグか?」
アルル「マジマジ、ぐぐっと右目に入れてください。左でもいいけどね。一応、やっぱり右目だし右がお勧めかな」
優「じゃあ、右で」
言われた通り右目にアルルの目玉を入れようとすると、その手前で目玉は消滅した。さすがに抵抗ありまくりだったので助かったというのが素直な感想だ。
ちなみに、右目が電脳人と同じ赤色に変化したのは後でわかったこと。
もちろん、オッドアイになって少しおしゃれ度が増しただけではない。
どっかのロボットの如く距離、予測行動など機械で演算したような正確な情報が右目を通じて伝わってくる。それに加え、見えている実際に。線や数値などでかなり具体的に。もうそのままロボット的な機能が備わったらしい。
優「なるほど、わかりやすくはあるな」
アルル「相変わらず反応が薄くて可愛げがないけど、理解が早いのはいいことだね」
優「主人公気質ではあるだろ?さて、待たせたな」
刀を精製する。ちなみに、これは電脳印製ではなく電脳能力製だ。
速さと機動性、攻撃範囲を求めるなら現代の武器ではこれがうってつけだろう。筋力が並以上なので、剣術などなくても片手で振り回すだけでも斬るどころか切断まで気楽にできる。
メシアは変わらず素手だ。ちなみに、格闘術などではなく単純な拳での攻撃だ。
なので表示されている予測はかなり確率が高いだろう。
それでも速さがかなりあるので対処は難しいが、事前情報と実は何気に早くなっている脳伝達能力(脳はないが、そういう仕組みは同じだ。器官ではなく、魂的なもので命令を身体に伝えている)があれば余裕すらできる。ついでに付け焼刃だが、パワーとスピードも強化されているので尚更だ。
メシアは素手なので間合いは十分。メシアが攻撃する前にその腕ごと切断、切断、切断。
それを4回程繰り返したところでメシアの身体全てが半透明になる。
バニッシュ。霊子体の維持力が失くなった状態。再生ができなくなる。
この状態で身体の一部を失う程の攻撃を受ければそのまま身体全てが消滅する。
それが例え急所ではない腕であっても。
殺りにいく。そこにいつもの許容はない。純粋に勝ち負けだけを決める。
と、悪ぶったところで世の中そううまくはいかないようだ。
メシアは地面が割れる程力強く後方に大ジャンプする。
対してこっちは、地面が不安定になったことによりバランスを崩し追撃のタイミングを逃してしまった。
それでも追い詰められているはずのメシアは笑っている。むしろ先より野生度が増している。まさに手負いの獣といったところか。とはいえ、こちらも後4、5発で消滅するぐらいには追い詰められているが。
エコー「はい、そこまで」
優「何だ、折角緊迫感出したのに、地の文で」
エコー「ここで死なれてもつまらないからね。はい、メシアちゃん帰って」
メシア「へいへい」
と、メシアは気怠そうに言って言われた通りこの場を後にする。
優「何かイメージ違うな。それはそうと、やっぱりあのままやってたら負けてたのか?」
エコー「ボロ負けっす」
優「結局、いつもと同じということか」
ネクラ「おいおい、大丈夫かよ」
ダン「無駄に威勢よく入ったな」
優「今のは前哨戦ってことで、そこは任せとけ」
アルル「おお、主人公っぽい」




