序章 8
マンションの一室。ちなみに、この世界に一軒家はない。
理由は人口的なこと、暗示などだ。少し今まで言ってきたこととは意味合いが違うが、これも時代の流れということか。
玄関先。部屋の間取りは目の前に階段、左にリビング。
その二階へと続く階段を勢い良く八歳前後の幼女が駆け下りて来た。
蓮華「やふー、姉者」
桃花「おう、相変わらず引き篭もってるな」
蓮華「見て見て、刻み過ぎて逆におしゃれっぽくなっちまった。これはいよいよ腕以外もだぜ」
桃花「おう、正直どうでもいい」
蓮華の肘より下は両腕共、三百六十度切り傷でいっぱいだ。
アルル「リストカットならぬアームカットか」
優「まあ、そうだな」
そしてリビングの扉が開き、そこから二十代前半の男性に跨りムチを持った三十代後半の女性が現れた。
優「おいおい、まさかの段階的にすごくなるやつか」
アルル「同い年ぐらいだね」
優「まあ、性別も同じだし正直複雑な気持ちはあるな」
勉「まあまあ、そう憐れまないでくれ。俺はこれでも幸せだから」
アルル「意外にまともだった」
優「失礼だぞ」
アルル「優に言われたくないけどね」
優「やっぱり素直が一番だな」
桜花「男連れとは、桃花もついに目覚めたのね」
剛「それなら俺に言ってくれればいいのに。結構重役だからもう一生暮らせるぐらい貯金あるし」
と、玄関のドアを開けて三十代後半ぐらいの男性が入って来た。身なりはTHE社会人だ。
優「一家大集合だな」




