終章
一週間後。世界は変動した、というよりは安定したというべきか。西側にも規模は街程度だが、国のようなものができた。もちろん指導者は連。とはいえ、その役目はどちらかというと偶像に近い。「みんなの連君」みたいな感じ。
結論だけ言うと西側にも居場所ができたということ。
社会貢献もしているらしく、ジャンルは主に芸術方面。なんだかんだ言った割にあっさり共生できたわけだ。未練というわけではないのだろうが、完全に人間社会から離れられる人間はごく少数なのかもしれない。そうなると折り合いは大事か。感化され過ぎず、離れ過ぎず。その半端さが人間らしいといえば人間らしい。と、いうのが昨日の話。
現在、西側キューブ付近のビル屋上。そこから見える景色は一言で言うなら破壊。絶賛、リンネが飛鳥と同じ力でビルを倒壊させる程暴れ回っているのでまさに言葉通りだ。
優「あーあ、ここまできたら意地でもバットエンドにされてる気がするな」
アルル「そういうキャラいるよね」
優「漫画でな」
と、目の前に神楽が現れる。ちなみに、この一週間で仲良くなった。
神楽「わいはやったるで」
優「そうか、それもいいだろう。行ってこい」
神楽「よっしゃ、行くぞ、周」
周「まったく、最期までおまえに付き合うハメになるとはな」
神楽「あそこでぶちぶち愚痴ってるよりマシだろ?」
周「そういうことにしておいてやる」
神楽と周がリンネの元へ向かって行く。ちなみに、二人共一般人だ。
優「すごい展開だな」
アルル「そうだね」
お次は連と那綱、ランファだ。
優「何気に同窓会だな」
飛鳥「私に振らないでください。糞うっとおしい」
優「おいおい、一応お嬢だろ」
連「相変わらずみたいだね」
優「そっちは見事イケメン化か。ま、いいんじゃないか」
連「それはどうも」
優「そしておまえは百八十度変わったな」
飛鳥「……」
優「那綱は吹っ切った感じか」
那綱「私は兄様がいればいいんだよ」
ランファ「私も、私も」
優「余計なことは考えずに、だとよ」
飛鳥「言ってないですよ。頭大丈夫ですか?」
那綱「よし、行くぞ」
ランファ「おー」
連「じゃ、少し無責任な言い方になるけど後は任せたよ」
優「おう、任されてやろう」
リンネはまだ元気そうだ。そこへ連と那綱、ランファが向かう。
優「どうよ?今からでも。いや、おそらくこれが最後のチャンスだ」
アルル「今なら娘付き」
優「至れり尽くせりだな、おい」
そんなことを言っていると、後方で次元の穴が三つ開く。
そこから出て来たのは春とシオン、そして桜だ。
優「おお、復活したのか」
桜「む、おまえにしてはリアクション大きいな」
優「いろいろあって残ったのはここの二人だけだからな。一人若干グレてるし」
飛鳥「暗に私のことですか?」
優「よくわかったな」
飛鳥「……」
春「では、あまり知り合いじゃない私からこれを渡します」
と、手渡されたのは小型のデータチップだ。
シオン「簡単に言うと、愛と平和らしいです」
優「まさかおまえからそんな言葉を聞くことになるとはな」
シオン「私じゃないですけどね。殺しますよ」
優「何気にキャラ被ってるな」
飛鳥「殺しますよ」
桜「っしゃ、行くか」
優「なんだ?残らないのか?」
桜「うぉぉぉ、レーザー、レーザー。最期に何かしゃべれ」
ユイ『じゃ、レーザー、レーザー』
春「うぉぉぉ、人生初のはっちゃけじゃい」
桜と春、ついでにユイもリンネの元へ向かう。
優「若干一人キャラが違うが、まあ、一応同一人物だからな」
シオン「そんなことを言っているからそこ止まりなんですよ」
優「え、マジで」
シオン「場合によっては私も愛と平和ぐらいは口にするということです」
シオンはそのままリンネの元へ向かう。
優「なるほどな」
アルル「本当に?」
優「実体験させてもらったからな」
そして再び次元の穴が三つ開く。
そこから現れたのは蘇芳とルーテ、アカシャだ。
新キャラ、アカシャ。見た目二十代後半の女性。金髪高飛車キャラなのが見た目から伝わってくる。
蘇芳「そうか?まあ、俺の方が付き合い長いからな。シオンは元からああいうキャラだろ。さすがに露骨にではないけどな。人間の醍醐味、多面性というやつか。まだまだ楽しめそうだ」
優「本当、楽しんでるな。それはそうと、凪はどこに行ったんだ?」
蘇芳「まだ言ってなかったか?壊してすぐ現実に戻ったよ。俺には理解できないが、あれはあれで面白いよな」
ちなみに、その知らせを聞いたのは3日前。例によって蘇芳がわざわざ知らせに来た。
蘇芳「で、余り1どうする?一緒に来るなら面倒見てやるぞ」
アカシャ「例の酔狂で生まれた子ね。さすがにこれにはついていけないわ」
蘇芳「中々面白かったぞ。愛想尽かされなかったら、死ぬまで付き合ってもよかったんだが。まあ、二回目はさすがに遠慮させてもらうけどな」
ルーテ「別に私も嫌ではなかったけど、リンネといた方が楽しかったかな」
蘇芳「それはお父さんショックだわ」
ルーテ「みんな結構この世界が好きみたいね。ああ見えて、リンネもね。私もその一人ということ。ここで何も考えずにのんびり死ぬのが、私の希望かな」
優「えらく綺麗なオチだな」
蘇芳「ま、汚いよりはいいだろ」
優「俺への当て付けか?」
蘇芳「そう思うなら頑張ることだ。おまえはまだまだ生きるだろ?」
優「そうだな、そうさせてもらおう」
アカシャ「終わったなら早く帰るわよ。あなたには居なかった分の仕事をしてもらわないと」
蘇芳「もう少し余剰を持たないと面白味がなくなるぞ」
アカシャ「私は私が面白ければそれでいいの。あなたも行くわよ、飛鳥」
飛鳥はその言葉に黙って従い、3人は次元の穴へ消えて行った。
ルーテ「さて、面倒だけど特等席でリンネの勇姿でも見てくるかな」
そう言って、ルーテはリンネの元へと向かって行った。
優「しかし、あれ完璧に自我飛んでるだろ」
アルル「暗に飛鳥もああなるってことだね」
優「蘇芳のメッセージということか。最後まで当て付けだな」
アルル「ちなみに、優的にはどうだった?この世界。私はずっとあそこに居たから何とも言えないけどね」
優「今思えば、まんざらでもなかったかもな。世界の最期にそう思うとは、俺も結構ベタベタだな」
アルル「次はこうならないといいね」
優「そうだな」




