伏線
引き続き教会内。優とアルル、飛鳥の三人は祭壇すぐそこの長椅子に意識を失った状態でもたれ掛かっている。これが従来と違うところ。間接的にではなく直接仮想世界に入ることになる。
そして意識を失っているので従来と違い周りの様子はわからず、条件を満たさないと戻れないようにもしてある。
三人仲良く寄り添っている絵面も相まって、えらく平和ボケした光景だ。
エコー「やっほー、ごきげんよう」
蘇芳「おう、相変わらず見た目とのギャップ激しいな」
歳は中学生ぐらいの無口キャラ。根暗ではなく陰があるというべきか。そんな容姿で声もそんな感じだ。
エコー「まあ、霊子体だからどうにでも変えることはできるけどね。折角この体で生まれたし、それは必要性が出たらにしておくよ。もうこの体とも長いし」
蘇芳「それで何か用か?」
エコー「いや、暇だからそろそろ王子様の様子でも見に行こうと思っただけ」
蘇芳「まだただの小童だけどな」
エコー「私達には懐かしい話ね。正直、もうあまり記憶にないけど」
蘇芳「はは、確かに懐かしい話だ」
エコー「そういうことで、次私ね」
蘇芳「そこまで決めてなかったし、俺は問題ない」
エコー「じゃ、決まり」
ちまみに、ここまででエコーの表情は一切変わっていない。文字通り無表情だ。と、いうよりこれまでの長い付き合いで、笑っているどころか表情を変えたところを見たことがない。
蘇芳「割りと似た者同士かもな。優もなんだかんだで反応薄いんだよな」
エコー「えー、類は友を呼ぶ、みたいな狭い世界は嫌なんだけど」
蘇芳「ま、それは大丈夫だろ」
エコー「そう、よかった」
蘇芳「それはそうと、もったいぶらずに今合流しとくか?」
エコー「実ってからでいいかな。途中で潰れるのに興味ないし」
蘇芳「冷たいな」
エコー「私を熱くさせる世界を期待しているよ」




