リアルファンタジー終 5
いつもの平原。そこで待っていたのは桜とシオンだ。
桜「カンフーだ」
優「もういろいろどうした」
シオン「あの一件以来ハマったみたいですね。ちなみに、あなたの知らない一件です」
優「第一声としては味気ないな」
シオン「そうですか?そもそもそんなに仲が良かったわけではありませんし、こんなものです」
優「まあ、そう言われれば、だな」
アルル「そこはもっと喰らい付かないと。いつもはペラペラ御託を並べるのに、変なところで諦めがいいよね」
桜「そう、もっと貪欲に、だ。例えば、ここで空気を読まずに戦闘を仕掛けにいったりな。私の勇姿しかと見よ」
と、桜は素手でこちらに突っ込んで来る。
優「もう『鉛姫』の面影もないな」
桜「あんまり和むなよ」
優「そうだな、今割りと切羽詰まってるし」
桜との組手が始まる。俺は空気を読んで素手同士だ。
シオン「愛とは関心を持つこと、その相手に貪欲になる程関心を持っているならそれは最上の愛です」
優「言った側から話しかけるのかよ」
シオン「ストーカーは違いますよ。あれは『依存』です。一応、一般人基準の極端な例を挙げましたが、程度の差はあれ一般人の愛はそういうことになります」
優「相変わらず尖ってるな」
シオン「平和は多面性。どんなものにも対応できるということは、どんなものでも愛せる。これはあなたの得意分野ですね」
優「何か棘があるな」
シオン「まだデータは持っていますか?」
優「ああ、そろそろ飛鳥にでも渡すつもりだ。『アカシャ』に埋め込めばちょうどいいだろ?」
シオン「もうそれはいいです。処分しておいてください」
優「えらくあっさりだな」
シオン「エレクレイン教もとい愛と平和の使者としてあなたにその任を託します。当事者がいない話というのも馬鹿げた話ですから、現地であなたが判断してください」
優「いつの間にかすごい宗教に入ったもんだ。ま、悪くはないから頑張らせてもらおう」
シオン「正直不安はありますが、死人がどうこう言うことではないですね」
桜「押忍っ」
桜が後ろに飛び退きそのままシオンの隣に着地する。
優「っておまえは組手がしたかっただけか」
桜「空気読めてないだろ?これぞ貪欲。強く願い、求めるだ」
シオン「あなたに足りないものです。くれぐれも平和ボケした優男にならないでください」
優「みんなに優しい、ってやつか。安心しろ、前から言っている通り俺は優男じゃないからな」




